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中村倫也・主演映画『宇宙人のあいつ』公開記念インタビュー 「数年前から自分をよく見せようとせず、そぎ落として生きています」

執筆者:根岸聖子

中村倫也 宇宙人のあいつ

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5月19日に公開となる、家族をテーマにした基本笑い、ほろっともしっかりある映画『宇宙人のあいつ』。伊藤沙莉さん、日村勇紀さん、柄本時生さん、監督は飯塚健さん、テーマ曲は氣志團というキャストスタッフ陣も注目。主演の中村倫也さんに映画について、役者としての想いを聞きました! ※雑誌GLOW6月号の中村倫也さんインタビューとは内容が異なります。


「何を考えているか分からない」のも自分だから仕方ない

――完成した映画『宇宙人のあいつ』をご覧になって、「これ、なんて宣伝すりゃいいんだ!?」と仰っていましたが。
「そりゃそうですよ。試写を観ながら、頭の中で考えていました。撮影に費やした時間と同じくらい、宣伝にも時間をかけますからね。撮って終わりじゃなくて、公開タイミングでスポークスマンもやらないといけないので。主演は」

――どんなプランを立てましたか?
「いやもう、出たとこ勝負です(笑)。会話の流れで、聞かれるままに答えていくだけです。そうしないと、全部同じ答えになっちゃいますから。ひとことでこういう映画です! って言えればいいんですが、この映画は(映画に登場する)リビングの美術セットと同じくらい、いろんなことが起きて、不思議と乱雑にバランスがとれた映画なんですよね。なのでその都度、取材を受ける場に合わせて、様々なポイントにフォーカスして答えていこうと思いました」

映画 宇宙人のあいつの一場面©映画「宇宙人のあいつ」製作委員会

――飯塚監督は、演じた日出男というキャラクターは、「倫也くんって何を考えているかわからないところがイメージしやすい」というところから、宇宙人というワードが出てきたのかもしれない、とコメントしていました。そんな日出男とご自身とで、似ている部分や共通点ってありますか?
「共通点というか、今回に至っては地球で生まれ育ったやつじゃないですからね(笑)。共通点も何もない。当て書きされているので、あまり深く考えずに、自分の中にある要素でやればいいのかなと。そんな感じでやっていました。というか、監督のコメントで、監督も僕のこと、何を考えているのかわからないって思ってたんだって知りました(笑)」

――よくそう言われてきたんですか。
「昔から割と言われていましたけど、飯塚さんもそう思っていたんだって、ちょっと意外でした」

――何を考えているのかわからない、と言われることに対して、中村さんの意見としては。
「特に若手時代とかはね、ある程度、わかりやすい子のほうが、年上も安心しやすいんだと思うんですよ。なるほど、こういうやつなんだ、わかりやすいな、バカだな、みたいに読みやすいほうが楽というか。それがよくわからないと、“ん? なんだこいつは”ってなる。まぁ、散々そう言われてきて思うのは、自分的にはいたって普通に考えて生きてきても、まわりからのどう見られているかっていうのが半分くらい、印象として占めますからね。わかりやすいと思われる人っていいな、羨ましいなって思ったりもしましたけど、まぁ、これが自分だから、しょうがないよねって(笑)」

中村倫也インタビュー

自分が気付けば、新しいものはどんどん入ってくる

――そういった個性の話として、GLOWでは「輝きはいつだって自分の内側にある」をテーマとして、様々なコンテンツを制作しているのですが、中村さんご自身が輝いているのはどんなときでしょう?
「ファッション誌での取材で言うことじゃないかもしれないですが(笑)、僕は数年前から、できるだけ飾らない、まとわないようになってきています。見た目も中身も、人として自分をよく見せようとしなくなってきたというか。装いにしても、自分が心地いいものを優先して、見栄えがどうこうとか、装飾的なのは、できるだけ削ぎ落として生きている。結局、役者っていうのは自分の身一つで働いているわけだし、身一つで勝負しなきゃいかんのに、いろいろまとっていてもしゃあねぇなと(笑)。なので、自分自身が輝いているかどうかはわからないですが、30歳になる前くらいからは、そういう感覚で生きていますね」

――外側に何かを足すことをしなくなったと。
「うん、ほとんど物を買わなくなりました。こういう仕事をしているせいかもしれないけど。仕事先でいろんな格好、扮装をするわけですから」

中村倫也 『宇宙人のあいつ』ジャケット6万9300円、パンツ5万2800円、宇宙柄プリントシャツ 5万2800円(すべてMASU) その他(スタイリスト私物)

――そこで、何か変わりたいとか、変身願望的なのは満たされているんですね。
「いろんな格好をしてみたい、っていう欲は、自然に満たされているんじゃないかな」

――仕事でも、普段の生活でも、どんなことをしているときが一番楽しいですか?
「役者の仕事をしているときです。基本的には、どんな場でも、どんな人と会うにしても、全部、自分次第なので。どこにいても発見、出会いがありますし、自分が気づけさえすれば、新しいものはいくらでも得られると思っているんです。だから仕事の現場は毎回、楽しいですよ。ハードなときもありますけど、それでも楽しいことは転がっているもので。見つけられるかどうかは、自分の能力だったり、視野だったり、アンテナの張り方次第だったりする。しんどさと楽しさ、片っぽだけってことはあり得ないと思うんですよね。いつも同時に、すべてのものが存在しているもので、あとは自分がどこにフォーカスするか次第で変わってくる。どの場所でも、多かれ少なかれ、楽しさっていうのは見つけられるものだと思って生きています」

☑5月19日全国ロードショー『宇宙人のあいつ』

中村倫也さんインタビュー

【あらすじ】家族になりすまして23年。人間の生態を調査しに土星から来た宇宙人は、真田家四兄弟の次男・日出男として、長男・夢二、長女・想乃、三男・詩文と暮らしていた。家族というものがわからない日出男は、夢二から教えてもらう。「兄ちゃん、家族って何?」「自分よりも、大切なものがあるってこと」。家族の様ざまな問題が起こる中、地球を離れる日が近づいてきてしまう。残された時間は、あと三日間。人間としてやり残したことへの日出男の奮闘が、今始まる!

2023/日本/117分
監督・脚本:飯塚健
出演:中村倫也  伊藤沙莉 日村勇紀(バナナマン) 柄本時生
関めぐみ/千野珠琴/細田善彦/平田貴之/山中聡/井上和香/設楽統(バナナマン)/山里亮太
主題歌:氣志團「MY SWEET ALIEN」(影別苦須 虎津苦須)
制作幹事:エイベックス・ピクチャーズ ポニーキャニオン
配給:ハピネットファントム・スタジオ

©映画「宇宙人のあいつ」製作委員会 

『宇宙人のあいつ』公式サイト


撮影=梶田麻矢 スタイリング=戸倉祥仁〈holy.〉 ヘア&メイク=松田 陵(Y’s C) 取材・文=根岸聖子

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この記事を書いた人

女性誌、テレビ誌、インタビュー誌など定期刊行物やwebサイトで音楽、映画、舞台、ドラマなどエンタメ系のインタビューやレポートを執筆。好奇心の赴くままに、体験もの、実用記事、書籍なども常時進行中。


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