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【映画】タクシー運転手・シャルルと終活マダム・マドレーヌがパリと人生を案内 4/7公開『パリタクシー』【伊藤さとりのシネマでぷる肌‼】

執筆者:伊藤さとり

映画パーソナリティ・心理カウンセラーの伊藤さとりさんが、お肌も心もぷるっと潤う映画を紹介する連載。今回は『パリタクシー』。パリで働くシャルルと、そのタクシーに乗ったマドレーヌの物語。94歳のリーヌ・ルノーとコメディアンのダニー・ブーン、そしてパリの街並みを堪能したい。


92歳のマドレーヌの過去や思い出が
タクシー運転手のシャルルを変えていく

「女には墓場まで持っていく話がある」そんな言葉を聞いたことがあります。まぁ確かに「墓場まで持っていこうとした話」を老いた母から聞かされた時には驚きましたが……。それでも情熱的に誰かを愛した話というのは、聞いているだけでこちらも胸が熱くなるものです。

さて、映画『パリタクシー』の舞台はパリ。人生に追い詰められているタクシー運転手シャルルの元に舞い込んだ一件の送迎依頼。それは92歳の老女を介護施設へ送るという内容でした。そして乗り込んできたマドレーヌは、彼に「寄り道してほしい」とお願いをします。やがて行く先々の思い出をマドレーヌは語り始めるのですが、彼女のドラマティックな過去が徐々にシャルルの思考に影響を及ぼしていきます。

この映画はパリの街をタクシーで走りながら老女のセンセーショナルな過去を聞く物語であり、“事実は小説より奇なり”という言葉を映像化したフィクションなのに、ロマンチックで、ドラマティックで、悔しくて、悲しくて、それでいて命を輝かそうと思える愛情深い作品。そしてエッフェル塔、シャンゼリゼ大通り、ヴァンドーム広場ほかパリ観光を存分に楽しみながら、老女から「女性の生きづらさ」を知るシスターフッド映画でもありました。

一瞬にして恋に落ちた人との忘れられない口づけ、それとは反して二度と思い出したくない口づけ。愛する息子を守る為に戦った母であり、苦しむ女性達を支援する活動をするひとりの女性の生き様は、生命力に満ち、優しさに溢れ、他者にも感謝を忘れない「真の美しさを持つ女性」そのもの。そんなマドレーヌをシャンソン歌手のリーヌ・ルノーが魅力たっぷりに表現しています。こんな良作、多くの人に伝えたい! 人生とは、どれだけ「自分と他者の幸せの為に頑張れるか」なのかもしれない。それこそが命を輝かすことなのではないでしょうか。


4/7 (金)新宿ピカデリー、角川シネマ有楽町ほか全国公開
『パリタクシー』

【あらすじ】パリのタクシー運転手のシャルルは、人生最大の危機を迎えていた。金なし、休みなし、免停寸前、このままでは最愛の家族にも会わせる顔がない。そんな彼のもとに偶然、あるマダムをパリの反対側まで送るという依頼が舞い込む。92歳のマダムの名はマドレーヌ。終活に向かう彼女はシャルルにお願いをする、「ねぇ、寄り道してくれない?」。人生を過ごしたパリの街には秘密がいっぱい。寄り道をする度、並外れたマドレーヌの過去が明かされていく。そして単純だったはずのドライブは、いつしか2人の人生を大きく動かす驚愕の旅へと変貌していく!

2022/フランス/91分
監督:クリスチャン・カリオン  出演:リーヌ・ルノー、ダニー・ブーン
配給:松竹
後援:在日フランス大使館/アンスティチュ・フランセ日本

©2022 – UNE HIRONDELLE PRODUCTIONS, PATHE FILMS, ARTÉMIS PRODUCTIONS, TF1 FILMS PRODUCTION

『パリタクシー』公式サイト

『パリタクシー』予告編

この記事を書いた人

映画評論・映画パーソナリティ・心理カウンセラー 伊藤さとり

映画評論・映画パーソナリティ・心理カウンセラー

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邦画、洋画問わず年間500本以上の映画を鑑賞。映画舞台挨拶や完成披露会見等のMCを数多く担当している。また、心理学的な視点からも映画を解説。12月に新著は『映画のセリフで心をチャージ 愛の告白100選』(KADOKAWA)。「ぴあ」、「otocoto」でのコラム連載や、YouTube「新・伊藤さとりと映画な仲間たち」、「めざましテレビ」「ひるおび」での映画コーナー等、幅広いメディアで映画を紹介。映画と、映画に関わる全ての人々を愛してやまない映画人。

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