【更年期】高尾美穂先生に聞く、40代の生理。自分の体と向き合って体の変化期を乗り切ろう!
執筆者:GLOW編集部
長年つきあってきた生理は順調? それとも更年期に差し掛かって変化あり? あと少しで終わるかもしれないにしても、自分の生理を改めて見直してみるといいかもしれません。40代からの生理について高尾美穂先生に聞きました。
☑40代読者の約84%が生理について悩んでいる
【生理の悩みや変化】
1位 周期が一定でなくなった …373人
2位 生理痛……………………………336人
3位 期間が短くなった ……………321人
4位 PMS ………………………………300人
5位 ニオイ ……………………………244人
6位 経血量が増えた ………………242人
7位 経血量が減った ………………201人
8位 期間が長くなった …………157人
9位 経血漏れ ………………………131人
更年期に差し掛かればそれに伴う変化が表れ、子宮に病気があればその影響が痛み・量・期間の変化となって出現していることが鮮明に。悩みはひとつだけというわけではなく、複数の悩みを挙げる人も多く、また、薬で生理を止めている、子宮を摘出しており生理がない、閉経しているという人も少なからずいました。
【更年期の生理について】
40代の生理で困ることは、病気の特徴が目立ってくることですね。子宮筋腫がある人の割合が増えてくるし。子宮の壁が厚くなる子宮腺筋症も40代以降で増えますから。周期の悩みも出てきますね。短くなったとかばらつきが出てくると、「更年期かな?」って思う理由になりますよね。
女性ホルモンの代表がエストロゲンとプロゲステロン。どちらも卵巣が作りますが、生理が終わったあとにエストロゲンが多く分泌されて、そのあとに排卵が起こる。そして排卵が起こったあとにはプロゲステロンが分泌されます。この時期はむくんだり、体重が増えたり、腸がむくむから便秘になったり。脳の組織がむくんで頭が痛いと感じたりします。色々な不調が出やすいのが生理の前、排卵のあと。プロゲステロンは妊娠を維持する役目をしますが、妊娠していなければプロゲステロンが出なくなって生理が来る。生理の様子が年齢とともに少しずつ変化するのは、女性ホルモンの分泌量が減るからなんです。さらにエストロゲンが減ると排卵が起きないことがあります。すると生理がばらつく原因になります。
生理の経血は子宮の中に用意された赤ちゃんのベッド(子宮内膜)を、妊娠しなかった時に手放したものです。この内膜を準備するのもエストロゲンとプロゲステロン。このふたつの分泌量が減ると内膜は薄くなります。内膜が薄くなれば赤ちゃんがベッドにのっかり損ねて妊娠を継続できないこともある。当然、出ていく経血の量も減る。生理周期がばらつくのも、生理の量が減るのも、ある意味、正常な加齢による変化といえますね。経血の量が増えたら病気やなにか原因を疑ってみてもいいと思います。
生理が一か月以上続くのは無排卵の状態。排卵していない生理はいつものサイクルでは来なくて、いつもの日数では終わらず、ずるずる出血が続くことがあります。他に「過多月経」にもなります。生理の量が多いという意味の病名なんですけど、経血が何グラム以上とか、このナプキンがいっぱいになったらなどの基準や目安よりも、自分が多くて困っていると感じれば過多月経なんです。
そして、辛さをまわりにいる人に知ってもらうことが大事です。言わなきゃ伝わらないから。完全に理解してもらうのは無理でも、しんどいってことを知っといてほしいですよね。そうしないと機嫌が悪いと思われちゃうんですよ。だけど、機嫌が悪いんじゃなくて体調が悪い。近くにいるとわかってもらっているんじゃないかと期待するんですけど、知ってもらう努力は大事かなと思います。
(高尾美穂先生)
【生理痛や更年期について教えて!】
Q 生理痛がつらい時の治療法は?
A 痛み止めかピル。どちらを先に使ってもいいんです。生理痛が重い人と子宮内膜症の治療のために使うピルは保険適用なので、困っているなら使いましょう。
Q 大事な日に生理、ピルで生理日を移動するには?
A イベントの予定にかかる生理の、ひとつ前の生理をずらすのがおすすめです。たとえばピルを7日間続けて飲むと、7日間遅らせられます。ただし、40才以上だと血栓症のリスクが上がるので、気をつけましょう。
Q 更年期や生理痛は遺伝する?
A 生理痛を重くする子宮内膜症は、生理の回数が多い(妊娠出産を経験していない)人の方が重くなりやすいです。遺伝より影響が大きいです。でも、もうひとつ生理痛の原因になる子宮筋腫は遺伝子の異常が関わっています。お母さんに子宮筋腫があると娘さんにもある可能性が高い。なので、子宮筋腫による生理痛は遺伝するし、子宮筋腫が原因で量が多いならそれは遺伝するかも、と言えますね。
Q 更年期の症状は遺伝する?
A 更年期の症状はまず気質の影響が大きいとされています。「こうでなくちゃ!」「こうであるべき」みたいなきちっとした人、自分を犠牲にしてでも誰かの役に立ちたいっていうタイプの人は症状が重い。それから、お子さんが独立してごはんを作る楽しみがなくなったとか、介護をしてた親御さんが亡くなったとか、心にぽっかり穴が開くような喪失体験をしている人の方が症状が重くなりがちです。
【痛みや量、40代の妊娠も気を配って!】
高尾美穂先生
産婦人科専門医。女性のための統合ヘルスクリニック イーク表参道 副院長。スポーツドクター、ヨガドクター。「すべての女性により良い明日を届ける」ために、講演や著作活動の他、YouTube、雑誌、ラジオなど数多くのメディアに出演。最新刊は『【女性ホルモンにいいこと大全】オトナ女子をラクにする心とからだの本』(扶桑社)。
※雑誌GLOW2022年11月号を編集。情報は雑誌掲載時のものになります。
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