映画『たべっ子どうぶつ THE MOVIE』水上恒司×伊藤さとりが初挑戦の声優について、支えられた言葉などトーク【シネマでぷる肌‼】
執筆者:伊藤さとり
【水上恒司×伊藤さとりTALK!】
国民的おかしのアニメ化で声優初挑戦!
水上恒司だとわからないアフレコを目指した
伊藤 声優初挑戦、おめでとうございます! やりたいという思いはもともとあったんですか?
水上 ありがとうございます。やってみたいという気持ちはありました。でも、正直やってみて痛感したんですけど、〝やってみたい”だけじゃダメだなって思いました。
伊藤 それは、実際に収録してみて、ということですか?
水上 はい。僕が収録したとき、わにくん役の立木(文彦)さんの声が、全然リップに合ってなかったんですよ。でも、それがめちゃくちゃ面白くて。「これがプロなんだ」って思わされました。それで説得させていくという。僕は最初、ちょっとこもったような声を出してみたんです。でも、「それはいらない」って言われて。収録の段階から、まずは一番のお客様であるスタッフの方々に対してプレゼンできていないというところ含めて、やりたいという気持ちだけではダメだなって。めちゃくちゃ反省してます(笑)。毎回、反省してますね。
伊藤 水上さんはこのぞうくんの声をやるにあたって、事前に自分なりのイメージを作っていたんですね。
水上 それも、ちょっとした“悪あがき”みたいなもので。「この声、水上なんだ」って思わせたくなかったんです。水上恒司がやってるっていうのを前面に出したくなかったんです。僕が面白いな、魅力的だなって思う声優さんって、ある意味“レジェンド”というか、「この声は誰なんだろう?」って思わせる方たちなんです。あとで調べたら、実は俳優さんだったとか、実はタレントさんだったとか、そういう“分からない感じ”にすごく憧れていて、そこを目指したかったんです。でも、うまくいかなかったですね(笑)。
伊藤 そんなことないですよ(笑)。でも、声優ならではの“演技の違い”っていうのは、やっぱり実感されましたか?
水上 全然違いました。僕の本業は、僕自身が絵や声になっていく。でもアニメはもう絵ができあがっているじゃないですか。そこに動いているキャラクターのタイミングや表情に合わせて声を当て込んでいく必要がある。それって、まったく別の作業で、順応力が問われるんですよね。だから全然違います。
伊藤 作品自体はとても可愛くて、本当に楽しかったです。
水上 監督の演出と作品の力なので、その言葉が一番うれしいです。今の僕の話なんて、ただの愚痴みたいなものですから(笑)。
伊藤 (笑)。
この記事を書いた人
邦画、洋画問わず年間500本以上の映画を鑑賞。映画舞台挨拶や完成披露会見等のMCを数多く担当している。また、心理学的な視点からも映画を解説。12月に新著は『映画のセリフで心をチャージ 愛の告白100選』(KADOKAWA)。「ぴあ」、「otocoto」でのコラム連載や、YouTube「新・伊藤さとりと映画な仲間たち」、「めざましテレビ」「ひるおび」での映画コーナー等、幅広いメディアで映画を紹介。映画と、映画に関わる全ての人々を愛してやまない映画人。
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