【高尾美穂先生に聞く】心の夏バテを解消すれば体も調子いい!【更年期と暑さの関係】
執筆者:ヴィーナスちゃん
外は暑くて室内は冷える、夏は更年期の女性にとって24時間疲れてしまいます。ヴィーナスちゃんが、優しいアドバイスで人気の高尾美穂先生に夏疲れの乗り越え方を伺います!
夏は環境そのものがストレス、まずは体の元気を保って
ヴィーナスちゃん(以下V) 夏疲れが更年期の症状を悪化させるって本当ですか?
高尾先生(以下高尾) 夏疲れと更年期の不調は自律神経失調状態と似ていて、更年期の女性にとっては不調をきたす理由が増えていることを知ってほしいです。問題は気温のアップダウン。外は猛烈な暑さで屋内が寒すぎる。それによって体内を一定に保とうと働く自律神経とホルモンを司る視床下部の働きがビジーになってしまうんです。
V なるほど。それらはメンタルにも影響を及ぼすんですか?
高尾 「心身一如」という言葉がありますが、体の調子が悪いと心の調子も悪くなり、心の調子が悪いとそれが体に表れます。ただ、心の部分は説明しにくく、治療法も原因もわかりにくいですよね。だからまずは体の状態をよく保てば、心の不調が起こりにくいと考えてください。夏は環境そのものがストレスと気づき、自分ができる範囲内で室温調整をして生活習慣も見直しましょう。
【メンタル夏バテ お悩み解消法】
☑酷暑にホットフラッシュ、汗が怖くて出かけられない
滝汗が出るから、と引きこもると、太陽光を浴びず運動不足になります。すると、メンタル不調を防ぐことでも知られるセロトニンが不足し、うつ傾向になる可能性大。セロトニンは睡眠に必要なメラトニンの材料なので、睡眠にも影響します。ホットフラッシュは適度な運動で解消できるので、一番簡単な改善法としては帽子や日傘などで直射日光を避け、太陽光を浴びて歩く。運動して、よく眠るというサイクルを意識して作ることが大事です。
☑暑さとホルモンに負けてイライラし、家族に八つ当たりしてしまう
暑いのはあなただけではなくみんなも同じ。ヴィーナス期の不調で困っているなら、まわりに理解してもらうと同時に専門家に相談しましょう。自分が何もせずに家族や同僚に八つ当たりしてはまわりの人がお気の毒。パートナーや同僚には手助けしてほしいことを伝えてみて。お子さんなら「今、お母さんは体が変わる時期でしんどい。だから自分でできることは自分でしてほしい」と言葉で伝えましょう。これは家庭でも職場でも同じだと思います。
☑熱帯夜で睡眠不足、頭が働かず仕事でミスしてしまう
私は忘れないようにパソコンにメモをいっぱい貼っていますよ。同年代はみんなきっと同じはず。まずは、なぜ頭が働かず、何がミスを増やしているかを探りましょう。ミスの原因はひとつではなく、もっと丁寧に説明できるはず。たとえばダブルチェックを怠った、予定を詰め込みすぎた、睡眠不足もそのひとつ。眠れない原因も、エアコン調整がうまくいかない、夜更かしで睡眠時間が確保できていないなどならすぐに解決できるかもしれません。
☑教えてくれたのは
高尾美穂先生
女性のための総合ヘルスケアクリニック「イーク」副院長
産婦人科専門医。「すべての女性によりよい未来を」をモットーに、専門的な知識をわかりやすく伝える啓発活動に取り組む。
取材・文=大橋美貴子 ※GLOW2022年9月号より。情報は雑誌掲載時のものになります。
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