【インタビュー】舞台『ジャズ大名』千葉雄大・藤井隆・富田望生の仲良しトーク!「令和にあえて挑む、チャレンジングな作品」
執筆者:土谷沙織
12月9日のKAAT神奈川芸術劇場を皮切りに、2024年1月21日の高槻城公園芸術文化劇場まで、全国4都市で上演される舞台『ジャズ大名』。
筒井康隆氏の原作小説から新たに上演台本を書き起こしたオリジナル作品は、江戸末期にあったかもしれない、人種、文化を超えた人々の交流を音楽とダンスの狂乱とともにコメディとして描く。音楽好きの荻野山中藩の藩主・大久保教義役の千葉雄大さん、藩主を支える家老・石出九郎左衛門役の藤井隆さん、狂言回しのやこ役などを演じる富田望生さんに舞台の見どころ、GLOW読者へのメッセージなどを伺いました!
踊りあり、演奏ありの舞台
「この物語、どうなっちゃうの!?というワクワクで胸がいっぱい」(富田さん)
——江戸末期、日本に流れ着いた3人の黒人奴隷との出会いをきっかけに、彼らの奏でる音楽に夢中になっていく支藩のお殿様と家来や民をコメディタッチで描く舞台『ジャズ大名』。出演が決まってから現在までのお気持ちをお聞かせください。
千葉:台本を読んで、純粋に読み物として面白いと感じました。舞台は幕末なのですが、いかにも時代劇という堅苦しい感じではなくて。我々がひょんなことからジャズと出会って、最後は(チラシを指して)こんな感じの大狂乱を迎える。どうやってラストに向かっていくのか、自分もすごく楽しみです。
富田:本当に脚本が面白くて、「幕が開けるまでわからない」という第一印象でした。演出家の福原充則さんが、稽古初日に「とにかく作ることを楽しんでください」とおっしゃった通り、日々みんなで物作りをしている感覚です。
藤井:筒井康隆先生が原作となる小説を書かれたのは80年代ですし、岡本喜八監督による映画化も80年代。映画を観ると、今じゃなかなかできない表現もあると思いました。そういう意味でも、令和の今この『ジャズ大名』をやるっていうのは、めちゃくちゃチャレンジング。心意気がすごいです。舞台だからこそできる表現があると思うので、今それをみんなで探っているところです。
——今回は、踊りあり、楽器演奏ありですよね。
富田:わたしは三味線とクラリネットをやるんですけど、クラリネットはデビュー作の時にちょっとやったことはあるんですよ。でもやっぱり動きながら音を出すのが難しいです。
千葉:僕は今回、クラリネットは初めてです。でもクラリネットの話はあまりしたくない。自信ないです……。
藤井:しかもね、千葉ちゃんは短期間で上手になるために練習しているのに、(初心者を演じるために)1回また下手に演奏しないといけないのは、すごいストレスだろうなって思います。僕は太鼓をやるんですけれど、これが実際すごい重たくて。ずっと持っていると腕がもげそうです。おふたりと比べると「太鼓が重い」なんて、本当にお恥ずかしい理由ですけどね(笑)。
3人での共演について
「お芝居で藤井さんと目があうと覇気のぶつかり合いがすごい」(千葉さん)
——共演者を聞いた時、どんな感想を持たれましたか?
