【軽やかに生きる方法】「面白いかどうか」で決めると幸福感が高まり健康にもいい【脳科学者・中野信子『賢くしなやかに生きる脳の使い方100』】

心の状態が健康に大きな影響を与える

心の調子によって体の状態は変わります。実際に体には、心の調子によって働きが変わる免疫系の物質があります。
その代表ともいえるのが、「ナチュラルキラー細胞」です。聞いたことがある人もいるのではないでしょうか。インフルエンザなどのウイルスが吸着して取り込まれた細胞を殺したり、がん細胞を減らしたりする働きがある細胞のことです。また、痛みや炎症を和らげる「インターロイキン6」という免疫系物質も、心の調子によって分泌の度合いが変わるとされています。

迷ったときは「面白いかどうか」で決める

近年、心の状態が健康（免疫系の物質）に与える影響が、様々な研究であきらかになっています。こうした研究結果をもとに、ここで「運」について考えるなら、例えばある選択に迷ったときは、自分にとって「面白いかどうか」で決めるといいかもしれません。

誰かにいわれたからやるのではなく、運任せにするのでもなく、自分の面白さを基準にして選ぶと、幸せを感じることができて心の状態がよくなります。そうして結果的に、免疫系物質の働きをよくすることにもつながります。ちなみに、かつてイギリスで52～79歳の約3800人を対象にした追跡調査によると、主観的に幸福を感じている人は、そうでない人よりも死亡リスクが35％も低いとする結果が出ました。

ある選択に迷うとき、多くの場合「この選択は正しいだろうか？」と迷って、悩んだり不安になったりします。失敗したくない気持ちがあるのは仕方ありませんが、そんなときこそ、自分にとって「面白いかどうか」で決めるのはいいアプローチとなります。
失敗しないことも大切ですが、自分が「面白いかどうか」という条件のほうが幸せに生きるためには必要です。そして、これは健康にとってよい方法だともいえるのです。
——『賢くしなやかに生きる脳の使い方100』（宝島社）より