【映画】子どもが失踪したとき、母親や夫婦やマスコミはどうなる『ミッシング』 5/17公開 【伊藤さとりのシネマでぷる肌‼】
執筆者:伊藤さとり
映画パーソナリティ・心理カウンセラーの伊藤さとりさんが、お肌も心もぷるっと潤う映画を紹介する連載。今回は、5月17日(金)公開の『ミッシング』。石原さとみさんが、娘が失踪した母親役を演じます。知っている石原さとみさんじゃないような迫力や、𠮷田恵輔監督の人間描写が見もの。
𠮷田恵輔監督が描く「辛さや怒りとの折り合いの付け方」
自分の解らないことに人は惹かれる。そんな言葉をよく聞きます。例えばそれが「女心が解らないから撮りたい」という男性監督からの声でもあったりするのですが、リサーチにリサーチを重ねた結果、とんでもなく面白いものが生まれたりもするのです。まさに「共感」すれば良い作品というわけではないということ。本作『ミッシング』は、𠮷田恵輔監督が挑む「辛さや怒りとの折り合いの付け方」への問いであり、それに対して多角的な視点で検証するような人間の内面をこれでもかと覗き込む作品でした。
最初に幼女失踪事件の容疑者として浮かび上がるのが、石原さとみ演じる沙緒里の弟なんですが、当初は弟が主人公の物語を考えていたそうで、前作『空白』(2021)のサイドストーリーとして構想されていたと聞くと納得のキャラクターです。けれど、弟の圭吾(森勇作)が主人公でなくとも、社会のはみ出し者である彼の声にならない叫びは映画に振動のような作用をもたらし、失踪事件の道筋のような重要な役割をもたらしていきます。
この記事を書いた人
邦画、洋画問わず年間500本以上の映画を鑑賞。映画舞台挨拶や完成披露会見等のMCを数多く担当している。また、心理学的な視点からも映画を解説。12月に新著は『映画のセリフで心をチャージ 愛の告白100選』(KADOKAWA)。「ぴあ」、「otocoto」でのコラム連載や、YouTube「新・伊藤さとりと映画な仲間たち」、「めざましテレビ」「ひるおび」での映画コーナー等、幅広いメディアで映画を紹介。映画と、映画に関わる全ての人々を愛してやまない映画人。
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