[インタビュー]高野洸、“真実の愛”を舞台で伝える。語り部としての覚悟と表現への想い│舞台『WAR BRIDE』
執筆者:杉嶋未来
高野洸さんインタビュー
「ジャーナリストも役者も“伝える”点で似ている」
実在の愛と戦争の記憶。実話をもとにした物語
──今回の舞台への出演が決まったときの心境を教えてください。
高野 初めてお話をいただいたときは、ドキュメンタリーが原案になっていると伺って、「どういう舞台になっていくんだろう?」と興味を持ちました。演出や脚本がどう立ち上がるのか、最初は想像がつきにくかったんですけど、台本を読ませていただいたときに「ああ、こういう見せ方で物語を届けていくんだ」と、少しずつ世界観がつかめていきました。自分が担うのは、“語り部”のような立場でもあるので、観てくださる方にとって物語の導入になる部分をどう伝えるか。ひとつひとつの言葉を丁寧に、大切に届けていきたいなと思いました。
──本作のテーマでもある“戦争花嫁”という言葉については、当初どんな印象を持たれましたか?
高野 「戦争花嫁」という言葉自体は、正直に言いますとこの作品を通して初めて知りました。ドキュメンタリー映画を見させていただいて、当時の状況の深刻さ、言葉だけじゃなくて、その背景にあった感情や葛藤みたいなものが、じわじわと浮かび上がってきた感覚でした。戦争という言葉も、僕にとってはすごく重いもので。やっぱり、どこか距離を置きたい気持ちもあるというか、平和であってほしい、と。そう願うからこそ、触れることで悲しさがこみ上げてきてしまうこともあって。でも、だからこそ、作品として向き合える機会があるというのは本当にありがたいことだなと思いました。こうした時代を描く作品に関わらせてもらうことで、自分自身も改めていろいろなことを感じたり、考えたりすることができますし、役を通してそれを伝えていく立場として、しっかり自分の中に落とし込んで、当時の空気や感情を想像しながら演じていけたらと思っています。
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