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[インタビュー]高野洸、“真実の愛”を舞台で伝える。語り部としての覚悟と表現への想い│舞台『WAR BRIDE』

執筆者:杉嶋未来

役を通して感じる“伝える使命”、自分自身との共通点

──今回演じられる“ジャーナリスト”は、舞台オリジナルのキャラクター。役づくりで意識するのはどんなところですか?

高野 “なぜ彼は桂子さんを取材することになったのか”という、人物の動機や背景をまず自分の中で明確にしておきたいと思いました。ドキュメンタリーや台本を通じて自分が感じたこと……愛の力だったり、差別を越える勇気だったり、そういう感情をちゃんと受け止めて、その上で“物語に自然に寄り添っていく存在”になれたらと思っています。あと、今回の舞台は時間軸が行き来する構成になっていて、僕も過去を回想するシーンに出てきたり、現在の取材シーンに登場したりと、立ち位置が変わっていくんですね。そこをどう自然に観ている方に届けられるかは、演出面ともリンクしてくるので、自分なりに“流れ”を感じながら演じていきたいです。

──演じる“ジャーナリスト”とご自身との間に共感できる点、逆にここは違うなというところはありますか?

高野 共感できるのは、“誰かのために何かを届けたい”という気持ちですね。ジャーナリストも役者も、手段は違っても“伝える”という点では似ている気がしていて。僕自身も表現を通じて何かを届けたいと思っているし、ものづくりの現場に関わることがすごく好きなので、そのあたりは重なる部分があるかもしれません。ただ、自分とこの役が違うなと思うのは“勇気”の部分。ジャーナリストの方々って、戦場や過酷な現場にも足を運んで、それでも真実を伝えようとするじゃないですか。僕がその場に立ったとき、同じように動けるかというと、やっぱりそこは違うのかもしれない。でもだからこそ、その勇気を尊敬しながら演じていきたいと思っています。

──“強い信念”がある職業の役ですが、高野さんご自身が、役者やアーティストとして大切にしている信念があれば教えてください。

高野 自分が“自分であること”の意味というか、そういうものがどこかになければ、活動している理由もなくなってしまうと思うので、まずはそこが一番大事かなって思っています。役者って、演じる中でも自然と“自分らしさ”がにじみ出る職業ですし、アーティストもまた“個性”を追求する世界だと思っていて。その中で、たとえば小さいころからダンスを習わせてくれた親への感謝だったり、そうやって育んできた自分自身のルーツを、ちゃんと自分の表現に活かしていけるようにしたいと思っています。そういう“アイデンティティ”をずっと探し続けることが、自分にとっての信念かもしれません。

高野洸さんインタビュー

この記事を書いた人

舞台の制作を経てライターへ。女性誌、インタビュー誌、劇場用パンフレットやwebサイトで音楽、映画、舞台、ドラマなどエンタメ系のインタビューやレポートを執筆。著書に『ぜんぶ! 海外ドラマ』がある。

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