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自分ルールを貫くおみおくり係・まきもとが人々を変えていく 9/30公開映画「アイ・アム まきもと」【伊藤さとりのシネマでぷる肌‼】

執筆者:伊藤さとり

映画パーソナリティ・心理カウンセラーの伊藤さとりさんが、お肌も心もぷるっと潤う映画を紹介する連載。毎週水曜日更新なので、水曜日や週末の予定に加えてみてください!


主演・阿部サダヲ×監督・水田伸生の最新作
生きることを考えさせられるヒューマンドラマ!

生きた証とは、その人の人生を考えること。

それって身寄りのない人にとってはありがたいことかもしれない。だから阿部サダヲ演じる市役所で「おみおくり係」として人知れず亡くなった人を埋葬する主人公・牧本はまさに聖人のようなのですよ。たとえ空気が読めなくても、たとえ人の気持ちが分からなくても、彼は欠かさず火葬場で手を合わせる。もしかしたら人の気持ちを知りたいから、亡くなった見知らぬ人の写真を集め、彼なりの「おみおくり法」としてアルバムにしているのかもしれない。そんなこちらの解釈さえも失礼なのかもと思えるのは、牧本がその人の感情を勝手に解釈したりしないから。

そしてカメラは独り身の牧本の日常を少し滑稽に見せつつ、「ひとりで生きることは寂しいこと」と決め付けることは果たして正しいのか?と観客に問いかけてくるんですよ。でもそんな彼がある亡者の部屋にあった一枚の写真をきっかけに、その男の生前に思いを馳せるだけでなく、この人はどんな人生を歩んだのか、どんな人達と交流があったのか、家族は?という衝動に駆られて行動を起こすんです。この瞬間、静から動の演技に一気に変わる阿部サダヲの得意技が炸裂! しかも松下洸平が、ルール違反ばかりする牧本に頭を抱える刑事を演じているんですが、牧本によって次第に浄化されていく姿にもウットリ。

そもそもヴェネチア国際映画祭オリゾンティ部門監督賞含む4部門を受賞したウベルト・パゾリーニ監督の『おみおくりの作法』(15)を『十二人の死にたい子どもたち』(19)の脚本家・倉持裕と『舞妓 Haaaan!!!』(07)他、何度も阿部サダヲとタッグを組んでいる水田伸生が、イギリスのロンドン南部から日本の山形を舞台に置き換えて描いた本作。観ているうちに阿部サダヲが天使に見えてきて、愛に包まれているような感覚と共に涙が頬をつたい、観賞後は“プル肌”になっているはずですよ。


『アイアムまきもと』

『アイ・アムまきもと』公式HP

【あらすじ】
小さな市役所に勤める牧本の仕事は、人知れず亡くなった人を埋葬する「おみおくり係」。故人の思いを大事にするあまり、つい警察のルールより自身のルールを優先して刑事・神代に日々怒られている。ある日牧本は、身寄りなく亡くなった老人・蕪木の部屋を訪れ、彼の娘と思しき少女の写真を発見する。そして「おみおくり係」廃止が決定になり、蕪木の一件が“最後の仕事”となった牧本は、写真の少女探しと、一人でも多くの参列者を葬儀に呼ぶため、わずかな手がかりを頼りに蕪木のかつての友人や知人を探し出し訪ねていく。工場で蕪木と同僚だった平光、漁港で居酒屋を営む元恋人・みはる、炭鉱で蕪木に命を救われたという槍田、一時期ともに生活したホームレス仲間、そして写真の少女で蕪木の娘・塔子。蕪木の人生を辿るうちに、牧本にも少しずつ変化が生じていく。そして、牧本の“最後のおみおくり”には、思いもしなかった奇跡が待っていた。

2022/日本/105分
出演:阿部サダヲ
満島ひかり 宇崎竜童 松下洸平 でんでん 松尾スズキ 坪倉由幸(我が家) / 宮沢りえ 國村隼
監督:水田伸生 脚本:倉持裕

Ⓒ2022 映画『アイ・アム まきもと』製作委員会

予告編はこちら

この記事を書いた人

映画評論・映画パーソナリティ・心理カウンセラー 伊藤さとり

映画評論・映画パーソナリティ・心理カウンセラー

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邦画、洋画問わず年間500本以上の映画を鑑賞。映画舞台挨拶や完成披露会見等のMCを数多く担当している。また、心理学的な視点からも映画を解説。12月に新著は『映画のセリフで心をチャージ 愛の告白100選』(KADOKAWA)。「ぴあ」、「otocoto」でのコラム連載や、YouTube「新・伊藤さとりと映画な仲間たち」、「めざましテレビ」「ひるおび」での映画コーナー等、幅広いメディアで映画を紹介。映画と、映画に関わる全ての人々を愛してやまない映画人。

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