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【映画】年の差恋愛事件、当事者×演じる女優の物語『メイ・ディセンバー ゆれる真実』 7/12公開【伊藤さとりのシネマでぷる肌‼】

執筆者:伊藤さとり

伊藤さとりの映画レビュー 『メイ・ディセンバー ゆれる真実』

映画パーソナリティ・心理カウンセラーの伊藤さとりさんが、お肌も心もぷるっと潤う映画を紹介する連載。今回は、7月12日(金)公開の『メイ・ディセンバー ゆれる真実』。実際に起きた事件、30代女性と10代の少年の情事をモチーフに、オスカー女優のナタリー・ポートマンとジュリアン・ムーアが共演。


事件の後、の心境やどう見られていたか、を描く

[メイ・ディセンバー]とは、[親子ほど歳の離れたカップル]を示す英語の慣用表現だそう。そもそもこの英語は、アメリカではある事件でよく知られています。それは過去にケイト・ブランシェットとジュディ・デンチが共演した『あるスキャンダルの覚え書き』(2006)でもモデルとなった36歳の女性教師と13歳の少年との不倫発覚と獄中出産の事件でした。“二人は本当に愛し合っていたのか”、これが世間の一番の関心事であり、この二人が結婚した時は、更に彼らの真意を知りたいと当時は多く記事が出ました。そんな事件の当事者メアリー・ケイ・ルトーノーも2020年に末期癌で亡くなり、モデルとなった彼女に魅せられた人物が本作の脚本を書き上げたのです。

物語は事実を脚色し、登場人物の勤め先も生育環境も変えています。しかも主人公は、事件には登場しない、いわば私たち観客側の視点となる部外者の女性で、事件の当事者となった女性をモデルにした役を映画で演じることになった女優。特に興味深いのは、女優が役作りの為に女性の夫や家族、周囲の人々に話を聞くうちに、彼女と服の色合いまでシンクロしていくのです。けれど女優は本当に彼女を理解出来たのか。これがまた観客である私たちに人間特有の物事を見るのにフィルターがかかってしまう性質を露見させ、自分自身の胸に手を当ててしまう映画にしていたのです。

年の差恋愛事件を映画化 『メイ・ディセンバー ゆれる真実』

この記事を書いた人

映画評論・映画パーソナリティ・心理カウンセラー 伊藤さとり

SPECIALIST

映画評論・映画パーソナリティ・心理カウンセラー

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邦画、洋画問わず年間500本以上の映画を鑑賞。映画舞台挨拶や完成披露会見等のMCを数多く担当している。また、心理学的な視点からも映画を解説。12月に新著は『映画のセリフで心をチャージ 愛の告白100選』(KADOKAWA)。「ぴあ」、「otocoto」でのコラム連載や、YouTube「新・伊藤さとりと映画な仲間たち」、「めざましテレビ」「ひるおび」での映画コーナー等、幅広いメディアで映画を紹介。映画と、映画に関わる全ての人々を愛してやまない映画人。

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