【更年期】生理異常を引き起こすPCOS、50代から増え始める子宮体がんについて今から知っておく
執筆者:GLOW編集部
GLOW世代が気をつけたいのは、近年増えている子宮体がん。生理痛があったり生理周期が長くなりがちだった人は要注意なのだそう。太田郁子ウィメンズクリニック太田先生に詳しくお話をうかがいました。
☑世界の女性の5人にひとりがピーコスです!
これまで長く生理をくり返してきたみなさんは、ご自分の生理に疑問を持ったことがないかもしれません。いつも生理痛がひどい、生理が予測できなくて困る、毎月10日くらい出血している……すべてよくないサイン。女性ホルモンのバランスが整っていれば生理痛はほとんど起きませんし、周期も安定します。生理の期間は3〜7日以内が目安です。
生理の異常を起こす原因として、近年注目されているのがピーコス(PCOS・多嚢胞性卵巣症候群)。ピーコスは女性ホルモン(エストロゲン・プロゲステロン)のエストロゲンとアンドロゲンの分泌が多く、プロゲステロンがうまく作用しなくて排卵しにくいというもの。世界の女性の5人にひとりがピーコスだといわれています。外見の特徴として毛深い、皮脂の分泌が多くてニキビができやすい、太りやすいなどがあります。
エストロゲンは女性にとってうれしいホルモンで、プロゲステロンはむくみやどんよりした気分を連れてくる厄介なホルモンと認識している人もいるかもしれません。けれど、プロゲステロンは乳がんや子宮体がんを予防するために重要なホルモンです。出産しない、あるいは初潮が早い・閉経が遅いなど、エストロゲンを分泌する期間が長い、エストロゲンの分泌量が多いほど、乳がんと子宮体がんのリスクは高まります。
☑乳がん、子宮体がんは予防ができるがん
今や9人にひとりが乳がんになるというのも納得ではないでしょうか。子宮体がんはあまり認知されていないようですが、この50年で7倍に増えている要注意のがんで、50代から発症しやすくなります。患者さんの数は、ワクチン接種で予防できる子宮頸がんを上回っています。
30代までに生理痛、生理が遅れがち、不正出血や生理がだらだら続くというトラブルがあった人はピーコスの可能性がありますから、必ず1年に1回は乳がん検診を受ける、産婦人科で子宮体がんをチェックすることをルーティンにすべきです。
あるいは娘さんや職場の後輩など、若いうちに気づければ治療できるだけでなく、将来の乳がんや子宮体がんのリスクを減らすことができます。産婦人科の血液検査でわかるので、早めに受診することをすすめます。
☑経血量が増えたら絶対に放置しないで
更年期にいるGLOW世代では、過多月経に注意が必要です。閉経に向かって女性ホルモンが減っていくのに経血量が増えるのは異常事態です。子宮内膜症が悪化している、子宮筋腫が大きくなって経血量が増える場合もありますが、子宮内膜増殖症という病気の可能性もあります。
子宮内膜増殖症では子宮内膜が異常に厚くなるので、経血量が増えます。この病気に注意が必要なのは、子宮体がんの前がん状態の可能性があるからです。子宮内膜増殖症=子宮体がんではありませんが、がんの可能性があるなら見逃すわけにはいきませんよね。「もうすぐ閉経するから、我慢しちゃおう」と考えるのは禁物ですよ。
人生百年とするとまだ人生の半分が残っています。将来の健康を見据えて早めにケアすることが大切です。
【教えてくれたのは】
太田郁子ウィメンズクリニック
太田郁子先生
病気の治療はもとより、将来のリスクを減らして快適に過ごすための診療を行う。医師向けの講演を多数行う他、女性医療の先進国であるヨーロッパの最新情報をキャッチして診療にいかしている。日本産婦人科学会専門医。
取材・文=黒川ともこ ※雑誌GLOW2023年5月号より。情報は雑誌掲載時のものになります。
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