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【更年期の不調ケア】生理がある女性はほとんど「貧血」。鉄剤を飲んでも原因は解決しない!【健康】

執筆者:GLOW編集部

婦人科系の不調を解決! 今回は“貧血”。貧血が気になっていて採血と問診から婦人科受診を受けたところ、子宮筋腫ができていたという40代女性もいます。災害医療センター・血液内科の関口直宏先生に話を伺いました。原因を知って、しっかり対策!

☑貧血は病気ではなく、病気が原因で貧血が起きる

小学校の朝礼で倒れるのが貧血 だと思っていませんか?  あれは起立性低血圧というもので、いわゆる立ちくらみです。立っている時は自律神経のうち、起きる・闘う神経である交感神経が優位になっているはずなのですが、なんらかのきっかけで寝る・食べる・リラックスする神経である副交感神経が優位になって自律神経のバランスが悪くなることで起こります。

対して貧血は、血液中にあって全身に酸素を運んでいる赤血球が足りなくなってしまう状態のこと です。血液検査では赤血球やヘモグロビン、ヘマトクリットなどの値で示されます。先述の起立性低血圧と貧血が組み合わさって立ちくらみを起こすこともありますが、倒れるという状態からは貧血かどうかはわかりません。

☑生理がある女性はほとんど貧血の状態

貧血と指摘された時点で、婦人科や内科などの医療機関を受診することをおすすめします。貧血そのものは病気ではなく、体で不具合が起きていることの結果として貧血が起きるのです。貧血を起こしている原因を突き止めて治療しない限り貧血は改善しません。貧血を引き起こす原因は大きく2つあります。ひとつは赤血球の主原料である鉄不足。肉やレバー、魚と緑黄色野菜や海藻、貝類、乳製品などをバランスよくとることで改善できます。もうひとつは体内のどこかで出血が続いているせいで鉄が減ってしまうことです。

また、生理がある女性のほとんどは貧血です。生理の経血量が多い過多月経、子宮筋腫、子宮内膜症などがあれば貧血がひどくなることも。更年期ではめまいや体のほてりといった更年期の症状を貧血だと思い込んでしまうこともあります。閉経後は子宮頸がんや子宮体がんによる出血が貧血を引き起こしていることもあります。女性の貧血はまずは婦人科で相談していただくのがベターです。婦人科のトラブルがなければ、改めて血液内科などで貧血の原因を探ることになります。

☑心不全やがんの可能性も
気になるならまず婦人科、その後血液内科などへ

たかが貧血と思うのは禁物。 心不全やがんの可能性も!   貧血は決して侮ってはいけない状態です。赤血球が十分になければ 脳をはじめとする全身が酸欠にな ってしまうからです。 成人女性のヘモグロビンの基準値 は1g/dl程度ですが、貧血がひどくなると6g/dlほどになることもあります。すると少し体を動 かしただけで、心臓は血液を循環させて酸素を送らなければ!と焦って心拍数が増えます。肺はできるだけたくさん酸素を取り込もうとして一生懸命に酸素を吸って二酸化炭素を吐き出すので、息が荒くなってドキドキ、ハァハァと過呼吸のような状態に。

心臓のポンプ機能が落ちるせいで脚がむくんだり全身がだるくなることもあります。これがひどくなると肺に水が溜まってしまって、陸上にいるのに水中で溺れたような 状態になって呼吸が苦しくなります。階段の上り下りやヨガなどのゆったりとした運動で以前よりも息苦しさを感じるようなら、貧血が進行している可能性があります。さらに出血が貧血を引き起こしている場合は胃がんや大腸がん、婦人科系その他の臓器などのがんの可能性も否定できません。痔による大量出血が原因になっていることもあります。鉄剤を飲むのは単なる補充療法で、一時しのぎにしかなりません。飲むのをやめれば貧血状態に戻ります。貧血と言われたなら婦人科、もしくは専門医を受診していただきたいですね。


【教えてくれたのは】

災害医療センター
貧血外来 関口直宏先生

血液のがんである悪性リンパ腫を専門とする日本血液学会認定血液専門医。災害医療センターは東京都立川市にある国立病院機構。

災害医療センター

イラスト=MAIKO SEMBOKUYA 取材・文=黒川ともこ ※GLOW2021年6月号より

この記事を書いた人

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