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【映画レビュー】ゲーマーがプロレーサーになる実話、久々のオーランド・ブルーム、NISSANと話題満載『グランツーリスモ』9/15公開! 【伊藤さとりのシネマでぷる肌‼】

執筆者:伊藤さとり

映画パーソナリティ・心理カウンセラーの伊藤さとりさんが、お肌も心もぷるっと潤う映画を紹介する連載。今回は9月15日公開の『グランツーリスモ』。誰もが知っているカーレーシングゲーム「グランツーリスモ」をテーマに、実話をもとにした作品。


カーレースも親子関係も見逃せない!

絶大な人気を誇るゲームのひとつに自分がレーサーになった気分を味わえる「グランツーリスモ」があります。1997年に発売されてから今や9000万本という売上にもびっくり仰天。だけど分かる、私がまだピチピチしていたティーンエイジャーの頃は地上波でモータースポーツのレースが見られ、カッコ良いレーサーとステッカーでデコられた車が豪速でカーブを攻める光景を目にしては「車ってかっこいい! レースってすんごい!」と思ったもの。しかも当時、影響されて買ったプレイステーションでチャレンジしたもののかなり高度なテクニックを要するので私は早々にリタイアし、観客へと転身したのでした。

そんなことを思い出しながら観た映画『グランツーリスモ』。正直、お久しぶりのオーランド・ブルーム出演作だという感覚で気軽に観たら想定外の面白さにビックリ! まず言っておきたいのはオーランドが主演じゃない、いやむしろちょっと嫌なやつかも。しかもまさかのどこまでも実話であることにさらに驚いて「事実は小説より奇なり」を目撃した感覚。ついでに映画人らしく言うなら宇宙人の居住地がスラム化した状況の中で差別を問う『第9地区』や、AI搭載型ロボットがギャングに育てられる『チャッピー』など、機械型を得意とする独創的な映像とドラマティックなストーリーに定評があるニール・ブロムガンプだから再現できたシーンの数々に興奮。だって本物のレース場から突如、ゲームシートへと変貌する映像は音のない『トランスフォーマー』のようで人間の脳内をそのまま表現したと言っても過言ではないのですよ。

チーム日産が再起をかけるのにゲーマーを本物のレースに参加させ、プロのレーサーと戦わせるなんて前代未聞なのに、このゲーマーからのレーサー発掘・育成プログラムは2016年まで実施されていたそうな。ということは劇中見る訓練の様子もほぼリアルなのだろうし、実際に主人公となるヤンのカースタントを担当するのはこの映画のモデルとなる本物のヤン・マーデンボローなのにも製作陣の思いが見える。だからレースシーンなんか手に汗握るどころではない。今まで見てきたレース映画以上にドライバー目線を感じる理由に、レースカーの屋根に装置をつけて走行中のスピードを感じられるのと、俳優がスピードを感じている表情もリアルだから。しかもドローンを使った上空からのレースの様子を撮る画もえらくかっこいいのよ。

「ル・マン」を始め有名なレース場と名だたるレーシングカーが登場するのはもちろん、描かれるのは父と子の不協和音の改善方法を探る夢だったりするのがまた胸熱。だって父親に認めてもらいたい思いもあって、夢を叶えようとする想いが溢れ出るヤンのがむしゃらなまでの訓練シーンに何より泣けるんだもの。そこに鬼教官との擬似親子のような関係が投入されるんだから涙腺崩壊。人生に無駄や遠回りはないのよね、そう実感できるリアルストーリーは家族でも見て欲しい作品です。
――伊藤さとり

☑GT アカデミー by 日産× プレイステーションって?

映画で描かれるGTアカデミーは、日産、プレイステーション、ポリフォニー・デジタルという、「グランツーリスモ」に欠かせない3社が集まり、2008年にスタートしたバーチャルとリアルを繋ぐ革新的なドライバー発掘・育成プログラム(2016 年まで実施)。世界中から選抜された「グランツーリスモ」のトッププレイヤーに、本物のプロフェッショナルレースドライバーになる生涯一度のチャンスが与えられるというもの。ゲームのドライビングテクニックだけでなくレーサーとして必要な精神力、体力を試される過酷な試験を経て、日産のレーシングチームに所属しレースに参加するチャンスが与えられる。前代未聞の企画だと思われていたが、「GT アカデミー」出身の数多くの選手がその後、リアルレースで表彰台に上がっている。

☑9月15日(金)公開『グランツーリスモ』

【あらすじ】世界的大ヒットのドライビングゲーム「グランツーリスモ」のプレイに夢中なヤン。父親からは「レーサーにでもなるつもりか、現実を見ろ」とあきれられる日々。そんなヤンにビッグチャンスが訪れる。世界中から集められた「グランツーリスモ」のトッププレイヤーたちを、本物の国際カーレースに出場するプロレーサーとして育成するため、競い合わせて選抜するプログラム「GTアカデミー」だ。プレイヤーの並外れた才能と可能性を信じて「GTアカデミー」を立ち上げたひとりの男(オーランド・ブルーム)と、ゲーマーなんかが通用する甘い世界ではないと思いながらも指導を引き受ける元レーサー(デヴィッド・ハーバー)、そしてバーチャルなゲームの世界では百戦錬磨のトッププレイヤーたちがそこに集結。彼らが直面する、想像を絶するトレーニングやアクシデントの数々。不可能な夢へ向かって、それぞれの希望や友情、そして葛藤と挫折が交錯する中で、いよいよ運命のデビュー戦の日を迎える――。

 2023/アメリカ/134分
監督:ニール・ブロムカンプ(『第9地区』『チャッピー』)
脚本:ジェイソン・ホール(『アメリカン・スナイパー』)、ザック・ベイリン(『クリード 過去の逆襲』)
出演:デヴィッド・ハーバー(『ブラック・ウィドウ』「ストレンジャー・シングス」シリーズ)、オーランド・ブルーム、アーチー・マデクウィ(『ミッドサマー』)、ジャイモン・フンスー(『キャプテン・マーベル』)
日本語吹替版テーマ曲: T-SQUARE「CLIMAX 」

映画『グランツーリスモ』オフィシャルサイト

この記事を書いた人

映画評論・映画パーソナリティ・心理カウンセラー 伊藤さとり

映画評論・映画パーソナリティ・心理カウンセラー

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邦画、洋画問わず年間500本以上の映画を鑑賞。映画舞台挨拶や完成披露会見等のMCを数多く担当している。また、心理学的な視点からも映画を解説。12月に新著は『映画のセリフで心をチャージ 愛の告白100選』(KADOKAWA)。「ぴあ」、「otocoto」でのコラム連載や、YouTube「新・伊藤さとりと映画な仲間たち」、「めざましテレビ」「ひるおび」での映画コーナー等、幅広いメディアで映画を紹介。映画と、映画に関わる全ての人々を愛してやまない映画人。

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