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【韓国スリラー】『スリープ』寝ぼけた夫が生魚を丸呑みしている? 6/28公開【伊藤さとりのシネマでぷる肌‼】

執筆者:伊藤さとり

イ・ソンギュン、チョン・ユミ出演 映画『スリープ』を伊藤さとりがレビュー

映画パーソナリティ・心理カウンセラーの伊藤さとりさんが、お肌も心もぷるっと潤う映画を紹介する連載。今回は6月28日公開の『スリープ』。出産を控えた夫婦、夫が眠るたびに奇行を繰り返すようになる。医学や夫婦の絆で治そうとする二人、お札を持ってくる母親、いったい奇行の原因は何なのかーー。


夫は夢遊病なのか、それとも……

睡眠障害。

主に不眠症が有名ですが、他にも無呼吸症候群や夢遊病と言われるものまで様々です。この映画では引っ越してきた夫婦の夫にその症状が見られ始めるところから始まります。一般的に夢遊病は、環境の変化やストレス、睡眠不足からも発症すると言われており、眠っている状態で徘徊する、異常行動をとる、といった行為になります。

ちなみに睡眠はレム睡眠とノンレム睡眠で構成され、夢は主にレム睡眠の状態時に見ると言われています。そして夢遊病は脳が深い眠りについているノンレム睡眠時に起こるのです。

伊藤さとりの映画レビュー 『スリープ』

そんな夢遊病と思われる症状がパートナーに出始めたらどうするのか。映画はそれを誰もが納得のいく行動で段階を踏んで見せていくのですが、その症状が異様すぎて観客は不安を抱いたまま夫婦の行く末を見守ることになります。人間というものは科学で解明が難しいならスピリチュアルのような非科学的なものにも頼る生き物で、これらの行為から事態は思わぬ方向へと向かっていくのです。

“恐怖というのは見えないからこそ恐ろしい”とはよく言ったもので、本作はホラーではなくスリラーのジャンルに分類されるものの、鑑賞中は恐怖心を拭えないユニークな映画になっています。

映画『スリープ』レビュー

韓国スリラー『スリラー』を伊藤さとりがレビュー

ポン・ジュノが「ユニークかつ恐ろしい」と評価

この映画の監督、ユ・ジェソンは本作で長編映画監督デビュー。それまでは助監督の仕事をしていて、『パラサイト 半地下の家族』(2019)のポン・ジュノ監督作品『Okja/オクジャ』(2017)でも助監督を務め、その関係性から本作の脚本をポン監督にも見せたことから本作の製作がスタートしたそう。キャスティングもポン監督の仕事仲間のお陰で、妻役に『82年生まれ、キム・ジヨン』(2019)のチョン・ユミ、夫役に『パラサイト 半地下の家族』のイ・ソンギュンという安定感のある組み合わせが実現。結果、世界三大映画祭のひとつ第76回カンヌ国際映画祭批評家週間に選出されました。

観るとしばらく頭から離れない感覚を味わう本作。こんな物語をよくぞ思いついたと新人監督の才能にもつくづく感心するのです。

☑6月28日(金)公開!
『スリープ』

韓国映画『スリープ』 日本版ポスター

【あらすじ】出産を控え、幸せな結婚生活を送るヒョンス(イ・ソンギュン)とスジン(チョン・ユミ)。ある夜、隣で眠る夫ヒョンスが突然起き上がり「誰か入ってきた」と呟いた。その呟きに呼応するように家を覆い尽くす不穏な気配…。翌朝、下の階に越してきた住人から「明け方の騒音が1週間も続いて、我慢できない」と相談をされるも全く身に覚えがなかった。少しの違和感を抱きながらも夜を迎えたその日から、眠りにつく度にヒョンスは人が変わってしまったかのように奇行を繰り返す。頬を掻きむしる。生魚を丸呑みする。窓から身を乗り出す。その異常行動は日を追う毎にエスカレートしていく。得体の知れない“それ”に恐怖を感じ、怯えながら夜を過ごす夫婦は睡眠クリニックの受診を決意するが、スジンは母から超自然的な力に頼るべきだと、巫女から手に入れた御札を渡される。果たして “それ”は医学で克服できるものなのか、それともー。

2023/韓国/94分
脚本・監督:ユ・ジェソン
出演:チョン・ユミ、イ・ソンギュン
配給:クロックワークス
© 2023 SOLAIRE PARTNERS LLC & LOTTE ENTERTAINMENT & LEWIS PICTURES ALL Rights Reserved.

クロックワークス公式サイト

この記事を書いた人

映画評論・映画パーソナリティ・心理カウンセラー 伊藤さとり

SPECIALIST

映画評論・映画パーソナリティ・心理カウンセラー

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邦画、洋画問わず年間500本以上の映画を鑑賞。映画舞台挨拶や完成披露会見等のMCを数多く担当している。また、心理学的な視点からも映画を解説。12月に新著は『映画のセリフで心をチャージ 愛の告白100選』(KADOKAWA)。「ぴあ」、「otocoto」でのコラム連載や、YouTube「新・伊藤さとりと映画な仲間たち」、「めざましテレビ」「ひるおび」での映画コーナー等、幅広いメディアで映画を紹介。映画と、映画に関わる全ての人々を愛してやまない映画人。

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