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【映画】『猫と、とうさん』 名ドキュメンタリーを6匹の猫と三池崇史監督の映画が支えた!? マイ・ホン監督インタビュー 【伊藤さとりのシネマでぷる肌‼】

執筆者:伊藤さとり

映画『猫と、とうさん』 マイ・ホン監督と伊藤さとりさんと愛猫

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映画パーソナリティ・心理カウンセラーの伊藤さとりさんが、お肌も心もぷるっと潤う映画を紹介する連載。今回は『猫と、とうさん』のマイ・ホン監督にインタビュー。伊藤さとりさんの愛猫・プリンくんとマロンくん、マイ・ホン監督のパートナーであり2024年配信のNetflixシリーズ「忍びの家 House of Ninja」の監督・脚本を務めるデイブ・ボイル氏も同席し、なごやかな雰囲気で行われたトークをどうぞ!


猫とメンズパートナーというテーマについて

伊藤 いつから猫を飼ってらっしゃるんですか。

マイ・ホン 子供の頃から、いつも猫がいました。今は6匹いて、最年長は18歳です。

伊藤 すごい! うちは23歳がいたんですよ。

マイ・ホン それくらい長生きしてほしいと思っています。

伊藤 旦那様は結婚して初めて猫と暮らすことになったんですか?

マイ・ホン 出会った当時は夫には猫が居なくて、猫の方が夫を探しました。というのも、ある日お腹をすかせた猫が彼のところにやってきて、餌のこととか私が指示をして。その子が何度も彼のところに戻ってきたんです。夫はそれまでもいい人でしたけど、こんなに愛情を持って接するんだと驚きました。それから猫と夫が仲良くなって。それが一匹目です。

伊藤 ドキュメンタリーのキャットムービーは海外にもいくつかあるんですけど、男性と猫の関係を描くのは初めて見て、『猫と、とうさん』面白かったです!

マイ・ホン 以前から男性と猫は写真集などであったんですけど、映画はなかったのでぜひ作りたいなと。自分で観たいと思う映画にしたくて作りました。私はこの男性と猫というテーマにほとんど取り憑かれたようなところがあって(笑)。人にこの話をすると、いいね、と乗り気だったり喜んでくれたので、さらに作ろうと思いました。でも映画は最初の想定とはかなり異なっていて。2020年コロナが大きな影を落とし、違う方向になったんです。

伊藤 最初に出てくるインフルエンサーのネイサンは、まさにコロナ禍に猫によって救われたという風に捉えられましたよね。

マイ・ホン そうですね。彼は本当に1年間ステイホームでしたね。その期間にビデオをいっぱい撮って、時間や労力を注いでSNSに乗せてそこから飛躍したわけですよね。

映画『猫と、とうさん』ネイサン・ケーンと猫のプリンセス俳優・インフルエンサーのネイサンとプリンセス

マイ・ホン 彼が猫なしにあの期間を乗り越えられたか、と考えてしまいます。L.A.の人は本当に小さいアパートやマンションに住んでいるので、それを考えるとコロナ禍は本当に多くの人が閉じ込められたような形。乗り切るのが大変だったけど、ネイサンのビデオに多くの人が関心を持ってくれた。

伊藤 猫とメンズパートナーにはどのくらいお会いになりましたか?

マイ・ホン ドキュメンタリーの場合、候補を20~30名は立てると思うんですけど、予算と時間の制約があったので本当に私が希望する人に絞りました。あともうひとつ、あまり地域が偏らないように、大都市以外でも選びました。N.Y.で路上生活していたデヴィッドは、彼を支援している人から映画が彼の助けになるのではと、向こうからアプローチが来た唯一の人。キャスティング決定後で、でも会うだけ会ってみようと。これ以上作品に彼を入れる余地がないのと、当時想定していた映画のスタイルに合わないと感じていまた。だけど、デヴィッドと知り合って何とか彼をこの映画に入れたいと感じてそこで2020年が来て大きく変わりました。それゆえに映画のテーマも元々は明るい軽い映画にしようって思っていた出発点からかなり異なるところに着地しました。当初7人の男性を決めていて、この7人以外にもコロナ禍ゆえに辞退するっていう人が出てきたのでデヴィッドを入れる余地ができた。そして9人目が、クリスですよね、デヴィッドに会ったことをきっかけにクリスに繋がったんです。