富田:千葉さんは事務所の先輩なのですが、6〜7年前に1度共演させていただいたきりで、当時はあまりお話しする機会もなかったんです。でも、今回は稽古場からずっとご一緒できるので、一方的な興味を解明できると思ってすごく楽しみです。藤井さんは、今年ドラマ『だが、情熱はある』でご一緒して以来、普段の何気ない会話から得る安心感、優しさみたいなものを身に染みて感じていたので、また新たな役で向き合うことができて本当に光栄です。
千葉:僕もかねてから藤井さんの大ファンなんです。バラエティの現場でも、お芝居の現場でも、かけてくださる言葉が全部スッと入ってくるというか、お人柄がもう大好き。それでいて、お芝居の時は目と目が合うと、キッと(やるぞ!みたいな目)して覇気がぶつかる、みたいな。そういう風に引っ張ってくださるので、こっちも持っているものを全て出さなきゃ、と身が引き締まります。ご一緒していて、すごく楽しいです。
藤井:僕も鈴木杏樹さんの一年後輩ですし、ふたりの事務所の先輩として……(※藤井さんは吉本興業所属で、おふたり&鈴木杏樹さんとは別の事務所)。
千葉:大先輩(笑)
藤井:そうやって、もったいないお言葉をおふたりがかけてくださるから、すごくうれしいです。富田さんは、デビュー作も映画館で、初舞台も劇場で拝見していて元々ファンです。今年はドラマでもご一緒させていただき、みんなに愛される理由がよくわかりました。本当に忙しくされているから、稽古の合間におにぎりを食べている姿を見たら、「頑張って!」って思わず応援したくなるんです。そして、僕はよく「隠れファンです」って言っていただくことが多い中、千葉ちゃんはこんなにもまっすぐに「好きです」って言ってくださる稀有な人。さっきの千葉ちゃんの言葉は本当は逆で、千葉ちゃんがみんなをぐーって引っ張ってくださっているんです。役柄同様、素敵なお殿様そのものなんですよ。
千葉:そんな風に言ってくださって、ありがとうございます。今回、他のキャストの皆さんも、それぞれ踊りが得意とか、楽器ができるとか、舞台経験が豊富とか、先生がいっぱいいるような感じなんです。何でも聞いたら教えてくださるし、本当に皆さん優しい方ばかり。日々楽しくお稽古しています!
輝いているのはどんな人?
「心からやりたいことなら疲れすらも輝きに変わると思う」(富田さん)
——GLOWのキャッチフレーズは、「輝きはいつだって自分の内側にある」です。これにちなみ、皆さんの思う“輝いている人”はどんな人かを教えてください。
千葉:一生懸命何かを頑張っている人、ですね。僕の友人には、中間管理職として若い子の面倒も見なきゃいけないし、上司からも色々言われるしという状況の人がいて、色々と愚痴を聞いたりもするんですけど、どこか楽しそうでもあるんです。伝え方とか、いろんなことを工夫しながらひたむきにお仕事している姿を見て、素敵だなって思うんです。
藤井:僕は、電車に乗って稽古場まで通う時があるんですけど、通勤中の皆さんがもう、眩しかったです。きっとクタクタのはずですけど、それぞれがそれぞれの使命を果たしている。そういう瞬間、人は輝いているんじゃないでしょうか。
富田:そうですね。わたしも、純粋に自分のやりたいことに打ち込んでいる人が輝いていると思います。心から「やりたい」と思ってやっていると、疲れや苦労すら輝きに変わる気がするんです。逆に、「嫌ならやめてしまえ!」って思うくらい、わたしも「やりたい」っていう気持ちを大事にしたいです。
少し早いですが2023年はどんな年でしたか?
「いい仲間に巡りあえてしあわせ。みんなに助けてもらっています」(藤井さん)
——12月に入り、年末ムードです。2023年は皆さんにとってどんな年でしたか?
千葉:今年は、いろんな種類のお仕事をさせていただき、海外も3カ国ほど行かせていただいたので、すごく充実感がありました。そして、年末年始をまたいで『ジャズ大名』という舞台に立てることをとてもしあわせに感じています。
富田:自分なりにいろんな壁を更新し続けた、わたしの人生23年間の中でいちばん充実していた年だと思います。
藤井:やっぱりコメディの仕事に呼んでいただけるのがいちばんうれしいので、今回こうやって『ジャズ大名』で年が終わって、『ジャズ大名』から年が始まるのが本当にしあわせです。だから頑張ろう! と思っています。稽古していると、本当に心が動く瞬間がある。すごくいい仲間が出会って、みんながひとつになっているので、期待していただければと思います。GLOW読者の皆さん、ぜひおしゃれして冬の横浜、神戸、刈谷、高槻に観劇に来ていただけたらうれしいです!
