5/19公開 映画『宇宙人のあいつ』 舞台挨拶レポート・中村倫也「家族の絆がじんわり沁みる、そんな映画にしたかった」【伊藤さとりのシネマでぷる肌!!】
執筆者:伊藤さとり
映画パーソナリティ・心理カウンセラーの伊藤さとりさんがおすすめ映画を紹介する好評連載。今回は、4月11日に行われた映画『宇宙人のあいつ』完成披露上映会に潜入。23年間もの間、真田家四兄弟の次男として暮らしてきた宇宙人(中村倫也さん)と、真田家・長女(伊藤沙莉さん)、長男(日村勇紀さん)、三男(柄本時生さん)との奮闘を描く異色のエイリアン・コメディ。登壇は中村倫也さん、伊藤沙莉さん、日村勇紀さん(バナナマン)、柄本時生さん、飯塚健監督、MCは伊藤さとりさん!
登壇者からご来場の皆さまへ、ご挨拶
MC 本日は『宇宙人のあいつ』完成披露上映会ということで、ついに映画が完成した今の思いを込めまして、一言ずつ皆さまにご挨拶をいただきたいと思います。まずはじめに、宇宙人であり、真田家の次男・日出男を演じられました中村倫也さんです。
中村 (アントニオ猪木さん風に)みなさん、元気ですかー? もうマスクさえしていれば映画館で声を出ししてもいいそうですよ。(会場からの「元気でーす!」の反応を聞いて)すごい今もう、感動で胃酸が出てます(笑)。日出男役を演じました中村倫也です。
MC 改めてご結婚おめでとうございます!!
一同 イエーイ!! おめでとうございます!!
中村 ありがとうございます!!
MC 続きましてご挨拶いただきますのは、長女・想乃を演じられました伊藤沙莉さんです。
伊藤 こんにちは、伊藤沙莉と申します。ついこの間まで撮影していたのに、あっという間に完成披露試写会がきたな、と思っています。こんなにたくさんの皆さまにお集まりいただいて、とってもうれしいです。ウフフフ……
日村 何がそんなに面白いの?
伊藤 だって、MCの方が「中村倫也さんです」って言った時に、日村さんが一緒にお辞儀していたの、皆さん気づきました? 倫也になりきっているんだもん(笑)。
中村 日村さんって本当は中村倫也なのかな?
日村 あれ? 俺なんで一緒に頭下げたんだろう? とは思った(笑)。すみません。
伊藤 それが気になっちゃって笑ったんです。今日はこんな感じで出だしから盛り上がっているので、ぜひ短い時間ですけど、楽しんでいってください。よろしくお願いいたします。
MC 続きまして、長男・夢二を演じられました日村勇紀さんです。
日村 この作品は、家族がテーマのお話となっていますので、是非みなさん楽しんで観ていただければと思います。今日はうちの親父とお袋も実はこの会場に観に来ています。探してください! 俺と同じ顔のお袋がいるので!
中村 すぐばれちゃうから(笑)!
MC 続きまして、三男・詩文を演じられた柄本時生さんです。
柄本 柄本時生です。このような(わちゃわちゃした)映画が出来上がっていますので、是非楽しんでいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
MC この映画はオリジナル脚本です。脚本を書かれた飯塚健監督です!
飯塚 平日でみなさんお仕事とか学校とかあったと思うんですけど、足を運んでくださってありがとうございます。今日は楽しんでいってください。
宇宙人の技ができあがるまでの話
MC 中村倫也さんが宇宙人役。役作りでどんなことを心がけたのでしょうか?
中村 例えば戦国武将の役であれば、その由の地に行って、お墓があったらお墓参りして…とか、今まではやっていたんですよ。だから今回も土星に行って。まぁ、遠かったですね。思ったより。7時間くらいはかかりました。
日村 うるせーな(笑)!
中村 あはは。特に役作りは何もしていないです。こんな感じで楽しく、ノリ配分を多めでやりました。
MC 映画の中では、いろんな宇宙人の技を披露してくれていますが、あれは監督の演出があったのでしょうか?
中村 最初の技は飯塚さんに「どんなイメージですか?」って聞いてやって、次からは主に沙莉からもらっていました。
伊藤 いやいや、技をあげたわけじゃなくて、「変顔くれ」って言われたからやっただけですよ。
中村 変顔を、僕はどうしても沙莉に考えて欲しかったんです。やっぱり若い頃、無名時代から飯塚組にお世話になっている僕ら二人で、その歴史があったものですから。決して自分で考えるのが面倒くさかったわけではなく、「ここはどうしても沙莉に考えて欲しい」と言いましたら、涙ながらに考えてくれまして、「そうですよね(涙)」って。
伊藤 ……あの、倫也さんに「みんなで変顔してスベろう」って言われたんですよ。
日村 言ってたね。
伊藤 「みんなでスベることで絆を持ちたい」って言うから。涙とか一滴も流してないです。「こんな感じでどうですか?」ってやったら、結構メインどころで使っていただけましたね。
中村 そうですね、映画を観ていただけるとわかるんですけど、高知城のシーンで使う技の時の顔は、沙莉からいただいたありがたいお顔です。お楽しみに!
