吉田羊さん「デビュー25周年を迎え、役ではなく歌手として歌での表現に挑戦」【COVER WOMENインタビュー】
執筆者:GLOW編集部
祝・デビュー25周年!! 新しい季節の始まりに袖を通したいジャケットを、コロナ禍も2年半をすぎ、ファッションへの関心が戻ってきたという吉田 羊さんが着こなします。
定番にとらわれない自由な
着こなしは、自己表現のひとつ
ワードローブがすっかりカジュアルになった――そう感じている人も、少なくないだろう。コロナ禍によるステイホームの推奨で、家での時間を少しでも楽しむため、体も心も解放できる服に関心が偏りがちだった2020年以降の私たち。しかし、時が流れて少しずつ世の中が動き始めたこの秋は、そろそろ外に出る服にも目を……そんな思いを込めて選びたいキーアイテムが「ジャケット」。吉田 羊さんも「実は、ですね」と微笑む。
「今年の春、ノースリーブのロングジャケットを買ったんです。だから今日のコーディネイトを見て、『お、私、先取ってる?』って(笑)。自分で選ぶのはタイトで丈の長いものが多いですが、今日着させていただいたオーバーサイズのマニッシュなもの、ショート丈のものも素敵でしたね。そして、シャツを合わせたり、ピンクを差し色にしたり……ジャケットスタイルなのにどこか抜け感があって、気楽に着られるのも楽しかったです」
ジャケットだからこうあるべきという固定観念から飛翔できるのも、思えば、ここ2年半の閉塞期間で獲得した感覚なのかもしれない。どんな環境でも、ファッションを楽しむ心は本来、自由なのだ。
「そうですね。それに、コロナの感染拡大から2年経って、新しい服がほしいと思えるようになった自分に、少しホッとしました。ちゃんとファッションへの関心が戻ってきたんだなあ、と……。ファッションは表現であり、特に初めて会う人に対しては、自己紹介の意味もあるじゃないですか。『私はこういう人間です』ということを、言葉で説明しなくても伝えられる。そうしたことをふつうに楽しめる時間を取り戻せているんだということが、やっぱりうれしいんです」
25年間導いてくれた
すべての人に感謝を
先日、デビュー25周年を記念した初のライブを開催した吉田さん。平衡(あるいは平行)を意味するライブのタイトル「THE PARALLEL」は、「シンガーとして生きたかもしれない、もうひとりの吉田羊」をイメージしてつけたという。
「歌ってみませんか?というお誘いは、もともとは25周年とは関係なくいただいたものだったんですが、ちょうど記念の年であるということを考えた時……せっかくなら、これまでやったことのない、特別なかたちでファンの皆さんとお祝いできることがベストじゃないかということで、ぜひに!とお引き受けしました」
これまでも舞台やコマーシャルの場で涼やかな歌声を披露してきた吉田さん。その確かな歌唱力を評価されながらも、正面から歌に取り組むことには、ささやかな躊躇も感じてきた、と吐露する。
「〝吉田 羊として歌う〟ということに、踏み出せずにいたんですよね。私はやはり俳優として、役というフィルターが1枚かかっていることで人前に出られる勇気を得ている人間ですから、生身の自分としてマイクの前に立つことには、やはり恥ずかしさがあって、避けてきた部分があったんです。でも最近、ある俳優の方の歌うライブを拝見させていただいて、俳優が歌うことによる表現もあるのかな?と感じる体験をしたんです。ただ歌を聞くだけでなく、歌詞の意味や、そこから広がる情景の奥行きを表現する……それはやはり、俳優だからこそ表現できる世界なのではないか、と」
新しい扉を開く挑戦は、それまで築いてきた場所に風を呼び込む冒険でもある。しかし、不安以上に「楽しみが勝った」という吉田さん。その言葉からも、25年の歩みの確かさがうかがえる。
「25年……振り返ってみれば、あっという間というわけではなかったかな?と思いますね。それなりに辛いことや、しんどい時期も経験しましたし。でも幸運なことに、その時その時に叱咤し、手を差し伸べてくださる方がいて、かけられた大切な言葉があって、何より、温かく応援してくださる方々に恵まれて……。本当に平凡で、何の取り柄もない自分を、その皆さんがここまで連れてきてくださったんだと。だから、皆さんと一緒に迎える特別な時間のために『不肖・吉田 羊、歌います!』と(笑)ライブを行いました。今後も、そんな私のこともまるっと受け入れていただけたら、ありがたいなぁと思っています」
吉田 羊さんPROFILE
PROFILE
吉田 羊(よしだよう)
福岡県久留米市生まれ。「吉田羊Night Spectacles The Parallel〜ウタウヒツジ〜 25th Anniversary Special」は東京・六本木のビルボードライブ東京で、9月22日、23日それぞれ2ステージ行われた。
吉田羊さん着用:ベスト13万7500円、ドレス9万1300円、ローファー7万4800円(すべてサカイ) ピアス4万6000円、バングル16万円、チェーンブレスレット23万78
00円、〈右手親指〉チェーンリング8万8000円、〈右手人さし指〉リング8万6000円(すべてシャルロット シェネ/エドストローム オフィス) ソックス5500円(ババコ/ショールームリンクス)
撮影=長山一樹〈S-14〉 スタイリング=青木千加子 ヘア&メイク=中野明海 取材・文=大谷道子 ※GLOW2022年10月号より。情報は雑誌掲載時のものを再構成しています。
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