衣裳協力:【藤井さん】ネニュファール、O0u(アドアーリンク) 【富田さん】ワンピース※参考商品(PERMINUTE/株式会社yeses) イヤカフ1万5840円(ノムグ/ヒガシヤマ・ピーアール)、右手薬指に付けたリング1万8000円、左手小指に付けたリング2万350円(ともにギン/ヒガシヤマ・ピーアール) 靴1万3900円(チャールズ&キース/チャールズ&キース ジャパン)
ネニュファール TEL078-381-7083
O0u(アドアーリンク) TEL0120-999-659
PERMINUTE/株式会社yeses TEL080-1824-6819
ノムグ https://nomgjp/
ギン https://www.ginjewelrytokyo.com/
ヒガシヤマ・ピーアール TEL050-5444-3598
チャールズ&キース/チャールズ&キース ジャパン https://charleskeith.jp/
千葉雄大さん
ちば ゆうだい:1989年3月9日生まれ。宮城県出身。2010年『天装戦隊ゴセイジャー』(テレビ朝日)の主演に抜擢され、本格的に役者として活動を始める。以降CMやドラマ、映画などに多数出演。ドラマ『いいね! 光源氏くん』シリーズ(NHK総合)、『アバランチ』(関西テレビ)、『星降る夜に』(テレビ朝日)。映画『スマホを落としただけなのに 囚われの殺人鬼』(20年)、『ピーターラビット2/バーナバスの誘惑』(日本語吹き替え/21年)、『もっと超越した所へ。』(22年)など。22年にWOWOWで放送・配信された短編映画企画『アクターズ・ショート・フィルム2』に脚本・監督・主演として参加。WEBラジオ『千葉雄大のラジオプレイ』(YouTube)が隔週金曜配信中。
藤井 隆さん
ふじい たかし:1972年生まれ。大阪府出身。92年吉本新喜劇入団。2000年に「ナンダカンダ」で歌手デビューし、年末の紅白歌合戦に初出場。最近の舞台出演は、ノゾエ征爾作・演出『ガラパゴスパコス~進化してんのかしてないのか~』、岩井秀人作・演出『おとこたち』(ともに23年)、田村孝裕作・演出『ゲゲゲの鬼太郎』、蓬莱竜太作・演出『広島ジャンゴ 2022』(ともに22年)。こまつ座『雪やこんこん』、宮藤官九郎作・演出『愛が世界を救います(ただし屁が出ます)』(ともに21年)、三谷幸喜作・演出『大地(Social Distancing Version)』(20年)など。
富田望生さん
とみた みう:2000年生まれ。福島県いわき市出身。2015年映画『ソロモンの偽証』でデビュー。近年の主な作品は、【舞台】KERA・MAP『しびれ雲』(ケラリーノ・サンドロヴィッチ演出)、『ウェンデイ&ピーターパン』(ジョナサン・マンビィ演出)、『フラガール』(河毛俊作演出)、『ハングマン』(長塚圭史演出) 【映画】『ネメシス 黄金螺旋の謎』 【TV】『だが、情熱はある』(日本テレビ)、『ナンバ MG5 』(フジテレビ)、『富田望生の日日是芸術』(NHK)、NHK for School『ズームジャパン』(ETV)など
KAAT神奈川芸術劇場プロデュース
ミュージカル【ジャズ大名】
原作:筒井康隆<「エロチック街道」(新潮文庫)所収>
上演台本:福原充則 山西竜矢
演出:福原充則 音楽:関島岳郎 振付:北尾亘
出演:千葉雄大 藤井隆/大鶴佐助 山根和馬 富田望生 大堀こういち/板橋駿谷 北尾亘 永島敬三 福原冠 今國雅彦 佐久間麻由 ダンテ・カーヴァー イサナ モーゼス夢 ほか
【神奈川公演】12月9日(土)〜24日(日)
KAAT神奈川芸術劇場<ホール>(神奈川県横浜市中区山下町281)
チケット料金:S席8800円(12月14日、20日平日夜割7900円)、A席7000円、U24(24歳以下)4400円、高校生以下1000円 ほか
【兵庫公演】 1月7日(日)・8日(月・祝)
神戸文化ホール(兵庫県神戸市中央区楠町4-2-2)
チケット料金:S席8000円、A席6000円、25歳以下4000円、高校生以下1000円
【愛知公演】 1月13日(土)・14日(日)
刈谷市総合文化センター(愛知県刈谷市若松町2-104)
チケット料金:S席1万1000円、A席8000円、25歳以下5500円 ほか
【大阪公演】 1月20日(土)・21日(日)
高槻城公園芸術文化劇場(大阪府高槻市野見町6-8)
チケット料金:S席8000円、S席友の会7000円、A席6000円、25歳以下2000円、高校生以下1000円
撮影=梶田麻矢 ヘアメイク=堤紗也香(千葉さん)、千葉万里子(富田さん) スタイリング=寒河江健(千葉さん)、奥田ひろ子(藤井さん)、阪上秀平(富田さん) 取材・文=土谷沙織
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