日村 ちょっと一回、どういう顔を倫也くんに渡したのか見せて欲しい。
伊藤 私のやった見本を? (変顔したのを)ニュースのトップとかにしないでくださいね。
中村 やめるか?
伊藤 そういうのはやめよう。気を使われたくない。やる、やる。
中村 やったほうが、せっかく来てくれたお客さまにはいいと思う。
柄本 カメラは(一斉に沙莉さんに向けられて)今すごいことになっている!
飯塚 「ヨーイ、ハイ」くらい言おうか?
伊藤 はい、そうですね。本当にスベる・スベらないとかじゃないから。
中村 前置きはもういいよ。
飯塚 カットかかるまでやってね。ヨーイ、ハイ!
(伊藤さん、変顔するものの途中でやめる。会場から拍手喝采)
伊藤沙莉さんの変顔
伊藤 カットかかる前にやめちゃって、今、心臓止まりそうなんですけど!
中村 気にしすぎだよ。
伊藤 役者はカットかかるまで演技をやんないといけないのに。それは、飯塚さんに教えてもらって、今まで大切にしてきたことなのに…
飯塚 いやいや、舞台挨拶ではそんなのないでしょ(笑)。
伊藤 あぁ、良かった。震えています。見て、この震え、ガチだから。
中村 マジで? じゃあ俺も。(震えて見せる)
伊藤 その伝染おかしいでしょ!
カメラ外でも仲がいい真田家四兄弟
MC 皆さんの仲の良い関係が見え隠れしていますけれど、真田家の長女として伊藤沙莉さんは今回いかがでしたか?
伊藤 放てば何かが返ってくるという安心感と信頼があり、その中で生まれてくるものがたくさんあって、毎日毎日撮影していて楽しかったです。何かを事前に準備して持っていかなくても、その場で思いついたこととか、流れで起きたことを大事にしていったら、あの空気感になったんじゃないかと思います。
MC 日村さんがいますから、笑うのを我慢するということもあったのでは?
日村 いや、俺以外もね、沙莉ちゃんは何でも笑うの。それが空気をめちゃくちゃ良くするの。俺たちは助かった。本当に彼女はムードメーカー。でも監督は、すげえ笑っているのに関しては、たまに注意していましたよね。
飯塚 よく観ると、笑っているところを本編に使ったりしています。
柄本 やっぱそうですよね。沙莉が素の沙莉になっている時あった!
MC その臨場感がすごく面白い作品でもありますね。日村さんはこのメンバーの中で長男です。いかがでしたか?
日村 うれしかったですね。高知で3週間くらい撮影をやったんですけど、どんどん仲良くなって、最高のメンバーでした。倫也くんも沙莉ちゃんも、こんな弟や妹がいたらいいな、って本当に思う。時生くんもね…時生くんて…すごいでしょ? 俺が言うのも何だけど…、すごいじゃない? この…、さぁ…。
中村 もっと具体的に…
柄本 具体的に言って全然大丈夫です!!
日村 すごいじゃない…佇まいが。ねぇ…、すごいでしょ? (会場、爆笑)時生くんは可愛いんだよ、最後は弟みたいに本当に仲良くなったの。芸能界でこんなに仲良くなれる人が50歳にもなってできるとは思わなかったから。そういうのも含めて、今回は最高でした。それがスクリーンには絶対出ていると思います。
MC みんな真の友達になったんですね?
日村 俺は本当にそう思ってる。うん。だって、(中村さんが)結婚した時も、一気にグループラインが動いたもんね。(体を上下に激しく動かしながら)ダララララって。
伊藤 動いた、動いた!
中村 グループラインを体で表現する人初めて見た(笑)。
日村 あのね、今日来れなかった若手の俳優さんたちもすごいがんばっていて、現場の雰囲気がとても良かったの。スタッフさんたちの中でも高知弁の「ぜよ」が流行って、みんな「ぜよ、ぜよ」言ってたね。
伊藤 言ってた!
日村 俺、あぁいう現場の感じも大好きだった。そういう気持ちよ。完成して欲しかったけど、別れもきつかった。
MC でもみんな仲良しで、今もSNSでも繋がっているんですよね? さっきからいちばん傍観している感じだけど、柄本さんは?
