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【映画】公開中『M3GAN/ミーガン』暴走したAI人形が殺人人形に! 愛情が狂気に変貌しとてつもない惨劇を引き起こす……【伊藤さとりのシネマでぷる肌‼】

執筆者:伊藤さとり

映画パーソナリティ・心理カウンセラーの伊藤さとりさんが、お肌も心もぷるっと潤う映画を紹介する連載。今回は『M3GAN/ミーガン』。おもちゃメーカーの才気あふれる研究者ジェマは、交通事故で両親を亡くし、悲しみからふさぎこんでしまった9歳の少女ケイディを引き取ることになるが、仕事ひと筋の独身者にとって育児はハードルが高い。そこで彼女は研究段階のAI搭載の人形M3GAN(ミーガン)を、実験を兼ねてケイディにあたえることに。ケイディを守るようプログラムし、学習能力も高いミーガンだが、ケイディとミーガンの周りで奇妙な事故が起こり始め、ジェマはミーガンの危険性に気づく……。


ふさぎこんでしまった少女の新しい友達は、かわいいAIのお人形

「殺人人形」と言ってすぐに思い浮かぶ映画は2本。チャッキーが登場する『チャイルド・プレイ』(1988)はシリアルキラーが人形に乗り移り、『死霊館』(2013)シリーズで知られ、『アナベル 死霊館の人形』(2014)で主演を務めたアナベル人形は悪霊が乗り移ったもの。どちらもシリーズ化するほど人気となりました。けれど、今回の殺人人形はそれらと違い、AIが暴走するという最先端技術によって生まれた「子供のお世話人形」。まさにAI開発が進む現代ならではの映画であり、実際に起こりうる可能性もある進化した恐怖を描いた作品です。

主人公は、突然、姉夫婦が交通事故で亡くなり、姪の面倒を見ることになったAI玩具開発者ジェマ。まだ9歳のケイディの心の傷を癒す方法も見つけられず、自分も仕事が忙しいことから、開発を中断したAI人形「M3GAN(ミーガン)」を実験的に与えることに。ケイディを守るようプログラムし、学習能力も高いミーガンは、たちまちケイディの親友になっていきます。その様子を目にしたジェマの上司は商品化しようと乗り気になるのですが、ジェマは、どこに行くにもミーガンと一緒がいいと言うケイディに人形に依存しすぎではと心配になります。やがてケイディとミーガンの周りで奇妙な事故が起こり始め、ジェマはミーガンの危険性に気づくのです。

本作のAI人形ミーガンは、とても可愛らしく遠くから見ると人間の美少女にも間違えそうな容姿です。その理由は、時折、AI用語で用いられる「不気味の谷」と言われる人間に似ているけれどそうではない違和感ある姿をあえて表現できるようにしたそう。その為に、「アニマトロニクス」という人工皮膚をつけたコンピュータロボットを動かす手法と、俳優が演じた部分を融合させ、そこにVFXを用いることでよりナチュラルに高性能AIらしさを実現。不気味なダンスを踊りながら人間狩りをする狂気の人形として怖可愛い姿は、シリーズを追うごとにブラックユーモアが増したチャッキーのエッセンスが入っているかのよう。

それにしてもホラー映画好きにお馴染みの『死霊館』(2013)、『ソウ』(2004)シリーズのジェームズ・ワン監督と、『インシディアス』(2010)、『ハロウィン』(2018)などのホラー映画を製作してきた「ブラムハウス」のジェイソン・ブラムがタッグを組んで制作された『ミーガン』の恐ろしさは今までに味わったことがない感覚でした。なぜなら「子育て代行」をするAI人形だなんて、働く親にとっては夢のような人形ですが、映画はAIには変えられない子供の心の成長においての人との関わりの重要性を描いていたから。視覚的な残虐シーンはそこまでなく、心理的恐怖を煽る女性好みのサイコスリラーであり、子を持つ親なら胸に手を当てて反省することも出てきてしまうストーリー。まさにこの映画は私には耳の痛い話でした。

———伊藤さとり

全国公開中『M3GAN/ミーガン』

【あらすじ】交通事故で両親を亡くし、悲しみからふさぎこんでしまった9歳の少女ケイディ。おもちゃメーカーの才気あふれる研究者ジェマは、この姪を引き取ることになるが、仕事ひと筋の独身者にとって育児はハードルが高い。そこで彼女は研究段階のAI搭載の人形M3GAN(ミーガン)を、実験を兼ねてケイディにあたえる。あらゆる出来事からケイディを守るようプログラムされたミーガンは、姿は人間の女の子のようで、話しかけ、遊び相手になるばかりか、しつけもしてくれる。ケイディは“彼女”との交流によって笑顔を取り戻していった。ケイディが親しめば親しむほど、彼女によかれと思えることを次々と実行していくミーガン。しかし彼女の中に芽生えたケイディへの愛情は、やがて狂気へと変わり、とてつもない惨劇を引き起こす……。

監督:ジェラルド・ジョンストン 脚本:アケラ・クーパー(『マリグナント 狂暴な悪夢』)
製作:ジェイソン・ブラム(『パラノーマル・アクティビティ』シリーズ、『ハロウィン』、『透明人間』)、ジェームズ・ワン(『ソウ』、『死霊館』、『アナベル』シリーズ)
キャスト:アリソン・ウィリアムズ(『ゲット・アウト』)、ヴァイオレット・マッグロウ、ロニー・チェン(『シャン・チー/テン・リングスの伝説』『クレイジー・リッチ!』) 他

配給:東宝東和

映画『M3GAN/ミーガン』オフィシャルサイト

この記事を書いた人

映画評論・映画パーソナリティ・心理カウンセラー 伊藤さとり

映画評論・映画パーソナリティ・心理カウンセラー

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邦画、洋画問わず年間500本以上の映画を鑑賞。映画舞台挨拶や完成披露会見等のMCを数多く担当している。また、心理学的な視点からも映画を解説。12月に新著は『映画のセリフで心をチャージ 愛の告白100選』(KADOKAWA)。「ぴあ」、「otocoto」でのコラム連載や、YouTube「新・伊藤さとりと映画な仲間たち」、「めざましテレビ」「ひるおび」での映画コーナー等、幅広いメディアで映画を紹介。映画と、映画に関わる全ての人々を愛してやまない映画人。

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