悪役「草彅剛」の熱気に圧倒される! 舞台『ヴェニスの商人』舞台稽古レポート
執筆者:GLOW編集部
草彅剛の熱気、気迫にただただ圧倒される。シャイロックが憑依している、としか思えない圧巻の演技だった。草彅剛が初めてシェイクスピアに挑むと話題の『ヴェニスの商人』。その公開舞台稽古が、12月5日に東京・日本青年館ホールにて行われた。出演者には草彅のほか、野村周平、佐久間由衣、大鶴佐助、長井短、華優希、小澤竜心、忍成修吾らが名を連ねている。演出は、第21回読売演劇大賞・最優秀演出家賞にも輝いた森新太郎が担当する。
『ヴェニスの商人』舞台稽古レポート
古典の名作を斬新な演出で魅せる
ヴェニスの高潔な商人・アントーニオ(忍成)が、高利貸しのユダヤ人・シャイロック(草彅)から金を借りたことから始まる群像劇が展開する。アントーニオの親友バサ-ニオ(野村)は、ベルモントに住む富豪の美女・ポ-シャ(佐久間)に恋をして、求婚したくても資金がない。アントーニオはバサーニオを援助したかったが、全財産は航海中の船の中だった。アントーニオは自分の胸の肉一ポンドを担保に悪徳高利貸しシャイロックから借金してしまう。ところが、彼の商船は嵐でことごとく遭難し、財産の全てを失ってしまった。借金返済の当てのなくなった彼はいよいよ胸の肉を切りとらねばならなくなるのだが——。
『ヴェニスの商人』といえば、英国の作家ウィリアム・シェイクスピアの傑作の一つ。1594年から1597年の間に書かれたとされていて、すでに400年以上に渡って上演されてきた古典的な名作だ。幕が開いた瞬間、いきなり驚かされる。下手から俳優たちがぞろぞろと舞台上に現れ、舞台奥に設置された長椅子に次々と着席し、客席を見つめるという斬新な演出。舞台上は、木製の壁と床に囲まれ、大掛かりなセットは一切ない。使用されるのは、天秤やナイフ、椅子や机といった最小限の小道具のみだ。衣装も最小限だが、イタリア・ヴェニス、架空の都市・ベルモント、屋敷の中や法廷と場面転換が多く、キャストの衣装が変わる際は、奥に座ったキャストが、そのまま舞台上で着替えていく。
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