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【観るべき1本】ディカプリオ、デ・ニーロ、スコセッシが集結、206分の長編映画『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』公開中! 【伊藤さとりのシネマでぷる肌‼】

執筆者:伊藤さとり

キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン 伊藤さとり

映画パーソナリティ・心理カウンセラーの伊藤さとりさんが、お肌も心もぷるっと潤う映画を紹介する連載。今回は10月20日に世界同時劇場公開されたばかりの『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』。1920年のアメリカを舞台に、実際に起きた白人と先住民の事件を描いた長編。アカデミー賞の受賞が期待される作品です。


正義の味方役ではないディカプリオにも注目

レオナルド・ディカプリオの進化にやや驚きつつ、『ウルフ・オブ・ウォールストリート』(2013)なども含め6度目となるマーティン・スコセッシ監督とのタッグを組み、実話の事件をベースにした映画『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』。しかも映画ファンには歓喜となる名優ロバート・デ・ニーロがそこに加わって、アクの強過ぎる登場人物による最悪の過ちの歴史映画を完成させました。

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舞台は1920年代のアメリカはオクラホマ。そこは、いわずもがな白人ではなく先住民族の土地です。この後、原油が豊富なことで富を得たアメリカ先住民オセージ族がいかにして土地と命を奪われたのか、人間の欲望による迫害を描く超大作の原作は、アメリカ探偵作家クラブ賞を受賞したディヴィッド・グラムによるノンフィクション。この原作にはFBIの誕生も描かれているので、ディカプリオはFBI捜査官かと思いきや、なんと土地に居つき、オセージ族の女性と結婚した白人男性アーネスト役。その叔父で地元の人々から信頼されている権力者をロバート・デ・ニーロが演じるというキャスティングです。そう、物語の視点はFBI捜査官側からではなく、オセージ族の妻を持つ白人男性の立場からとなります。

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実際の事件では20人以上のアメリカ先住民オセージ族が様々な方法で殺害されたと言われています。では何故、そんなにも事件が相次いだのに地元警察は動かなかったのか。何故、FBIが捜査に乗り出したのか。それが何よりも闇深く、あえてディカプリオが正義の味方側ではなく、地元民のアーネストを演じることで、一般の白人目線から事件を見つめてもらい、観客が問題点に気づいて欲しいと願ったからだそう。

マーティン・スコセッシ自身もイタリア移民2世としてアメリカ国民になった身。きっと本人は先住民への敬意と過ちを忘れてはいけないという思いと共に、巨大な権力を持った人が欲深いと、周囲を巻き込み多くの被害者が出てしまうことを伝えたかったのではないでしょうか。だって現に私自身も、この物語が海の向こうで起こった出来事とは思わず、自分達の身近にもよく起こる社会の構図に見えて身震いしたのだから。
——伊藤さとり

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☑公開中
Apple Original Films『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』

ロバート・デ・ニーロとディカプリオ キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン

【あらすじ】1920年、地元の有力者である叔父のウィリアム・ヘイル(ロバート・デ・ニーロ)を頼ってオクラホマへと移り住んだアーネスト・バークハート(レオナルド・ディカプリオ)。アーネストはそこで暮らすアメリカ先住民オセージ族の女性、モリー・カイル(リリー・グラッドストーン)と恋に落ち夫婦となるが、2人の周囲で不可解な連続殺人事件が起き始める。町が混乱と暴力に包まれる中、ワシントンD.Cから派遣された捜査官が調査に乗り出すが、この事件の裏には驚愕の真実が隠されていた。

 2023/アメリカ/296分
監督:マーティン・スコセッシ
原作:デイヴィッド・グラン
脚本:エリック・ロス、マーティン・スコセッシ
製作:マーティン・スコセッシ、ダン・フリードキン、ブラッドリー・トーマス、ダニエル・ルピ
製作総指揮:レオナルド・ディカプリオ、リック・ヨーン、アダム・ソムナー、マリアン・バウアー、リサ・触れチェット、ジョン・アトウッド、シェイ・カマ―、ニールス・ジュール
共同脚本:アイヴァン・アトキンソン、マーン・デイヴィス 製作:アイヴァン・アトキンソン、ビル・ブロック

出演:レオナルド・ディカプリオ、リリー・グラッドストーン、ジェシー・プレモンス、ロバート・デ・ニーロ

配給:東和ピクチャーズ
画像提供:Apple

映画『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』オフィシャルサイト

この記事を書いた人

映画評論・映画パーソナリティ・心理カウンセラー 伊藤さとり

映画評論・映画パーソナリティ・心理カウンセラー

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邦画、洋画問わず年間500本以上の映画を鑑賞。映画舞台挨拶や完成披露会見等のMCを数多く担当している。また、心理学的な視点からも映画を解説。12月に新著は『映画のセリフで心をチャージ 愛の告白100選』(KADOKAWA)。「ぴあ」、「otocoto」でのコラム連載や、YouTube「新・伊藤さとりと映画な仲間たち」、「めざましテレビ」「ひるおび」での映画コーナー等、幅広いメディアで映画を紹介。映画と、映画に関わる全ての人々を愛してやまない映画人。

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