柄本 繋がっていますよ。ご飯会をうちでやったりもしました。
日村 そうそう、時生くんちでやった。
柄本 日村さんが「なんだこの家、面白ハウスじゃねえか! 」って。
日村 ロケ番組で時生くんちに行って欲しい。それでエアコンを見てほしいの。何て言っていいかわかんないけど、あんな飛び出してくるエアコン、無いよね。
中村 普通のエアコンの5倍くらいの大きさがあるんですよ。
柄本 皆さんが思っているエアコンより、本当に5倍でかいっす。
日村 それが各部屋にあるの。寝室からリビングから全部同じエアコンが。それで、リモコンはないんだけどつまみがあるの。「弱、中、強」みたいな。
柄本 うるさいなー! 言い過ぎなんだよ。ほんと人んちの情報、言い過ぎはダメよ(笑)。
MC 柄本さん、この感じで現場での撮影はスムーズに進んでいたんですか?
柄本 はい、進んでいました。でもちゃんとみんな静かにする時は静かにしますし。
中村 小学生みたい(笑)。学園ドラマじゃないんだから。
柄本 常にギャーギャーしてるわけではございませんので大丈夫です。
中村 こういう風に時生がいい感じの立ち位置をキープしてくれるの。それで僕らは思う存分遊んじゃう。
柄本 確かにそうですね。みなさんすごく遊んでいましたね。楽しかった!
MC ところで飯塚監督は、この物語でこのキャスティングをどういうところからお考えになったのですか?
飯塚 倫也に役を書く。「何がいいかな? 」「宇宙人だ! 」っていうところは、そんなに悩まなかったですね。
中村 なんで悩まないの(笑)?
飯塚 いい4人だなって、こう見ていても改めて思いますし。
MC そもそも中村さんは日村さんのことが大好きで元から親交があったそうですね。役者として共演してみてどうでしたか?
中村 何年か前からバナナマンのライブを見ていて、“スーパー憧れの人”でした。いつかお芝居で共演したいと思っていましたし、その時からずっと日村さんのプレイヤーとしての能力の凄まじさを見ていたので、撮影に入る前、久しぶりの映画で「幸せだなー」って言っていたんです。
日村 ちょ、そんな加山雄三さんみたいなこと言わないでしょ?
中村 (加山雄三風に)「幸せだなー」って。
日村 なんでどんどん足していくの? そうやって。
中村 あはは。とにかく、僕は「日村さんは全然余裕ですよ」って思っていました。この映画は、日村さんの魅力が炸裂しているので、皆さんも観終わる時には「夢二、最高! 」ってなっていると思います。
日村 僕らのバラエティに倫也くんが出てくれたりして過去にも共演はあったんですけど、ゴルフに一緒に行ったりとか、プライベートの方で仲良くなってお友達になったので、まさかこうして映画という倫也くんの世界の方に俺が呼んでもらえるとは、夢にも思わなかったから緊張しました。「この人、そっか、お芝居するんだ」とか「声がいい」とか(笑)。あと、芝居って結構距離が近いじゃない? そうすると、「あぁ肌がきれいだ」とか。今までの友達の感覚では知り得なかった中村倫也がいっぱい見られました。他の作品の中村倫也もいいけど、この作品では、また全然違う彼のすごさがいっぱい見られると思う!
飯塚 今ひとつ思い出しました。予告編でも使われている倫也が泣くシーン。近距離で倫也と日村さんが見つめあって。あの時カットかかった時に、日村さんが「あんなに泣くんだね」って言っていたのを思い出しました。
日村 僕と二人きりのシーンなんだけど、本番が始まる直前に僕のところに倫也くんがスッと来て、「日村さん、僕この後すごい泣きますけど、びっくりしないでくださいね」って言うの。それで、お芝居の中でボロボロボロって泣いたの。すごくない? 俳優さんって。俺が素人だからびっくりしないように事前に伝えてくれたの。とにかくプロってことですよ。それが言いたかったの。本当にすごいから!
この中で宇宙に一人だけ連れて行くなら?
MC みなさんに共通の質問をさせていただきます。宇宙に行くとしたら、この中の誰と行きたいですか? 本音でお願いします。
中村 僕は飯塚監督です。どうせ行くなら、何か撮りたくないですか? 単純に一緒に行ったらすごい感動するだろうし、わーって盛り上がるだろうけど。せっかくだから撮ってもらいたいかな。映画『宇宙に行ったあいつ』を。
日村 あぁ、いいねえ。理由もいいね。
柄本 僕は、日村さんがいい。日村さんってほとんど知らない人の話を2時間聴けるらしいです。何でも興味を持ってくれるんですよ。ってことは、僕と行ったとしても「あれ何だろうね」「これ何だろうね」って、きっと話しかけてくれるんじゃないかと。僕はそれに賭け、日村さんと行きたいです。
伊藤 わたしは時生さん。やっぱり落ち着くし、ずいぶん長らくお兄ちゃんとして接してきたから。なんて言うんですかね、気張らず、宇宙でぼーっと旅ができそうだなと思って。
中村 どこまで行くつもりなのよ? 俺は1日くらいの気持ちでいたけど。
伊藤 そうなんだ。無限に行くと思ってた。
柄本 俺も無限派だった。
日村 マジ? 無限に俺といるの? すごいね、時生くん。
中村 帰れない設定だったの? じゃあ何か撮っても無駄ってこと?
