• Health care

GLOWの
記事をシェア

肌も潤い骨粗鬆症も防ぐ「ホルモン補充療法(HRT)」で更年期もハッピーに! 産婦人科医・高尾美穂先生に教わります!

執筆者:GLOW編集部

閉経すると女性ホルモンはほとんど分泌されなくなって老化も進みます(涙)。でも、減ってしまった女性ホルモンを薬で足す治療法があることを知っていますか?  更年期の症状がよくなるばかりか、骨粗鬆症も防げ、肌も粘膜も潤ってずっと元気でいられます。この「ホルモン補充療法」という選択肢を早めに知っておくことが、今後の人生のQOLを左右するといっても過言ではありません! 女性に寄り添う姿勢が各種メディアで大人気の産婦人科医・高尾美穂先生に教えてもらいます。


【更年期だけでなく、その先の健康についても考えてみて】

「45才頃から卵巣の働きが落ちてくると、女性ホルモン(エストロゲンとプロゲステロン)を十分に作れなくなります。この変化に女性ホルモン分泌の命令を出す脳が気づかないと自律神経の調整がうまくできなくなり、更年期の不調をきたします。そこで、分泌量が減ってきた女性ホルモンの代わりとして外から薬でホルモンを足すのがH RTです。HRTの効用はふたつ。1. 更年期の不調を改善する 2. エストロゲンが守ってきた骨、肌、血管などを健やかに維持、です」(高尾先生)

ホルモン補充療法 HRT

「目の前にある更年期の不調のことだけを考えてしまいやすいのですが、90才までは生きるだろうとされているG LOW世代ではもっと先を見据えてエストロゲン欠乏症に対するメリットについても知ってほしいですね。HRTでは乳がんと血栓症のリスクはやや高まりますが、ここをケアすればあとはメリットしかありません。特に骨量は閉経後の2年間で顕著に下がるとされているので、閉経するあたりで始めるといいですね。何才までという年齢の区切りもないので、健康診断を受けながら長く続けるとメリットが大きいですよ」(高尾先生)。

【HRTのこと詳しく知りたい!】

Q1. HRTを始めるタイミングは?
A. 閉経前で、生理周期がばらついてきたら始め時
まだ生理があるけど、周期がばらついてきた頃がいいですね。30日周期だったのが25日周期になったとか、生理が飛ぶようになったとか。HRTは閉経前の女性ホルモンの波のすき間を埋めることができるので、体や心の不調をやわらげることができます。

Q2. 誰でもHRTを受けることはできる?
A. 乳がん治療中および既往、血管疾患の既往がある人はNG
乳がんと、脳梗塞などの血管疾患になったことがある人はできません。HRTが発症のリスクをやや高めるからです。他、子宮体がんの既往では気をつけながらの使用であれば可能。子宮筋腫、子宮内膜症、子宮腺筋症があるか、または治療経験がある人は医師に相談を。

Q3. 副作用はある?
A. 体が慣れるまでは小さなトラブルが起きることもある
副作用というよりは体が薬に慣れるまでは不正出血、頭痛、乳房の張りや痛み、お腹が張るなどがありますが、続けていくと治まってきます。また、ピルと比較するとホルモン量が少ないので、HRTでは生理周期を上手にコントロールすることは難しいです。

Q4. 治療費は高い?
A.更年期障害の治療目的であれば保険適用
ホルモン剤は高価な薬ではないので安心してください。更年期障害の治療を目的としている場合は、診療にも薬代にも健康保険が適用されます。3割負担の場合で、ひと月の薬代は10003000円程度です。他に初診料や診察料、検査料などがかかります。

Q5. どの婦人科でも受けられる?
A. 日本女性医学学会の専門医ならほぼ
HRTを行っています
HRTは少しずつ普及してきましたが、どこでも すすめられるわけではありません。がん、妊娠・出産、不妊治療を専門とする医師はくわしくない可能性があります。更年期の治療を得意としている日本女性医学学会の専門医を探して、問い合わせてから受診すると確実です。

日本女性医学学会

【HRTの主な治療法はパッチ、ジェル、錠剤】

パッチ:数日貼りっぱなしにするので使い勝手がいい

薬剤が塗布されているシールをお腹に貼る。血栓症も乳がんも、錠剤を飲むよりも皮膚から吸収する方がリスクが下がることがわかっている。数日ごとに貼り替えるので使い勝手がいいが、肌が弱い人には向かない。

ジェル:スキンケアのついでに肌に塗るだけでOK

ホルモン剤入りのジェルやクリーム状の薬を腕やお腹、太ももに塗る。パッチ同様に血栓症や乳がんのリスクは錠剤よりも低い。エストロゲンの単剤のため、別にプロゲステロンを飲む必要がある。

錠剤:薬を服用する習慣がある人におすすめ

エストロゲンの単剤、プロゲステロンの単剤、エストロゲンとプロゲステロンの混合剤がある。基本、1日1錠を決まった時間に服用する。他に腟を弾力性のある状態にするエストロゲンの腟剤もある。


◇ガイド◇

高尾美穂

高尾美穂先生

産婦人科専門医。女性のための統合ヘルスクリニック イーク表参道 副院長。スポーツドクター、ヨガドクター。「すべての女性により良い明日を届ける」ために、講演や著作活動の他、YouTube、雑誌、ラジオなど数多くのメディアに出演。

高尾美穂のOfficial WEB


撮影=当瀬真衣〈TRIVAL〉 ヘア&メイク=レイナ イラスト=MAIKO SEMBOKUYA 取材・文=黒川ともこ ※GLOW2022年11月号より。情報は雑誌掲載時のものになります。

この記事を書いた人

「45才、輝きはいつだって自分の内側にある」をテーマに、40代のヒントになる情報をお届けします! 雑誌は毎月28日発売!

記事一覧へ戻る

GLOWの記事をシェア!

関連記事