映画『猫と、とうさん』ニューヨークのデヴィッドと猫のラッキーデヴィッドとラッキー

伊藤 そこがドラマチックですよね。命の物語に変わっていったというのが素晴らしいドキュメンタリーでした。ドキュメンタリーを初めて撮影されて、物語の映画との違いや面白味はありましたか。

マイ・ホン 大きな違いは人数ですね。管理しやすいですし、自分でコントロールできる余地もある。結果もコントロールできるので、ある意味編集しだいで変えられるところがあります。編集をすることでストーリーを見出す、いくらでも時間をかけられるので、撮影した後に違う意図を加えたりできる。あと、人、機材、照明などが猫を恐がらせることになるのでとにかく少人数、1人や2人で撮影していました。そういったことで混乱も少ないのが、私には合っていて。フィクションはいろいろなものを動かしたり、完璧を目指さなければいけないけど、ドキュメンタリーは臨機応変に状況に順応していくのでよかったです。コロナ禍でさまざまなことに制約や制限がかかり大変でしたが、うまくいかせたので、私はドキュメンタリーのほうが好きですね。

映画『猫と、とうさん』 マイ・ホン監督猫のネックレスとドレスが可愛いマイ・ホン監督。日本は猫グッズが多く散財してしまうそう。

輝く女性たちが増えている

伊藤 日本はやっと女性監督が増えてきたけど、まだメジャー映画ではなかなか撮りづらい状況。アメリカはいかがですか。

マイ・ホン 女性が活躍できるようになったのもここ最近のことですよね。me tooムーブメントで色々なことが大きく動いたと考えると本当に数年のこと。『バービー』(日本では2023年8月11日公開)がアメリカで成功した。グレタ・ガーウィグ監督はインディペンデントでずっと撮っていた方。そういう人が出来る、と証明してくれたことにより興行的にもお金がついてきて可能性がより広がると思います。私の場合は男性のサポートを多く得て、幸運にも次回作も撮れるようになったんです。スタッフの男性の力もあるので功績を分けるというか、男性の力によるところもあります。

伊藤 日本もそうなんです。意識を持っている男性がプロデューサーで監督が女性というケースもあります。『猫と、とうさん』は女性目線での男性と猫の関係って斬新だし、マイ・ホン監督にしか撮れないものですよね。

マイ・ホン 私自身のドキュメンタリーでは無いけれど、私らしさも反映されています。私の好きなものが詰まった作品です。

伊藤 私も「愛」と「猫」という好きなものが詰まっていました!

映画パーソナリティ、心理カウンセラーの伊藤さとりさんさとりさんのピアスも猫!

伊藤 GLOWは輝く、をテーマにしていますが、マイ・ホン監督が輝くために気をつけていることは?

マイ・ホン 睡眠! あと自分の大切なものに時間をかけたいので、無駄にしない時間の使い方をするようにしています。

伊藤 輝いているな、と思った方はいらっしゃいますか?

マイ・ホン 次回作のテーマ、対象である女性には触発されますね。自身のビジネスもあり母でもありながら、猫を救うために活動されていて。やる気があり文句も言わず楽しみながら。いとも簡単に活動しているのでどうやっているのかなと思います。猫を救う活動は辛いこともあると思うけど、やってのけて続けているんです。

伊藤 すごい! 作品に出てくるレスキューの方ですか?

