坂本美雨さん「人生後半戦、“好き”を貫いて楽しく生きたい」【これから先のわたしへ】
執筆者:土谷沙織
これから先のわたしへ
「Aging Gracefully」は、40代、50代女性のこれからを応援する、朝日新聞社とGLOWの共同プロジェクト。インタビュー『これから先のわたしへ』では、Aging Gracefullyをテーマに、 憧れの女性像や、一緒に歩んでいきたい相棒アイテム、自分らしくいられるモノやコトなど、わたしの“これから”をお伺いしています。
ミュージシャン 坂本美雨さん
1980年5月1日生まれ、東京都出身。1997年、16歳で歌手活動をスタート。その後、執筆活動、ナレーション、演劇など表現の幅を広げ、2011年よりTOKYO FM『 ディアフレンズ』パーソナリティを務める。2015年に長女を出産。子育てを綴った近著に『ただ、一緒に生きている』(光文社)がある。撮影=前康輔
好きなことだけをして
楽しく生きていこう
若い頃は生きること・死ぬことに対して、ある種気ままに捉えていました。でも猫のサバ美と出会い、娘が生まれ、大切な人も増えた今、「残りの人生をどう使うか」は、重要なことになりました。 ここ数年で世の中もガラリと変わり、〝自分が幸せに生きることが周囲の幸せにつながる〞という価値観が浸透した気がします。そういう意味で、ひとりひとりが自分の本当に好きなこと、心の底から求めていることに向き合える時代になったと感じます。ただ、その生き方を貫くためには、きっと意志の強さや環境を整える地道な努力が必要になるはず。もしかしたら何かを犠牲にすることもあるかもしれない。それでもやっぱり、わたしは人生後半を〝好き〞を貫いて楽しく生きたい、と思います。そのために今からできることとして、日常の事柄に対し、自分の魂に耳を傾けながらひとつひとつ丁寧に選択することを心がけています。
☑大手術から見事に復活した15歳の愛猫サバ美
ボランティア活動やチャリティライブ出演など、動物愛護活動をライフワークとする坂本さん。2014年に刊行された猫のいる暮らし、保護猫のサバ美との出会いを綴った著書『ネコの吸い方』(幻冬社)も話題に。「13年前、里親募集のサイトで見つけてひと目惚れしたサバ美は、現在はだいたい15歳。昨年末に腫瘍切除の手術をしたのですが、どんどん回復して最近は毛並みもツヤツヤ、元気いっぱい。サバ美と一緒に過ごせる一日一日は、とても尊いものです」
生きていることがすべて表現になる、
死ぬまで歌うためにも自分を生き切りたい
歌手というのは、生きていることそのものが表現になる特殊な職業です。毎日何をして、どんなことを考え、誰を好きで、何が好きで……ということが全部、歌になる。それって、怖いけれどすごく幸せなことでもあります。この先自分から生まれる歌が、どれだけ楽しみや喜びにあふれているかは、すべて自分次第ということ。死ぬまで歌うためにも、まずはちゃんと自分の人生を生き切りたい、と思います。
☑愛おしい瞬間を忘れないよう写真で記録しておく
「写真を撮るのが好きです。これらは、旅先での風景。娘の写真は、香川県の直島から帰るフェリーの中でなんとなく撮ったもの。もう一枚は、長崎のライブ会場で、お客様を迎えるステンドグラスの影が白い壁に反射してとても美しかったところ。持ち歩いているデジカメはLEICA Qですが、カメラがない時はiPhoneでも撮影します。さりげない日常のひとコマを忘れたくなくて、写真にとどめているんです」
取材・文=土谷沙織 ※雑誌GLOW2023年3月号より。情報は雑誌掲載時のものになります。
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