日村 僕はね、絶対沙莉ちゃん。だって可愛いもん。いや、全員可愛いんだけどね、ここにるメンバーは。監督も本当に可愛いし。
中村 気の使い方間違っているし(笑)。
日村 いやいや、沙莉ちゃんってね、大女優なのに全然気を使わせないの。人の心にすっと入ってくる女優さん、他にいないと思うの。
飯塚 僕も沙莉ですかね。
日村 ライバルだ(笑)。
飯塚 沙莉と語りたいですね、土星の輪っかを見ながら。
中村 ちょっと待って。主演の僕が誰からも選ばれてないんですけど。この映画、大丈夫かよ? 誰も気を使ってくれない……(笑)。
MC じゃあ中村倫也さん、主演として答えていただきたいと思います。ズバリ、宇宙人はいると思いますか?
中村 (食い気味に)います、います、います!!
伊藤 早い、早い!
中村 だってもう、星ってすごいあるんですよ。高度な文明を持っている宇宙人というのは、宇宙の片隅に住んでいる僕らの想像力の具現化した形でしかないだろうけれど、細菌レベルだったら絶対にいると思っています。
MC じゃあ、宇宙人に会ってみたいですか?
中村 別に。地球、楽しいし。俺、地球好きだし。
柄本 宇宙人みたいな言い方(笑)。
中村 地球だって宇宙だし。
柄本 それ、引きこもりの言い方ですよ(笑)
MC 楽しい舞台挨拶ありがとうございました! 最後に代表して、中村倫也さんからご来場の皆さまに一言メッセージをお願いいたします。
中村 改めましてみなさん、本日はありがとうございます。この映画はすごく、「何て言えばいいんでしょう」って言う映画なんですよ。観ていただいたらわかると思うんですけど。でも描かれているのは、ある宇宙人が来たことによる面白おかしいノリと、人と人との繋がり、家族というものの絆です。この3年くらいで、人との繋がりというものを一度はみなさん考え直したタイミングがあったんじゃないかと思いますので、観ていただくときっと何かが思わぬうちにじんわり沁みてくるような、そんな映画になるといいな、と思いながら作りました。気楽に、まずは楽しんでいただけたらうれしいです。ありがとうございました!!
5月19日(金)公開 映画『宇宙人のあいつ』
【あらすじ】家族になりすまして23年。人間の生態を調査しに土星から来た宇宙人は、真田家四兄弟の次男・日出男として、長男・夢二、長女・想乃、三男・詩文と暮らしていた。家族というものがわからない日出男は、夢二から教えてもらう。「兄ちゃん、家族って何?」「自分よりも、大切なものがあるってこと」。
家族の様ざまな問題が起こる中、地球を離れる日が近づいてきてしまう。残された時間は、あと三日間。人間としてやり残したことへの日出男の奮闘が、今始まる!
2023/日本/117分
監督・脚本:飯塚健
出演:中村倫也 伊藤沙莉 日村勇紀(バナナマン) 柄本時生/関めぐみ/千野珠琴/細田善彦/平田貴之/山中聡/井上和香/設楽統(バナナマン)/山里亮太
主題歌:氣志團「MY SWEET ALIEN」(影別苦須 虎津苦須)
制作幹事:エイベックス・ピクチャーズ ポニーキャニオン
配給:ハピネットファントム・スタジオ
©映画「宇宙人のあいつ」製作委員会
撮影=松橋晶子 取材・文=土谷沙織
この記事を書いた人
邦画、洋画問わず年間500本以上の映画を鑑賞。映画舞台挨拶や完成披露会見等のMCを数多く担当している。また、心理学的な視点からも映画を解説。12月に新著は『映画のセリフで心をチャージ 愛の告白100選』(KADOKAWA)。「ぴあ」、「otocoto」でのコラム連載や、YouTube「新・伊藤さとりと映画な仲間たち」、「めざましテレビ」「ひるおび」での映画コーナー等、幅広いメディアで映画を紹介。映画と、映画に関わる全ての人々を愛してやまない映画人。
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