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松山ケンイチ「自分のまわりの小さな幸せにどれだけ気付けるかが大事」 映画『川っぺりムコリッタ』舞台挨拶レポート!【伊藤さとりのシネマでぷる肌!】

映画パーソナリティ・心理カウンセラーの伊藤さとりさんが、お肌も心もぷるっと潤う映画を紹介するこの連載。今回は映画『川っぺりムコリッタ』の舞台挨拶に潜入。『かもめ食堂』『彼らが本気で編むときは、』などの作品が人気の荻上直子監督の最新作で、監督ならではの食事シーンだけではなく、元たま・現パスカルズの知久寿焼さんによるテーマソング、富山県でのロケも話題に。
9月17日に主演の松山ケンイチさん、ムロツヨシさん、満島ひかりさん、吉岡秀隆さん、荻上直子監督が登壇、伊藤さとりさんがMCを務めた舞台挨拶の様子をご紹介。


本来2021年公開だった本作、
公開についての想い

コロナ禍で、公開が1年遅れとなった本作。公開についてそれぞれ感慨深い様子。
松山 公開してお客様に届けるまでが僕たちの仕事。無事公開することができてほっとしています。

ムロ 
やっとこさ届けられます。個人的な話をしますと荻上前、荻上後と自分の役者感が変わった後の最初の作品。

満島 
出来上がったものを観て、描かれていること以上に見えないものがいっぱい映っている。映画の中に人生の不思議がたくさん描かれています。

吉岡 みなさん笑顔ですごしていらっしゃいますか。こういう時代だからこそ、荻上ワールド全開の作品が生まれた。

荻上 脚本を書き終えたのが2017年。やっとやっとやっと公開になって本当にうれしい。


ハイツムコリッタに住むキャラクターや
撮影時のエピソードについて

登壇は物語の舞台・ハイツムコリッタの住人たち。人と関わらないようにしていた青年・山田(松山ケンイチさん)が北陸のイカの塩辛工場で働き始め、ハイツムコリッタを紹介され住み始める。そこには図々しい島田(ムロツヨシさん)や大家で未亡人の南(満島ひかりさん)、子どもと一緒に住んでいる墓石商人の溝口(吉岡秀隆さん)など濃い面々がそろっていた。キャラクターについて、撮影については自然と荻上作品の象徴ともいえるご飯を食べるシーンのことに集中。

MC
   観終わると優しい気持ちになれる映画でした。役者の皆様のキャラクターもとても魅力的でした。松山さん、ムロさんのキャラクターの距離感などいかがでしたか。

松山 ムロさんはとても好きな俳優。以前もご一緒した大切な仕事仲間。でも島田のようにいきなり風呂貸してくれ、なんて断りますよね。どんな気持ちで言ってきたんですか。

ムロ 自分の中に少しだけある寂しさをごまかす、孤独の恐怖をなんとかして見て見ぬふりするために、隣人が引っ越してきたときにどんな人かわからないけど関係を持とうと。お風呂に入りたかった。

松山 山田がお風呂を貸してあげなきゃいけないな、と思った瞬間があったと思う。山田が腹減ってどうしようもない、この世界からいなくなるんじゃないかという時に、これ食べてとトマトときゅうりを持ってくるシーン。命を繋いでくれたところがあって、その感謝が山田は自然と出てきた。狙ってトマト栽培してたんですか?

ムロ 狙ってない。心配というか、食わないと死ぬぞという感じ。そこの損得はない! ただ風呂入りたい、炊き立てのご飯食べたい。関係性が生まれ始めてからのご飯のシーンはワクワクしました。ご飯が美味しかった。そして荻上監督との闘い。毎日戦いが楽しくて。緊張感とやりがいが交互に来る、スクリーンでうまく見せられたらいいな。

MC 満島さんはキャラクターを演じてみてどうですか。

満島 大好きな俳優さんばかりで、富山の良い景色の中の撮影。子どもの役で羽那ちゃん、光授くんが富山の本当の小学生で無法地帯なんですね。ヤギのあすかちゃんも無法地帯だったけど。すごく自由にしていて。その姿に助けられていた。あとよくスコールが降っていた気がして、虹がよく撮影中に出ていて荻上監督の作品っぽいな、と。ハイツムコリッタの場所もなかなか不思議な場所で、本当に暮らしている方もいたんですけど家賃が1万円しなかったですよね……。雨とか嵐が来ると直接当たりそうだけどニコニコしていて、富山の自然や人々に背中を押されました。あとトマトときゅうりが投げ込まれた時に色がついて、野菜ー!と立ち上がりたくなるような感じになりました。
 
松山 美味しいというより、もう本当に体の細胞が取り込もうとする感じ。食べるってこういうことかなと改めて思いました。動物たちはこういう感じで食べているのかなと思いましたね。

MC 吉岡さん(演じる溝口がふるまう)のすき焼きのシーンはいかがでしたか? 子どもたちも含め全員揃ったシーンでしたが。

吉岡 僕お肉は食べてないですよ。(一同笑) お肉を取ると満島さん演じる南さんが器を出すので、滞納している家賃のかわりに出しました。ネギとしらたきだけしか食べてません。至近距離で松山さんが食べて震えて白目をむく姿が本当にうらやましかった。

MC それは監督の演出?

