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【映画】6/23公開『リバー、流れないでよ』2分間のタイムループから脱出できる!? 冬の京都・貴船を舞台にしたコメディだけじゃない群像劇【伊藤さとりのシネマでぷる肌‼】

執筆者:伊藤さとり

リバー、流れないでよ 映画レビュー 2023年のベスト映画

映画パーソナリティ・心理カウンセラーの伊藤さとりさんが、お肌も心もぷるっと潤う映画を紹介する連載。今回は『リバー、流れないでよ』。ヨーロッパ企画の上田誠さん原案・脚本によるタイムループもの。貴船の旅館を舞台に(貴船神社とふじやがロケに全面協力!)起こる2分間のタイムループ。働く人、訪れる人、抜け出したい人、とどまりたい人の様子が描かれる。


ストーリーだけではなく、旅館や神社など日本も楽しめる

『カメラを止めるな!』(2018)旋風を既に予感させるミニシアター系最新映画が登場!
フジテレビ「もっと評価されるべき審議会」でプレゼンされ「評価されるべきMVP」となり、世界27ヵ国53の映画祭で上映、23の賞を受賞した映画『ドロステのはてで僕ら』(2020)のヨーロッパ企画が映画第2弾を完成。それが『リバー、流れないでよ』です。

映画の舞台は京都・貴船神社の目の前にある老舗料理旅館「ふじや」。仲居のミコトが別館の裏側で貴船川を眺めていると突如、2分前にタイムループしていることに気づきます。しかもそれはミコトだけでなく、旅館にいる全員に起こっていることが判明。どうやら記憶はそのままで時間だけが2分タイムループしている状況だと理解した彼らは、力を合わせてこの状況から脱出しようと毎回違った行動に出るのですが…。

リバー、流れないでよ 伊藤さとりのシネマでぷる肌

© ヨーロッパ企画/トリウッド2023

原案、脚本を務めるのは『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』の日本語吹替版脚本を始め、エッジの効いた映画やアニメの脚本も手掛ける上田誠。彼が率いる劇団ヨーロッパ企画のキャストと外部の俳優による京都・貴船でのオールロケによる2分間タイムループコメディは群像劇でもあるので、クセのある人物が登場すればするほど面白味が増して行きます。

リバー、流れないでよ 伊藤さとり

© ヨーロッパ企画/トリウッド2023

リバー、流れないでよ ヨーロッパ企画

© ヨーロッパ企画/トリウッド2023

今までタイムループものは数あれど、記憶を全員が残したまま時間が戻るという設定から、毎回、あれやこれやと行動を変えて問題を解決しようとするので、2分ごとに展開が変わるのも新鮮! しかもコメディかと思いきや、ミステリーになり、ホラーのような展開になるのは、追い詰められていく人間の心理状況を脚本に落とし込んでいるから。更に狭い人間関係ならではのラブストーリーも描かれ、まさかのSF要素もあるんだから、それを表現出来る役者陣の演技の幅にも脱帽! 日本の観光名所でも知られる京都・貴船神社といえば「恋愛祈願」の神社としてお馴染みだし、日本の老舗旅館の仕組みもよく分かる映画なので、間違いなく世界の映画祭で話題になりそうな予感。それに感情がジェットコースターのように波打つ、演劇と映画と音楽のコラボレーション・ムービーは、どの世代にも刺さるポイントが満載の爽快感です! ――伊藤さとり

6/23公開『リバー、流れないでよ』

© ヨーロッパ企画/トリウッド2023

【あらすじ】舞台は、京都・貴船の⽼舗料理旅館「ふじや」。仲居のミコトは、別館裏の貴船川のほとりに佇んでいたところを⼥将に呼ばれ仕事へと戻る。だが2分後、なぜか再び先ほどと同じく貴船川を前にしている。
「・・・・︖」ミコトだけではない、番頭や仲居、料理⼈、宿泊客たちはみな異変を感じ始めた。ずっと熱くならない熱燗。なくならない〆の雑炊。永遠に出られない⾵呂場。⾃分たちが「ループ」しているのだ。しかもちょうど2分間︕ 2分経つと時間が巻き戻り、全員元にいた場所に戻ってしまう。そして、それぞれの“記憶”だけは引き継がれ、連続している。そのループから抜け出したい⼈、とどまりたい⼈、それぞれの感情は乱れ始め、それに合わせるように雪が降ったりやんだり、貴船の世界線が少しずつバグを起こす。⼒を合わせ原因究明に臨む皆を⾒つつ、ミコトは⼀⼈複雑な思いを抱えていた―――。

2023年/日本/86分
原案・脚本︓上⽥誠 監督・編集︓⼭⼝淳太 音楽:くるり
出演:藤⾕理⼦
永野宗典 ⾓⽥貴志 酒井善史 諏訪雅 ⽯⽥剛太 中川晴樹 ⼟佐和成
⿃越裕貴 早織 久保史緒⾥(乃⽊坂46)(友情出演)  本上まなみ 近藤芳正

配給:トリウッド 友情配給:東宝ライツ事業部

映画『リバー、流れないでよ』オフィシャルサイト

この記事を書いた人

映画評論・映画パーソナリティ・心理カウンセラー 伊藤さとり

映画評論・映画パーソナリティ・心理カウンセラー

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邦画、洋画問わず年間500本以上の映画を鑑賞。映画舞台挨拶や完成披露会見等のMCを数多く担当している。また、心理学的な視点からも映画を解説。12月に新著は『映画のセリフで心をチャージ 愛の告白100選』(KADOKAWA)。「ぴあ」、「otocoto」でのコラム連載や、YouTube「新・伊藤さとりと映画な仲間たち」、「めざましテレビ」「ひるおび」での映画コーナー等、幅広いメディアで映画を紹介。映画と、映画に関わる全ての人々を愛してやまない映画人。

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