【対談:草彅剛×小泉今日子】「みんなが思うより僕はキョンキョンが好き!」 映画『碁盤斬り』インタビュー
執筆者:根岸聖子
小泉 セットもとてもきれいだったし、照明も何もかも、アングルとかもすごくよくて。京都での撮影だったので、エキストラの方たちも京都の俳優さんがたくさん来てくださっていたんです。みなさん、やっぱり時代劇に慣れてるから、本当にそこにいる人みたいにパッとやっちゃうんだよね。そういう環境にもすごく助けられました。私は京都の撮影所が初めてだったので。40年やってきて、東京やNHKでの撮影は経験しているのですが、京都の撮影所はこれまで行ったことがなかったんです。
草彅 小道具と言えば、碁盤とかも昔の、江戸時代のものを持ってきて撮影していたんですよね。見る人によると、あれは本当にすごいものだってわかるらしいです。撮影所には本当に素晴らしいものが置いてあるので、自然に感化されていくというか、背筋が伸びる感覚はありました。準備、支度も着物を着けてカツラを着けてってやっていると2時間くらいかかるから、その間に自然と、気持ちのほうも整っていっていた。だから、自分で意識して役作りで何か読むとか、そういうのは別になかったんですよね。YouTubeで落語の「柳田格之進」は見たけど。
――囲碁に関してはいかがですか。お二人は経験ありましたか?
小泉 私はやったことがなかったんですが、撮影所に入る前にルールは知っておこうと思ってゲームアプリをやってみたら、結構おもしろかったです。
草彅 碁石の打ち方は練習したなぁ。僕のスタンドインの女性の方の打ち方がめちゃくちゃ上手くて、くやしくて、その夜ホテルで練習したんです(笑)。でも囲碁のルールはまったくわかっていない。それはもう大丈夫です、って言われたので。でもあれ結構難しいんだよね。打ち方で性格が出るっていうところもあるわけじゃないですか。だからね、そこは結構頑張りました。あとセットもすごくよかったですよね!?
小泉 ええ、素敵でした。私は市川崑監督の『日本橋』(1956年)っていう映画を観ていたから、「本当に日本橋だ」と思えて。いろいろと綺麗だったよね。小道具とかいろんなものが、やっぱり京都の撮影所のクオリティっていうのかな。いつも使ってる感じで置いてあるんですけど、ほんの少しの時代の違いでも変わるらしいんです。そういうのを熟知している方たちが作ってるせいか、本当に素敵でした。
草彅 職人の皆さんの技術が集結している作品だと思います。照明も美術も。
小泉 時代劇自体、この先は減っていくのかもしれないけど、この映画が新しい石を投げたんじゃないかという気はしますね。
草彅 若い方たちも含めて、いろんな年代の方に観てもらいたいですよね。
この記事を書いた人
女性誌、テレビ誌、インタビュー誌など定期刊行物やwebサイトで音楽、映画、舞台、ドラマなどエンタメ系のインタビューやレポートを執筆。好奇心の赴くままに、体験もの、実用記事、書籍なども常時進行中。