痛みを取り除くことは女性の権利、東京都が10月から無痛分娩への補助を開始|湯山玲子のジェンダーフリー放談
東京都が10月から始める無痛分娩への補助。「痛みに耐えてこそ母」——そんな呪いのような価値観から、やっと解き放たれるときがきたのかもしれない。
湯山玲子さんは言う。これは“甘え”ではなく、“選ぶ自由”の話だと。
無痛分娩が一般化してない現状
私が中学生の頃、遠藤周作など第三の新人といわれた小説家たちの面白エッセイが流行り、その中で女性の出産に関する非常に印象深いくだりがあった。してその文意は「あんなに痛い出産を経験して平気な女性には、ユーモアはわからない」というもので、要するに男は繊細で高等、女は鈍感で下等という、今ではハラスメントに当たるような男尊女卑に満ち満ちた物言いである。じゃあ、無痛分娩にすれば、女もユーモアがわかって男と対等じゃん! と言いたいところだが、日本においてはエッセイが書かれた70年代から今に至るまで、無痛分娩は一般化していない。