マイ・ホン 今回の作品には出ていなくて、彼女は中東の方で、活動を追ったドキュメンタリーになります。

伊藤 次回作は中東が舞台なんですね! 観たい!

相当な映画好きの監督が推す日本映画は?

伊藤 では最後に、監督が触発された映画はなんですか。

マイ・ホン ありすぎて難しい質問ですね……。日本とフランスの映画文化にはとても影響を受けました。最近はドキュメンタリーを観ることが多くて、記憶に残っているのがマケドニアで養蜂している女性を描いた作品です。

伊藤 『ハニーランド 永遠の谷』(2019年)!

マイ・ホン そうです。ドキュメンタリーを多く見ますね。

伊藤 日本やフランス映画だとドキュメンタリー以外を観ていると思いますが、どんな作品が好きですか。

マイ・ホン 『トリコロール』(1993年公開、クシシュトフ・キェシロフスキ監督による3部作)を昔見て、最近も三作を映画館で立て続けに観て良いなと思いました。

伊藤 美しいですよね。日本の映画はアニメとかですか?

マイ・ホン 黒澤映画はほぼ観ました。映画館で観たいので、かかっている作品。一本には絞れない!

伊藤 相当ご覧になってますね。

マイ・ホン はい。三池崇史監督の初期の作品とか。クルーが三池監督の作品を観たことがないというので、うちで『オーディション』の上映会をしました。

伊藤 本当に! バイオレンス!

マイ・ホン 大学を出てすぐに、地元テキサスのダラスでアジア映画祭を主催しました。映画館でかけるということで、かなり三池監督の作品を上映したんです。

伊藤 会ったことありますか?

マイ・ホン 無いんです。

伊藤 伝えておきます!

マイ・ホン 大ファンがテキサスにいるよ、とお伝えください!

☑公開中『猫と、とうさん』

映画『猫と、とうさん』ピーターと猫のキーズ(goalkitty)

【あらすじ】俳優として飛躍したいネイサン、ベイエリアでエンジニアとして働くジェフ、ニューヨークの路上で生活するデヴィッド、消防士のジョーダン……。様々な背景を持つ彼らの共通点は、家や職場で、ともに生活する猫たちをこの上なく愛していること。前例のない試練となった2020年を共に過ごした猫と彼らの絆を、爽やかかつタイムリーに描く。

 2022/アメリカ/89分
監督:マイ・ホン  
出演:ネイサン・ケーン、ジェフ・ジャドキンス、デヴィッド・ジョバンニ
配給:ファインフィルムズ
© Gray Hat Productions LLC 2021.

映画『猫と、とうさん』オフィシャルサイト

撮影=梶田麻矢 通訳=松下由美 

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  • 映画『猫と、とうさん』 マイ・ホン監督と伊藤さとりさんと愛猫
  • 映画『猫と、とうさん』 マイ・ホン監督
  • 映画パーソナリティ、心理カウンセラーの伊藤さとりさん
  • 映画『猫と、とうさん』に登場するネイサン・ケーンと猫のプリンセス
  • 映画『猫と、とうさん』に登場するNYのデヴィッドと猫のラッキー
  • 映画『猫と、とうさん』に登場するピーターとゴールキティとして人気者のキーズ

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この記事を書いた人

映画評論・映画パーソナリティ・心理カウンセラー 伊藤さとり

映画評論・映画パーソナリティ・心理カウンセラー

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邦画、洋画問わず年間500本以上の映画を鑑賞。映画舞台挨拶や完成披露会見等のMCを数多く担当している。また、心理学的な視点からも映画を解説。12月に新著は『映画のセリフで心をチャージ 愛の告白100選』(KADOKAWA)。「ぴあ」、「otocoto」でのコラム連載や、YouTube「新・伊藤さとりと映画な仲間たち」、「めざましテレビ」「ひるおび」での映画コーナー等、幅広いメディアで映画を紹介。映画と、映画に関わる全ての人々を愛してやまない映画人。

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