【おすすめ映画】ヴェルサイユ宮殿でロケ、ジョニー・デップ最新作『ジャンヌ・デュ・バリー 国王最期の愛人』 2/2公開 【伊藤さとりのシネマでぷる肌‼】

あのジョニー・デップが多くの愛人を持った最愛王ルイ15世に！？　しかもフランス映画なので全編フランス語で演じている！？　更に本物のヴェルサイユ宮殿で撮影され、絢爛豪華な王宮生活を隅々まで味わえる映画。それが『ジャンヌ・デュ・バリー　国王最期の愛人』です。とはいえ映画の主人公はルイ15世ではなく彼から愛を貰った公妾、というとポンパドゥール夫人を想像する人もいるだろうけれど、彼女が亡くなった後に登場した最期のお妾さんであり、ヴェルサイユ宮殿に君臨したジャンヌことデュ・バリー伯爵夫人、なのでよりセンセーショナルな物語なのです。

まずジャンヌは私生児。それでも彼女は本に魅了され読み漁り、知識を得ると同時にエロスの概念に目覚めてその美貌を武器に愛人としてのし上がり、最後は国王の愛され人になるというドラマティックな実話を映画化しています。その処世術たるや驚きの連続で、上流階級の男性に愛され、彼らから話術を学び、大胆な行動で誰もが目を惹く存在に。まさに自信に溢れる彼女はどんな男性とも対等に付き合うので悪目立ちの一面も。それはファッションにまで至り、ヴェルサイユ宮殿で女性として初めて髪を下ろし、男装で人前に現れるほどで、今、映画で観ると女性の自由への権利を手にした先駆者にも思えます。

ちなみに映画の撮影は、一般公開では無い日にヴェルサイユ宮殿にて敢行。一度、見に行ったことがある人なら分かる、あの広大な庭、更に煌びやかな部屋の数々たるや！　その中の王室礼拝堂、鏡の回廊、ヘラクレスの間、そして外観の撮影が許可されたそうです。それ以外のシーンはスタジオにセットを組んで、と言っても目を惹くインテリアや部屋のデザインなど、ロココ様式をしっかりと堪能出来る完成度。全員が巨大なテーブルを囲んでの食卓のシーンなど、どこのシーンを見ても飽きないゴージャスさなのです。

それだけでなく、ジャンヌの特徴的なファッションは必見！　先に書いた男装スタイルも印象的ですが、ビビットなストライプのドレスだったり、裾の長い純白のドレスなど、どれも忘れられないデザイン性の高さ。これはシャネルの大々的な協力によるものだそうだけど、ソフィア・コッポラ監督のアカデミー賞衣装デザイン賞受賞となった『マリー・アントワネット』に負けず劣らずの美しさ。私世代で言えば池田理代子先生の「ベルサイユのばら」の時代で、漫画にも登場したジャンヌなので、もちろんマリー・アントワネットも劇中、姿を現しますよ。

しかも監督を務めるのは主人公ジャンヌも演じているマイウェン。彼女といえばリュック・ベッソン監督の『フィフス・エレメント』(1997)で真っ青な肌の歌姫が印象的だった女優。これまでも監督として映画を制作していて本作で7本目だそうな。よく見るとちょっとジュリア・ロバーツ似、そんなマイウェン演じるジャンヌにいつの間にか感情移入してしまう人間味帯びた主人公の半生を観て、魅惑のパリ旅行を疑似体験してはいかがでしょう。
——伊藤さとり

【あらすじ】貧しい家庭の私生児として生まれ、娼婦同然の生活を送っていたジャンヌ（マイウェン）は、類まれな美貌と知性で貴族の男たちを虜にし、社交界の階段を駆け上がっていく。ついにヴェルサイユ宮殿に足を踏み入れたジャンヌは、時の国王ルイ15世（ジョニー・デップ）と対面を果たす。二人は瞬く間に恋に落ち、彼女は生きる活力を失くしていた国王の希望の光となっていく。そして、国王の公式の愛人、公妾となったジャンヌ。しかし、労働階級の庶民が国王の愛人となるのはヴェルサイユ史上、前代未聞のタブー。さらに堅苦しいマナーやルールを平気で無視するジャンヌは、保守的な貴族たちから反感を買う一方で、宮廷に新しい風を吹き込んでいく。しかし、王太子妃のマリー・アントワネットが嫁いできたことで立場は弱まり、やがて運命は大きく変わっていく・・・。

 2023／フランス／116分
監督：マイウェン   　
脚本：マイウェン、テディ・ルシ＝モデステ、ニコラ・リヴェッチ   
出演：マイウェン 、ジョニー・デップ 
バンジャマン・ラヴェルネ 、ピエール・リシャール  、メルヴィル・プポー、パスカル・グレゴリー

配給:ロングライド
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