【漫画をドラマ化&映画化】容疑者の父VS警察の娘! ドラマから7年後を描く『映画 マイホームヒーロー』 3/8公開 【伊藤さとりの映画レビュー】
執筆者:伊藤さとり
そんな大人の俳優陣による演技対決とシンクロするかのように、若手俳優陣の注目株も目が離せないほどの存在感を見せつけてくれます。今回もドラマから続投のなにわ男子の髙橋恭平さんの影を纏った登場を筆頭に、映画では令和社会の変化を若手の役割で象徴的に表現しています。まずは映画新キャストとなる宮世琉弥さんのキャラクターは、今まで年配の大人が若者に教える立場を逆転させ、『007』で武器開発とハッキングを特技とする若きQ(ベン・ウィショー)を彷彿させる頼れる相棒的存在。極め付けは、男性社会に新風を巻き起こす女性ヒーローのように齋藤飛鳥さん演じる哲雄の愛娘・零花が女性刑事に姿を変え、事件の捜査へと突き進みます。となれば、やがて事件を隠蔽しようと罪を犯す哲雄と対面するわけで…。
正義と言えども罪を犯すヒーローは、果たして本当にヒーローなのか?!まるで現代のSNS社会における行き過ぎた正義への審判にも感じてしまいます。そんな思いも湧き上がる『映画 マイホームヒーロー』は、罪なき我が子を守る為の犯罪だから主人公に共感するものの、それ、本当に正しい行動?と私たち観客に問いつつ、正義の在り方を今一度見つめ直すべく作られた、知識ばかりを手にした驕り高い現代人への警告なのかもしれません。
——伊藤さとり
☑3月8日(金)全国公開
『映画 マイホームヒーロー』
【あらすじ】娘の彼氏を殺してしまった鳥栖哲雄は、半グレ犯罪組織との熾烈な攻防を生き抜いた。
あれから7年。平穏な鳥栖家の日常が、音を立てて壊れ始める。山中に隠したはずの死体が、土砂崩れによって発見されてしまったのだ!警察官となった鳥栖家の長女・零花は、哲雄に疑惑の目を向け始める。
「7年前に彼氏を殺したのは、父かもしれない…」
一方、死体とともに消えた10億円の行方を探っていた半グレ犯罪組織のボス・志野は、再び哲雄に狙いを定めた。かつて哲雄の罠に落ち、すべての罪を着せられて逃亡生活をおくっていた恭一も再び姿を現す。父VS娘VS半グレ組織。最後の戦いが幕を開ける。父は家族を守る「英雄」か、それとも「犯罪者」か―。
2024/日本/118分
出演:佐々木蔵之介
齋藤飛鳥 高橋恭平(なにわ男子) 宮世琉弥 板倉俊之(インパルス)
大東駿介 淵上泰史 西垣匠 金子隼也/立川談春 神野三鈴
音尾琢真/津田健次郎 木村多江
主題歌: 「インソムニア」Eve(TOY’S FACTORY)
原作・漫画:山川直輝・朝基まさし『マイホームヒーロー』(講談社「ヤングマガジン」連載)
監督:青山貴洋
脚本:船橋勧
音楽:堤博明
制作プロダクション:TBS スパークル C&I エンタテインメント
配給:ワーナー・ブラザース映画
©2024 映画「マイホームヒーロー」製作委員会
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この記事を書いた人
邦画、洋画問わず年間500本以上の映画を鑑賞。映画舞台挨拶や完成披露会見等のMCを数多く担当している。また、心理学的な視点からも映画を解説。12月に新著は『映画のセリフで心をチャージ 愛の告白100選』(KADOKAWA)。「ぴあ」、「otocoto」でのコラム連載や、YouTube「新・伊藤さとりと映画な仲間たち」、「めざましテレビ」「ひるおび」での映画コーナー等、幅広いメディアで映画を紹介。映画と、映画に関わる全ての人々を愛してやまない映画人。
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