吉岡 イヤ、満島さんが……。(撮影後)みんなが食べた食べた言うけど僕は表に出されて次のカットの準備を。僕のなんですけどね。

ムロ ものっすごい美味しかったです。子役の子たちもお芝居するというかただいる感じになっていた。


私たちも参考にしたい、
映画のキーワードであるささやかな幸せは?

MC 孤独だった山田はハイツムコリッタにやってきて白いご飯でふだん気づいていなかった小さな幸せを感じます。皆さんにとってのささやかな幸せは?

松山 そうすね……。うん……まあ……寝るときとかかな……。しーんとしたところで寝入る瞬間が好き。それを色んな所で言ってきて。他のことが思いつかないので一回ムロさんにバトンタッチして。考えます。

ムロ すごく幸せとかだったらこの映画の公開になりますでしょう。ささやかな幸せはジョギング。晴れている日に走れると幸せ。帽子かぶってマスクするのでバレません。スポーツ用マスクは頑張ってるので付けたままでも苦しくない。

満島 ささやかな幸せ、いっぱいあります。撮影が終わって今日舞台挨拶で集まって、いつもよりいいおべべ着た姿を見れたり元気なんだな、とか近況を聞いたり、人と会うとかは楽しいですよね。少しお話するだけでも。そのへんの花見つてうれしい、空がきれい、今日の雨の匂い好きだなとかありますよね。

吉岡 コロナ禍になってなかなか外に食べに行くことがロケ中もできないんですよね。配給されるお弁当を夜ビジネスホテルでひとりぼっちで食べるわけですけど。銀のしわしわの青豆の代わりに濃いー味のナポリタンだった時はしあわせだな。(一同爆笑) 青豆じゃなくて春雨ときゅうりとハムのサラダだ、やった! そんなことじゃないですか、ささやかな幸せは。豆が好きじゃないんです……。

荻上 夕方17時になったらいいと自分で決めているビールです! 17時になった瞬間にプシュッうめー! 以上です。

松山 待機場所のテントに野良猫が入ってきて、物をあさったりして昼寝するんですよ。僕らがいるのに。風景の一部になれているのかなって猫も自然とふるまいしてくれるのに幸せを感じました。

荻上 その猫は出演していますよ、すき焼きのシーンの前で。


最後に松山ケンイチさん、荻上監督からからメッセージ。

松山 ご覧頂いて、江口のりこさんがどこに出演されているかわかりましたか? わかる! それはよかったです。撮影時から皆さん江口さんわからないんじゃないかな、と思っていたんですけど。自分のまわりの小さな幸せをどれだけ実感できるか、発見できるか、気づいていけるかがこれからの時代大事になっていくと思っていて、この作品はそのヒントになる映画だと思いました。言語ではないもやっとした曖昧なものを皆さんに届けていつまでも皆さんの中に残っているのが映画の理想。この作品を気に入って頂けたらたくさんの人に紹介して頂ければ。

荻上 今日はありがとうございます。面白かったという方は1人50人にひろめ、もしくは映画館に連れてきてください!

ストーリーに合わせた宇宙人のネックレスが素敵な伊藤さとりさんも、イベント終了後の締めの挨拶で「薬師丸ひろ子さんもどこに出演されているかわかりましたか?」と仰っていました。生きること、同時に死ぬことも考えさせられ、だからこそ日常の小さな幸せを大事にしたい、と思う作品です!


映画『川っぺりムコリッタ』

【あらすじ】
山田は、北陸の名もなき町にある「イカの塩辛」工場で働き始め、社長から紹介された「ハイツムコリッタ」という安アパートで暮らし始めた。できるだけ人と関わらず生きていこうと決めていた山田のささやかな楽しみは、風呂上がりの冷えた牛乳と、炊き立ての白いごはん。山田は、念願の米を買い、ホカホカ炊き立てご飯を茶碗によそい、イカの塩辛をご飯に乗せた瞬間、部屋のドアがノックされる。ドアを開けると、そこには隣の部屋の住人・島田が風呂を貸してほしいと立っている。ぼさぼさ頭で汗だくの男は、庭で野菜を育てているという。
これをきかっけに、山田はハイツムコリッタの住人と関わるようになっていく。
※ムコリッタとは、仏教用語の時間の単位で、生と死の間の時間。

2021/日本/120分  全国公開中
監督・脚本:荻上直子 

出演:松山ケンイチ
ムロツヨシ 満島ひかり 
江口のりこ 黒田大輔 知久寿焼 北村光授 松島羽那
柄本 佑 田中美佐子 / 薬師丸ひろ子 
笹野高史 / 緒形直人
吉岡秀隆

配給KADOKAWA   © 2021「川っぺりムコリッタ」製作委員会

川っぺりムコリッタ 

伊藤さとり映画評論・映画パーソナリティ・心理カウンセラー

邦画、洋画問わず年間500本以上の映画を鑑賞。映画舞台挨拶や完成披露会見等のMCを数多く担当している。また、心理学的な視点からも映画を解説。「ぴあ」、「otocoto」でのコラム連載や、YouTube「新・伊藤さとりと映画な仲間たち」、「めざましテレビ」「ひるおび」での映画コーナー等、幅広いメディアで映画を紹介。映画と、映画に関わる全ての人々を愛してやまない映画人。

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