非効率な営業のノウハウが親子関係・人間関係に効く! 「周囲に宣言すること、やってみることが大事」【著者インタビュー】
執筆者:杉嶋未来
本のPRをしている黒田剛さん。50万部超えのベストセラーを手がけたそのノウハウをまとめた初の著書『非効率思考 相手の心を動かす最高の伝え方』(4月10日発売)は、仕事に役立ちながら、家族や友人、大切な人とのコミュニケーションにも効くヒントがたくさん詰まっている一冊。本づくりの裏話から、40代女性が抱えがちな「家族・子育て・仕事の両立」を乗り越えるヒントまで。黒田さんの“楽しく続ける”コミュニケーション術に迫ります。
インタビュー:「ビジネスのPR術」は、家族や人間関係にも活きる
はじまりはnoteで話題になった記事から
──編集担当のnoteの記事が話題となり、この本の企画が始まったんですよね。
「そうです。noteをベースにして目次を立ててみたものの、全然足りなくて。『この部分を書き足してください!』って、どんどん指摘をもらって書き足していくことになりました。それからの制作過程は、大変でしたね(笑)。編集の方がめちゃくちゃ大変だったと思います。今回、ライターさんを入れずに自分で書いたので、僕がとにかくアイデアの具材をいっぱい用意して、それをまとめてもらうような作業でした」
──黒田さんの文章は、Xの投稿もとても読みやすいと思いました。
「Xの投稿が文章の練習になるんです。140字で投稿して、本の“種”にする。その1週間後にインスタに投稿。そこでは140字を500~1000字くらいに増やして、“種”を“作物”にする。それを編集担当が選んで、構成を考えてくれました」
──(笑)。その発想はどこから着想を得たんですか?
「僕がPRさせてもらった、経済学者の野口悠紀雄さんの『書くことについて』という本ですね。150字の“種”を積み重ねて、1000字~1500字の“作物”を育てる。それが100個集まると、10~15万字の本になるって話があって。それをヒントにした形です。自分がPRした本に書いてあることを実践してきているので、今回もやってみました」
『書くことについて』以外にも、自身が手がけた本に書いてあることを実行しているそう。
『防災の超図鑑』、家計に役立つ『かさましレシピ』、MEGUMIさんの『心に効く美容』、にーよんさんのダイエット本『ダイエット母さん、20㎏の脂肪をちぎり捨ててみた。』などさまざまなジャンルの人気書籍をPR。
「非効率」な積み重ねが、信頼をつくり
家族、親子関係にも活きる
──「非効率」というタイトルに込めた思いを教えてください。
「今って、“効率よく伝える”とか“タイパ重視”みたいな言葉が主流ですけど、じつは相手の心を本当に動かすのは、効率とは真逆の積み重ねだと思うんです。何度も何度も声をかけるとか、相手の話にじっくり耳を傾けるとか、すぐには結果が出ないけれど、そういう非効率なことの積み重ねが、信頼や関係性を作るんですよね」
──まさに、仕事でも家庭でも必要な「関係性の土台」ですね。
「そう思います。家庭でも、たとえば子どもが思春期になって言葉が減ってきたら、褒めるとか、たわいない話をするとか、“とにかく関わる”ことをやめない。それが非効率でも、いずれ『あの時の会話があったから今がある』ってなることが多い。仕事のチームでも、“この人、ちゃんと気にかけてくれてるな”と思ってもらうには、こういう積み重ねが大切なんですよね」
──仕事のノウハウ本と思いきや、読みながら「これ、親子関係にもそのまま使える…!」と思いました。
「『相手の心を動かす』というのは、仕事でも家庭でも基本は同じ。例えば僕は、PRの現場でいつも「相手のお困りごとは何か?」を考えるんです。子どもでも妻でも『いま何に困っているのかな』『何を欲しているのかな』って、ちゃんと聞いてみることがすごく大事。言葉にしてくれなくても、『これ、やってあげたら助かるかな?』と想像する。それを続けていくと、お互いの信頼関係が深まるんですよ」
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