【映画レビュー】『マッドマックス:フュリオサ』女戦士のかっこよさが観客を魅了する【伊藤さとりのシネマでぷる肌‼】
執筆者:伊藤さとり
映画パーソナリティ・心理カウンセラーの伊藤さとりさんが、お肌も心もぷるっと潤う映画を紹介する連載。今回は『マッドマックス:フュリオサ』。5月31日(金)全国ロードショー。日本語吹替版同時上映、迫力のIMAX🄬/4D/Dolby Cinema🄬/SCREENXで公開。超人気シリーズ『マッドマックス』の最新作! 荒れ果てた地での3日間の逃亡劇を、圧巻のカーアクションやアクションで描き大ヒットした『マッドマックス 怒りのデス・ロード』(2015)に登場した女戦士・フュリオサの若い頃を描く。
メガヒット『マッドマックス怒りのデス・ロード』
の前日譚となる作品
最近はエピソード0という形での新作映画が増えています。
『ゴジラ-1.0』(2023)もそうであり、『陰陽師0』(2024)も、本作『マッドマックス:フュリオサ』もそうで、いわゆる先に作られた映画の前のお話なので、別に“前作を観ていなくても大丈夫”という考え方も出来るんです。
でも前日譚が作られるということはそれだけ前作の人気が高かった証であり、『マッドマックス』に至っては、そもそもジョージ・ミラー監督が1979年に生み出したメル・ギブソン主演の改造車と暴走族たちの衝突を独自の世界観で表現した作品がスタート地点です。そこから『マッドマックス2』(1981)、ティナ・ターナーも出演した『マッドマックス/サンダードーム』(1985)と戦いはバージョンアップを続け、30年後の2015年に『マッドマックス 怒りのデス・ロード』が同じ監督により誕生します。
ちなみに「怒りのデス・ロード」は、新しい『マッドマックス』の誕生と考えて良い作品で、それまでのシリーズから継承されているのはトム・ハーディ演じる主人公の名前のマックスと彼の怒りの根源、荒廃した近未来という設定でカーアクションが満載という点など。なので、過去作を見なくても楽しめます。この作品は米アカデミー賞では10部門ノミネート6部門(衣装デザイン、美術、メイクアップ&ヘアスタイリング、編集、音響編集、録音)受賞したほど世界的大ヒットを記録しました。
そんな「怒りのデス・ロード」の前日譚となるのが、新作『マッドマックス:フュリオサ』であり、主人公はマックスではなく、「怒りのデス・ロード」に登場したシャーリーズ・セロン演じるバズカットの大隊長フュリオサです。今回は、彼女の幼少期から若き戦士になるまでを描いた作品となっていて、最後の最後に「怒りのデス・ロード」への流れが映るので、単体の作品として安心して見られる設定なのがポイントです。
『マッドマックス:フュリオサ』の魅力は
ビジュアルと女戦士のかっこよさ
では『マッドマックス:フュリオサ』の魅力はなんなのか。
それは、バージョンアップした視覚の格好良さと女性の描き方にあります。
まず、冒頭から引き付けられる女性達の格好良さ。女戦士が娘を救うためにバイクを奪い、その場でカスタマイズしていく展開に観ていて武者震いするほど。やがて少女はクリス・ヘムズワース演じる凶悪なバイカー軍団のボスの元で育つのですが、クリヘムの衣装もクレイジーでキュートで遊び心がいっぱい。更に途中、白いマントは赤に染まり、やがて黒になっていく展開も、彼の心の変化を示していて、映像の魔術師、ジョージ・ミラーが視覚が与える心理描写を大切にしていることが分かります。それはアクションシーンのみならず、ワンショット、ワンショットが「かっこいい!!」と口にしたくなるほど決まっていて、全く飽きない構成からも伺えるのです。
やがて少女は成長し、フュリオサはアニャ・テイラー=ジョイに変わりますが、男社会で搾取されずに生き抜く知恵を働かせた彼女のメカニックな腕前と戦闘技術は目を見張るものがあり、ひたすら「かっこいい!!!」のです。
アクション映画で、しかもカーアクションが見せ場となる『マッドマックス』で、ここまでしなやかでクールな戦士を見たことはなかった気がします。
前作、「怒りのデス・ロード」の描き方からジョージ・ミラーはフェミニストだろうと思ってはいましたが、愛する者を失い、愛する者を守ろうとするフュリオサの孤独と強さ、そして揺るぎない愛の力を分かりやすいラブシーンを撮らずに表現するスタイルに惚れ惚れした作品でもありました。何よりフュリオサや女戦士達の衣装が露出していないのも最高! カップルでも楽しめ、友達同士でも楽しめ、親子でも楽しめる映画なのは間違いないですよ!
☑5月31日(金)全国ロードショー!
日本語吹替版同時上映
IMAX🄬/4D/Dolby Cinema🄬/SCREENX
『マッドマックス:フュリオサ』
【あらすじ】世界崩壊から45年。バイカー軍団に連れ去られ、故郷や家族、人生のすべてを奪われた若きフュリオサ。改造バイクで絶叫するディメンタス将軍と、鉄壁の要塞を牛耳るイモータン・ジョーが覇権を争う”MADな世界(マッドワールド)”と対峙する! 怒りの戦士フュリオサよ、復讐のエンジンを鳴らせ!
2024年/アメリカ/148分/PG12
監督:ジョージ・ミラー
出演:アニャ・テイラー=ジョイ、クリス・ヘムズワース
配給:ワーナー・ブラザース映画
2024 Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved.IMAX® is a registered trademark of IMAX Corporation.Dolby Cinema is a registered trademark of Dolby Laboratories.
この記事を書いた人
邦画、洋画問わず年間500本以上の映画を鑑賞。映画舞台挨拶や完成披露会見等のMCを数多く担当している。また、心理学的な視点からも映画を解説。12月に新著は『映画のセリフで心をチャージ 愛の告白100選』(KADOKAWA)。「ぴあ」、「otocoto」でのコラム連載や、YouTube「新・伊藤さとりと映画な仲間たち」、「めざましテレビ」「ひるおび」での映画コーナー等、幅広いメディアで映画を紹介。映画と、映画に関わる全ての人々を愛してやまない映画人。
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- Instagram @ito_satori/
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