【映画】名優・鈴木亮平×命を救うヒーロー 4/28公開 劇場版『TOKYO MER ~走る緊急救命室~』【伊藤さとりのシネマでぷる肌‼】
執筆者:伊藤さとり
映画パーソナリティ・心理カウンセラーの伊藤さとりさんが、お肌も心もぷるっと潤う映画を紹介する連載。今回は劇場版『TOKYO MER~走る緊急救命室~』。
最後まで目が離せない、ヒーローの物語
ここ数年、その演技の上手さに唸ってしまう俳優がいます。
それは鈴木亮平さん、その人であり、映画だけでも『狐狼の血 LEVEL2』(2021)での狂犬ぶりは、日本アカデミー賞最優秀助演男優賞ほかその年の映画賞を席巻したことで証明済み。それと同時期にテレビドラマでも「TOKYO MER〜走る緊急救命室〜」でザテレビジョンドラマアカデミー賞主演男優賞を受賞。今年公開されたクィア映画(LGBTQ+などの映画)『エゴイスト』(2023)では、実在したエッセイストの高山真さんを演じ、早くも映画賞ノミネートは確実だろうという声が上がっています。そんな鈴木亮平さんが熱血医療従事者を演じた「TOKYO MER〜走る緊急救命室〜」がダイナミックな映像でスクリーンにお目見えします。
オペ室を搭載した大型車両=ERカーで災害現場や事故現場に駆け付ける都知事直結の救命医療チーム「TOKYO MER」。ここのチーフドクター喜多見幸太(鈴木亮平)は、命を救うためなら危険を顧みないことで知られる熱血ドクターでした。そんな彼らを取り仕切る東京都知事・赤塚(石田ゆり子)を良く思わない厚生労働大臣は新たに新生エリート集団「YOKOHAMA MER」を設立。そこのチーフドクター鴨居友(杏)は、「安全な場所での救命」をモットーとする敏腕ドクターだったのです。そのタイミングで、横浜・ランドマークタワーで大規模な爆発が発生。ビル内には喜多見の妻で妊娠後期の千晶(仲里依紗)も偶然居合わせたのでした。今回の現場を仕切ることになった医系技官・音羽尚(賀来賢人)は、苦渋の選択を迫られるのですが……。
冒頭から緊迫した事故が発生。そこに駆け付ける足元がスクリーンに映し出され、パニック状態の現場にカメラは切り替わり、突如、飛び込んで来たと思えば笑顔で話しかける人物。それが鈴木亮平さん演じる喜多見であり、小さな子供に向かって安心させるような声で語りかけながら瞬時に手当てを施す様子から、このキャラクターが人間味溢れるヒーローなんだとたったの5分で分かるのです。けれど彼は完璧ではなく妻との約束も忘れるほどの「仕事中毒」。ここから本作が、「仕事を取るか、家庭を取るか」というよく夫婦間で繰り広げられる口喧嘩からの「命の選択」を描く壮大な人間ドラマに発展していきます。
しかも横浜市の周辺大型施設やランドマークタワー、赤レンガ倉庫などといった実際の建物を撮影に使用して再現された『ダイ・ハード』のような高層ビルでの救出劇は、大スクリーンで見るべきダイナミックな映像で緊張の連続。
ここまで人として魅力的な主人公が何度も迫り来る苦難から愛する妻と目の前にいる人全員を救おうとする物語は、ドラマを知らずとも感情移入できる脚本と構成力で、気づけば手に汗握りながら目頭に涙まで。しかも杏さん演じる劇場版オリジナルキャラクターが女性リーダーというのもダイバーシティを意識する製作陣の心意気を感じます。エンドロールには実際に命を救おうと奮闘する本物のヒーロー達の姿が映し出されます。その映像が一番、胸熱なのでお見逃しなく。
———伊藤さとり
4/28公開 劇場版『TOKYO MER~走る緊急救命室~』
【あらすじ】―― オペ室を搭載した大型車両=ERカーで事故や災害現場に駆け付け、自らの危険を顧みず患者のために戦う、都知事直轄の救命医療チームである。彼らの使命はただ一つ…『死者を一人も出さないこと』。横浜・ランドマークタワーで爆発事故が発生。数千人が逃げ惑う前代未聞の緊急事態に。「待っているだけじゃ、救えない命がある」チーフドクター・喜多見はいち早く現場に向かうべきと主張するが、厚生労働大臣が新設した冷徹なエリート集団【YOKOHAMA MER】の鴨居チーフは「安全な場所で待っていなくては、救える命も救えなくなる」と真逆の信念を激突させる。地上70階、取り残された193名。爆発は次々と連鎖し、人々に炎が迫る!混乱のなか重傷者が続出するが、炎と煙で救助ヘリは近づけない。まさに絶体絶命の危機…。さらに、喜多見と再婚した千晶もビルに取り残されていることが判明。千晶は妊娠後期で、切迫早産のリスクを抱えていた…。絶望的な状況の中、喜多見の脳裏に最愛の妹・涼香を亡くしたかつての悲劇がよぎる――。
もう誰も、死なせはしない。
監督:松木 彩 脚本:黒岩 勉
企画プロデュース:高橋正尚 プロデュース:八木亜未 辻本球子 音楽:羽岡佳 斉木達彦 櫻井美希
出演:鈴木亮平 賀来賢人 中条あやみ 要潤 小手伸也 佐野勇斗 ジェシー(SixTONES) フォンチー
菜々緒 杏 徳重聡 古川雄大 渡辺真起子 橋本さとし 鶴見辰吾 仲里依紗 石田ゆり子
制作プロダクション:TBSテレビ
配給:東宝
この記事を書いた人
邦画、洋画問わず年間500本以上の映画を鑑賞。映画舞台挨拶や完成披露会見等のMCを数多く担当している。また、心理学的な視点からも映画を解説。12月に新著は『映画のセリフで心をチャージ 愛の告白100選』(KADOKAWA)。「ぴあ」、「otocoto」でのコラム連載や、YouTube「新・伊藤さとりと映画な仲間たち」、「めざましテレビ」「ひるおび」での映画コーナー等、幅広いメディアで映画を紹介。映画と、映画に関わる全ての人々を愛してやまない映画人。
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