【映画】公開中『大名倒産』神木隆之介×浅田次郎×松竹のマネー系時代劇は間違いない! お殿様、100億の借金をどうする?【伊藤さとりのシネマでぷる肌‼】
執筆者:伊藤さとり
映画パーソナリティ・心理カウンセラーの伊藤さとりさんが、お肌も心もぷるっと潤う映画を紹介する連載。今回は『大名倒産』。幅広い層から愛される人気俳優神木隆之介が、殿になった途端に次々とピンチに見舞われる、巻き込まれ系プリンス・松平小四郎を演じる。さらに杉咲花、松山ケンイチ、浅野忠信、佐藤浩市など超豪華キャストが集結し、ベストセラー作家・浅田次郎のノンストップ時代小説を彩る。監督は、『老後の資金がありません!』『そして、バトンは渡された』などで今最も注目を集める前田哲。藩の借金返済は、実は現代にも通じる痛快エンターテインメントだった!
いきなりお殿様になったと思ったら100億円の借金が!!
意外と面白い?! いや、相当面白かった映画! それが神木隆之介を始め、豪華キャストが軽快な演技でお金のやりくりを指南してくれる『大名倒産』です。
「お金のやりくり?」というと最近だと天海祐希主演の『老後の資金がありません!』(2021)という老後のお金のやりくりを描いたヒット作がありますが、本作の監督はなんとその映画の監督でもあった前田哲! これを『武士の家計簿』(2010) 『殿、利息でござる!』(2016)『決算!忠臣蔵』(2019)などを手掛けた松竹がまたもや時代劇お金シリーズとして製作したんだからキャストも絢爛豪華なのです。
「時代劇&お金」の何が面白いかって、大名や武士はやたらとお金がかかる。交際費から人件費、武具を保有などなど挙げるとキリがないのですが、溜まりに溜まった借金を返済する方法って意外と現代にも役立つというわけ。本作『大名倒産』はベストセラー作家、浅田次郎の原作を映画化した痛快コメディです。
神木隆之介が演じるのは、突然、徳川家康の子孫と言われた越後の鮭役人の小四郎。そのタイミングで、佐藤浩市扮する藩の殿様だった実の父親は小四郎に国を任せ、隠居生活をスタート。蓋を開けたらなんと藩は25万両(今の価値では100億円)の借金を抱えていて、父親いわく、“大名倒産すれば借金を踏み倒せ、皆が助かる“とのこと。けれどそれは藩主の小四郎が責任を負って切腹することでもあったのです。
この危機から逃れるために小四郎は帳簿を見直したり、杉咲花演じる幼馴染からアドバイスをもらったり、浅野忠信扮する教育係の助けを借りてお金のやりくりを学ぶと共に不正を暴くという、ちょっと「遠山の金さん」的な作品でもあります。
しかも早くに亡くなった小四郎の母親役・宮﨑あおいが天の声のようなナレーションで優しく物語に寄り添ったり、育ての親にはコミカルな演技も得意な小日向文世だから、冒頭からホンワカして面白そうな予感。そして小四郎の兄弟として松山ケンイチや桜田通が登場。なんとほんのり恋愛模様まで描かれていて、有名俳優たちが個性的なキャラクターを演じることで抱腹絶倒、それだけでなくお金の知恵まで学べてしまうお得な映画なんです。しかもエンドロールではGReeeeN新曲「WONDERFUL」に乗って“インド映画かっ?!”と突っ込みたくなるダンスシーンまで。為になる時代劇エンタメは、やたらとお金のかかる現代の大人に大のオススメですよ!
――伊藤さとり
全国公開中『大名倒産』
【あらすじ】越後・丹生山(にぶやま)藩の鮭売り・小四郎はある日突然、父から衝撃の事実を告げられる。なんと自分は、〈松平〉小四郎― 徳川家康の血を引く、大名の跡継ぎだと!
庶民から一国の殿様へと、華麗なる転身…と思ったのもつかの間、実は借金100億円を抱えるワケありビンボー藩だった!? 先代藩主・一狐斎は藩を救う策として「大名倒産」つまり藩の計画倒産を小四郎に命じるが、実は全ての責任を押し付け、小四郎を切腹させようとしていた…! 残された道は、100億返済か切腹のみ! 小四郎は幼馴染のさよや、兄の新次郎・喜三郎、家臣の平八郎らと共に節約プロジェクトを始めるが、江戸幕府に倒産を疑われ大ピンチ! 果たして小四郎は100億を完済し、自らの命と、藩を救うことが出来るのか!?
2023/日本/120分
監督:前田哲 脚本:丑尾健太郎、稲葉一広
出演:神木隆之介
杉咲花 松山ケンイチ 小日向文世 小手伸也 桜田通 宮﨑あおい キムラ緑子 梶原善 勝村政信 石橋蓮司
髙田延彦 藤間爽子 カトウシンスケ 秋谷郁甫 ヒコロヒー 浅野忠信 佐藤浩市
製作:『大名倒産』製作委員会
配給:松竹
© 2023映画『大名倒産』製作委員会
この記事を書いた人
邦画、洋画問わず年間500本以上の映画を鑑賞。映画舞台挨拶や完成披露会見等のMCを数多く担当している。また、心理学的な視点からも映画を解説。12月に新著は『映画のセリフで心をチャージ 愛の告白100選』(KADOKAWA)。「ぴあ」、「otocoto」でのコラム連載や、YouTube「新・伊藤さとりと映画な仲間たち」、「めざましテレビ」「ひるおび」での映画コーナー等、幅広いメディアで映画を紹介。映画と、映画に関わる全ての人々を愛してやまない映画人。
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