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視力を失ったクライマーと視覚ガイドのリアルな冒険を追う! 5/12公開『ライフ・イズ・クライミング!』【伊藤さとりのシネマでぷる肌‼】

執筆者:伊藤さとり

映画パーソナリティ・心理カウンセラーの伊藤さとりさんが、お肌も心もぷるっと潤う映画を紹介する連載。今回は『ライフ・イズ・クライミング!』


出会って20年のふたり、新しい挑戦は困難も楽しむ!

ドキュメンタリー映画『フリーソロ』(米)、『エヴェレスト 神々の山嶺』(日)、アニメーション映画『神々の山嶺』(仏)など「クライミング」映画は多く存在します。その理由は、「ボクシング」映画と同じように、命懸けで危険な冒険に挑む姿は、どこか神々しくスリリングで、達成した時には大きな感動に包まれるからです。だから経験したことがなくとも映画に魅了されるのですが、この映画ではそれとは全く違う感動が待ち構えていました。

本作『ライフ・イズ・クライミング!』は、視力を失ったクライマーと彼の視力となるサイトガイドのドキュメンタリー映画。命綱を外すこともなければ、誰もが登ったことのない山に挑むわけでもない、岩登りが大好きな視覚障がいのコバさんと同じようにクライミングが好きでコバさんに魅了されたナオヤさんの二人三脚のロードムービーです。このドキュメンタリーに冒頭から心鷲掴みにされたのは、小学生の女の子がボルダリングジムでコバさんの視覚(サイト)ガイドとして声がけしているシーンでした。彼女は一生懸命、指示を出し、コバさんがルートを達成すると褒め称え、コバさんは彼女にお礼を伝えるのです。

「あ、この映画は山登り映画じゃないんだ」

やがて知るコバさんの志。彼は自分の為に山に挑むのではなく、視覚障がいの人に夢を与える為に「山に挑む」のだと。それを叶えるには一人の力では到底無理で、サイトガイドとの絆のように、誰かと力を合わせないと夢は叶えられないというシンプルなメッセージが映画には詰まっていました。

ドローンを使ってコバさんが美しい大自然の頂上へと登りつめていく光景と共に、下からナオヤさんの生声が響き渡る。しかも楽しげに褒め称える声がけ。世界各地の大自然と溶け込む映像の中に輝く命が映し出され、NPO法人を立ち上げ障がい者クライミングの普及活動を自ら体現して実現できることを映像で私たちにも伝えるコバさん。その姿は障がいがあろうがなかろうが、「登れない壁はない」という勇気と行動による結果そのものでした。これぞドキュメンタリーから得られる「事実は小説より奇なり」の更に上を行く、“思考と行動で人生は変わる”人間ドラマ。何かを始めるきっかけを与えてくれる映画って、こんな作品のことを言うんですよね。
——伊藤さとり

5/12 新宿武蔵野館、シネスイッチ銀座、YEBISU GARDEN CINEMAほか
全国ロードショー『ライフ・イズ・クライミング!』

予告編をチェック!

【あらすじ】視力を失ったクライマー・コバ(小林幸一郎)と、視覚(サイト)ガイドのナオヤ(鈴木直也)の出会いは2001年。「右手、1時半、遠め。右、右、右!」、遠くから聞こえる相棒・ナオヤの声を自分の目のように頼り、8の字結びのロープでつながり、命をゆだねて岩を登るクライマー・コバ。世界選手権4連覇を成し遂げたふたりが、次に目指したのは、ユタ州の大地に聳え立つ真っ赤な砂岩フィッシャー・タワーズの尖塔に立つこと。この、とんでもない冒険の結末は? そして、その時コバの目はどんな景色を見るのだろうか?

  2023年/日本/89分

小林 幸一郎   鈴木 直也   西山 清文  エリック・ヴァイエンマイヤー
主題歌:「Amazing」MONKEY MAJIK  音楽:Chihei Hatakeyama
撮影:中原 想吉  清野 正孝  エグゼクティブプロデューサー:スージュン  プロデューサー:森 多鶴  監督:中原 想吉
助成:文化庁文化芸術振興費補助金(映画創造活動支援事業) | 独立行政法人日本芸術文化振興会
文部科学省選定 一般非劇映画(少年、青年、成人、家庭向き)
製作:インタナシヨナル映画株式会社  NPO法人モンキーマジック  株式会社サンドストーン  株式会社シンカ

配給:シンカ 

©Life Is Climbing 製作委員会

『ライフ・イズ・クライミング!』公式サイト

この記事を書いた人

映画評論・映画パーソナリティ・心理カウンセラー 伊藤さとり

映画評論・映画パーソナリティ・心理カウンセラー

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邦画、洋画問わず年間500本以上の映画を鑑賞。映画舞台挨拶や完成披露会見等のMCを数多く担当している。また、心理学的な視点からも映画を解説。12月に新著は『映画のセリフで心をチャージ 愛の告白100選』(KADOKAWA)。「ぴあ」、「otocoto」でのコラム連載や、YouTube「新・伊藤さとりと映画な仲間たち」、「めざましテレビ」「ひるおび」での映画コーナー等、幅広いメディアで映画を紹介。映画と、映画に関わる全ての人々を愛してやまない映画人。

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