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INI 3RD SINGLE 発売記念イベントレポート!
『 「 M 」 PREMIUM SHOW CASE 』【菊地陽子の40代からの推し活道】

©LAPONE ENTERTAINMENT

GLOW世代のライフスタイルに彩りをもたらす高貴な趣味”推し活”。自ら”オタク”を名乗り、旬な人々を取材しては魂の宿った言葉を紡いで世に送り出してきた鬼才のライター、菊地陽子氏による「推し活道」で、”推し活”の奥深さを知り、”推し”の尊さを知り、我が人生の歓びを知りませんか?


INIの現場で感じた、推し活というYummyな旅

ここ3年ほど、「推しがいないんだけど、どうすればいい?」または、「このご時世、推しがいないのはヘン?」「人生損してる?」なんていう相談を(たまに)受けることがある。10代あるいは20代のときに、一度でも推し活(オタ活)を経験している人なら、たとえば結婚して子どもを産んで子育てして、子どもに手がかからなくなったタイミングで、若い頃の“青春”を取り戻すノリで、推し活に戻ることは容易だ。でも、若い頃に何かに沼った経験のない40〜50代が、“はじめての推し活”をすることは、ちょっと勇気がいるかもしれない。というのも、ことボーイズグループの推し活界隈では、歴の長い人の方が、多少なりとも、マウントを取ってしまう傾向があるからだ。
大人が推し活にハマる、その楽しさの根本には、「推しグループが羽ばたいて、広く世の中に認められていく」その応援をしていける、というのがひとつある。あたたかく見守り、育っていくその手助けができること。中世から近代にかけて、貴族やお金持ちは、自分がいいと思う芸術に積極的に投資した。推し活は、そのミクロバージョン、といってもいい。投資をした見返りは、ほんのちょっとの特別感・優越感を得られることだ。ライブでいい席を当てること。ファンサービスをもらえること。グッズをコンプリートすること。記録や記憶に残る出来事を、リアルタイムで体験すること。落ち込んでいる時に、推しの言葉や音楽に励まされること――。そうやって、特別な思い出を積み上げていくことで、沼化は加速していく。だから、歴史が長いグループほど、新参者は、尻込み・気後れすることになる。

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推しを通じて自分を知る旅、それが推し活

その点、公開オーディションを経てデビューしたボーイズグループの場合、興味を持った瞬間から、いろんな過去の映像を掘っていくことができる。よって、リアルタイムでオーディションを追ってきた人の知識に、すぐ追いつくことが可能だ。そういう意味では、今の日本で、「推し活入門」としての間口がとくに広いのは、昨年11月にデビューしたINIだろう。日本最大級のオーディション「PRODUCE 101 JAPAN」SEASON2で選ばれた11人組。8月24日にリリースされたサードシングル「M」は、発売3日間で63.4万枚を売り上げた。デビューから3作連続で初週売上50万枚を突破したモンスターグループだ。
8月13日には、INIのイベント『「M」PREMIUM SHOW CASE』が開催された。サードシングル「M」を予約した人の中から、抽選で選ばれた600人の前で、リード曲である「Password」が披露され、それ以降は、謎解きゲームに挑戦しながら、8月10日に誕生日を迎えた藤牧京介さんの23歳のバースデーを祝う流れに。最後に、配信シングル「Yummy!!」を全員で歌い、ひとりずつ挨拶をして、1時間強のイベントは終了した。(イベントの模様は、YouTubeでも「INI 3ed SINGLE 『M』PREMIUM SHOW CASE」として公開されているので、詳細については割愛)。
さて、こういった至近距離の、しかもYouTubeで生配信されているイベントでの楽しみ方は、やはり「自分がカメラになれる」ことに尽きる。ライブやイベントに限らず、舞台やミュージカルでも、現場にいれば、自分が見たいところ(人)だけを追いかけることができるのだ。家に帰って、YouTubeを確認したとき、「ここの〇〇が映ってないけど、私は見てた!」とか、「この瞬間にこっちを見た(目が合ったかもしれない!)」というような、自分だけの思い出を作れることが、何よりの幸福なのである。もちろん、“箱推し”として、グループ全体を推していくのも楽しいけれど、やはりひとりの推しをずっと見続けられるのは、ライブの醍醐味だし、「こういう時、こんな反応するのか」とか「こういう癖がある」とか、自分なりの発見をすることは、大好きな推しを深掘りすることにもつながる。
今回のショーケースで、私がとくに「INI、サイコー!」と思ったのは、最後に全員でラフに歌った「Yummy!!」だ。新曲の「Password」のダンスはカッコいいし、度肝を抜かれたのだが、「自分カメラ」から見ると、ダンス曲はどうしても「自分の座っている場所がいい位置かどうか」に影響される。彼らのスキルを堪能するなら、YouTubeで公開されているミュージックビデオやダンスプラクティス動画を見た方が、ずっとその素晴らしさは伝わる。観客を魅了する曲は、結局、演出の凝ったコンサートで披露した方が“映える”。それは、「自分カメラ」などでは追いきれない作品だからだ。でも、みんなを楽しませる曲、盛り上げる曲には、それぞれの個性や関係性が現れやすい。11人が、思い思いに移動し、くっついたり離れたり、笑い合ったりふざけ合ったり(でも、それぞれの歌唱は超絶美しい)。音楽によって、楽しい気分になるだけでなく、その自由な振る舞いが、「いいグループだな」「音楽を通じて、繋がっているんだな」「それぞれがエンターティナーだな」と感じさせてくれた。
ちなみに、私自身はあまりINIへの深い知識はない状態で、このイベントに参加した。そしてやはり、いつの間にか自然に目で追ってしまう対象がいた(誰とは言わないが)。それには、これまでの推しとの共通点も見つかった。
さまざまなボーイズグループの取材をしていていると、誰もが無意識で気になって「推し」と決めた対象には、大体、好きになったタイミングや理由、傾向があることがわかる。とくに、とくに大人になってから推し活にハマった人の場合は、自分と似ている部分がある人を好きになりやすい傾向がある。それは、性格と言うよりも、グループ内での立ち位置だったり、物事に対する考え方だったり、ファッションや音楽や本などの好みだったりもするのだけれど。
推し活にハマり、「なぜ自分はこの人のことがこんなに好きなのか」を考え始めると、ふと、自分の信条とか、自分が生きる上で大事にしていることがクリアになることがある。つまり推し活とは、大人が、あらためて自分自身を知るための旅でもあるのだ。

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菊地陽子フリーライター

アイドルや俳優、アーティストを中心に、これまで述べ8000人以上の「旬な人物」に取材・インタビュー。誰よりもファンを理解し、寄り添う文章に涙する女子が後を絶たない。GLOWオンラインでは、“推し”をテーマに、「旬な人物」に対する思いから日々感じていることを赤裸々に紹介。

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