【小泉今日子インタビュー】『ピエタ』朗読や新しいものにチャレンジする源は? 「本当に好きなものを知っておくと迷わずキャッチできる」
執筆者:根岸聖子
『ピエタ』について「最初に読んだときは40代、いまは全員に共感しています」
——『ピエタ』は18世紀のヴェネツィアが舞台ですが、人間の描き方はとても普遍的で、人間が人生で悩むポイントは全然変わっていないというか。
「シェイクスピアの作品だって、毎年いろんな団体が上演し続けてきてますもんね。文明は発達しても、人間自体はそんなに変わっていない。『ピエタ』で描かれていることは、今もこの先もスタンダードなことなんだと思います」
——読んだ時の年代によっても受ける印象、響くポイントが変わりますね。
「そう、私も最初に読んだときは40代だったので、一番自分に近いなと思ったのはヴェロニカでした。今はクラウディアさんが当時よりもずっと近い感じがしていますし、前はわからなかったジロー嬢など、どんどんいろんな人の気持ちに感情移入するようになったので、もう今は全員、自分の中にいます(笑)。孤児院で育った人から貴族まで、それぞれに望んでも持てなかったものがある。お金持ちだから全部を持っているわけじゃなくて、お金持ちだから持てなかったことがあるというのもきちんと描かれていて、それぞれが持つさみしさを同じ場所に置いて理解し合うというのが、すごく女性的だなと思いました」
この記事を書いた人
女性誌、テレビ誌、インタビュー誌など定期刊行物やwebサイトで音楽、映画、舞台、ドラマなどエンタメ系のインタビューやレポートを執筆。好奇心の赴くままに、体験もの、実用記事、書籍なども常時進行中。