【観るべき映画】『最悪な子どもたち』フランスの問題児たちのリアルな演技が見もの 12/9公開 【伊藤さとりのシネマでぷる肌‼】
執筆者:伊藤さとり
映画パーソナリティ・心理カウンセラーの伊藤さとりさんが、お肌も心もぷるっと潤う映画を紹介する連載。今回は、12月9日公開の『最悪な子どもたち』。第75 回カンヌ国際映画祭で、「ある視点」部門で見事グランプリを受賞した作品が日本で公開!
初演技の子どもたちのリアルが迫力を生む
映画に俳優ではなく、一般の人々を起用する。
この手法は時々行われますが、それは時に危険なこともあり、撮影の雰囲気に呑まれてしまい自分の動揺を言えずに後に問題となったり、現実と撮影での感情の切り替えに苦労したり。それでも監督らがプロではない人々の演技を見たいと思う理由の一つに、演技に勝るリアリティからの感動が時にはあると思っているのではないでしょうか。
げんに本作では、子供達の現実から生まれる感情と演技での変化が見られ、気がつくと彼らから目が離せなくなっていたのだから、確かに“リアリティに勝るものはない”とは思います。
ではドキュメンタリーではなく、フィクションとしてどうリアルを成立させたのか。感心したのは、映画の中で映画撮影を行う物語、という現実と非現実をミックスさせた手法を思いつき、冒頭に懸念した危険への対処の仕方まで映し込んだのでした。
今回は地元で問題を抱える子供達を一般オーディションで選び、彼らに演技をさせる映画を作る物語は、オーディション風景から始まります。そこに映るのは素顔そのものと言える表情。本作は子供が主人公なので、劇中、感情を露わにするシーンを撮りたくて監督は喧嘩をふっかけますが、その後の対処は、スタッフ全員で怒りが止まらない少年を摩りながら謝り、リラックスさせるものでした。
この記事を書いた人
邦画、洋画問わず年間500本以上の映画を鑑賞。映画舞台挨拶や完成披露会見等のMCを数多く担当している。また、心理学的な視点からも映画を解説。12月に新著は『映画のセリフで心をチャージ 愛の告白100選』(KADOKAWA)。「ぴあ」、「otocoto」でのコラム連載や、YouTube「新・伊藤さとりと映画な仲間たち」、「めざましテレビ」「ひるおび」での映画コーナー等、幅広いメディアで映画を紹介。映画と、映画に関わる全ての人々を愛してやまない映画人。
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