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妻夫木 聡「ダメな自分も認めてあげるのが大事と感じた作品」 公開中映画『ある男』初日舞台挨拶レポート!【伊藤さとりのシネマでぷる肌‼】

ある男

映画パーソナリティ・心理カウンセラーの伊藤さとりさんが、お肌も心もぷるっと潤う映画を紹介するこの連載。今回は芥川賞作家・平野啓一郎原作の映画『ある男』。11/18に行われた初日舞台挨拶に潜入。登壇は主演の妻夫木 聡さん、安藤サクラさん、窪田正孝さん、清野菜名さん、小籔千豊さん、坂元愛登さん、石川 慶監督、MCは伊藤さとりさんです。


初日を迎えた登壇者からのご挨拶

ある男

妻夫木 城戸を演じました、妻夫木です。本日は初日にお越しくださり本当にありがとうございます。『ある男』は、釜山映画祭と、ヴェネツィア映画祭といろんな場所に行かせていただいて、ようやく日本の方々に見てもらえるという気持ちです。ようやくこの日が来たかと感慨深い気持ちになっています。

 

ある男

安藤 こんばんは、安藤サクラです。今日はすごくいいお天気で、午前中散歩しながらコーヒーを飲んでいたら、どうやら今日は一粒万倍日だって携帯電話に出てきたので、これは良い初日になるなと思って、とてもおめでたい気持ちでおります。今日はよろしくお願いいたします。

ある男

窪田 大祐役を演じさせてもらいました窪田正孝です。初日に来てくださってありがとうございます。皆さんどんな感想を皆さんがお持ちになったのかすごく興味があります。どこかで調べるんで、どこかに書き込んでもらえたら嬉しいです。

ある男

清野 皆さんこんばんは、美涼役を演じました清野菜名です。本日は足を運んでいただきありがとうございます。たくさんの方々に今日お会いできてとても嬉しいです。本日は短い時間ですが、よろしくお願いいたします。

ある男

小籔 台本もらった時に出てる人らのえぐさ、ストーリーの面白さに俺関わっていんかなっていう震えが止まらなくなったのを覚えています。舞台挨拶ということで、ネットニュースになりそうなエッジの効いた言葉を言うて、映画の宣伝に貢献したいと普段は思うんですけども、この映画を本当にたくさんの人に見てもらいたいですし、今日は言葉少なで参加させていただきたいと思います。

ある男

坂元 悠人を演じました坂元愛登です。この映画を撮影したのが、ほとんど2年前くらいで、声も変わっちゃってて、本当に悠人なのかってなってるかもしれないですけど、僕が悠人です。よろしくお願いします。

ある男

石川 こんばんは、監督を務めました石川慶です。そうですね、本当に撮影が2年前で、本当に企画が始まったのも3年、4年前くらいで、ようやくここまでこぎつけたという感じがして、本当に感慨深く思っております。愛登君もこんなに大きくなって、びっくりしてるんですけれども。

日本公開前に海外の映画祭に出品

MC 妻夫木さん、全員揃われての舞台でお客様を前にして、改めてどんな気持ちですか?

妻夫木 初日ほど嬉しいことはないですし、我が子が育っていくような感じなんですよね。嬉しくもあり、少し寂しい気分もあるというか、でもやっぱり映画はお客さんに見てもらえて初めて完成するものだと思っているので、今日は嬉しいです。

MC 海外の映画祭に行かれたりとか、キャンペーン活動もされましたけれども、どんな思い出がありますか?

妻夫木 窪田君は共演シーンが一つもないんですけど、現場よりよっぽど会ってる。宣伝活動を通して窪田君を知るっていう、不思議な体験。色々な国に行かせていただいて、やはり日本の方々とは違う反応をしてくださるんで、それはすごく面白かったですね。イタリアの方々は、見終わった時にすごく笑い声が起こって、文化の違いなんだなって。そういう捉え方をするんだなと思ったり。釜山ではいっぱい盛大な拍手をいただいたりとか、この作品が認められた証拠だなっていうのをすごく感じたし、本当にいっぱいいい思いをさせていただきました。

安藤 撮影は私すごく久しぶりの映画の、メインキャストでの映画の撮影だったので、ずっと不安で、やっと自分の中の不安が解消しきれていなかったものが、映画祭とかでプライベートの時間を監督と妻夫木さんと窪田くんと過ごすことで、安心して。

窪田 番宣などでサクラさんの一面を知れたり。一緒に飛行機に乗るなんてなかなかないじゃないですか。飛行機の時間の過ごし方とか、あ、私服ってこういう服着てるんだな、そういう何気ないところを見れてめちゃくちゃ貴重だなって。

MC 飛行機ではどう過ごすんですか?

窪田 サクラさんとは、釜山の帰りはずっと喋ってました。本当に色々お話しさせてもらって。妻夫木さんは、英語の勉強をされていたりとか、あとずっと映画を観られていたりとか、リスニングで何かを聞かれていたり。席が近かったので、僕はちらちら盗み見していました。

妻夫木 二人、隣同士だったんですよ。僕だけ知らないおじさんと隣同士で、自分の世界しかなかっただけなんです。せめてね、監督と隣同士だったらね、よかったんです。

MC 監督も同じようにこうやってずっと、映画見るとかしてたんですか?

石川 そうですね。あと、機内食食べたりとか。ずっと、窪田くんとサクラさんのお話を聞いてました。

小籔さん、清野さん、坂元さんの撮影時の思い出は

ある男

MC 小籔さんと清野さんと坂元さんに思い出とか聞いてみたいと思います。

小籔 妻夫木さんの同僚ということで、撮影入る前にご飯に行きましょうという連絡をいただいて、仲良しの役やから、先にご飯食べて仲良くしときたいと言われて、役者魂にビビり、ドキドキしながら会食させていただきました。撮影中とかもめっちゃ喋ってくるんですよ。僕セリフでパンパンやから、本当は喋りかけて欲しくなかったんですけど、それも役作りなんかなと思って、断られへんし、でも俺覚えなあかんしみたいな、すごいギリギリやったんですよ。

妻夫木 いや、わりと普通に一緒に写真撮ったりとかしてたんで、そんな感じだとは思っていませんでした。ずっと喋ってましたから。

MC 本当にね、素晴らしいコンビでしたよね。

妻夫木 ありがとうございます。食事の場所もセッティングしてくださって、すごい高級な、記念日とかじゃないといけないようなところに個室をとってくださって、奢ってくださって。

清野 お二人が現場でずっと美味しいレストランの情報交換をされてて、なかなか自分は入っていけず、携帯のメモを開いて、盗み引きして書こうかなと思ったんですけど、全然うまく聞き取れなくて、終わったら、色々情報を聞こうかなと。素敵な作品に自分も参加できたことをすごく光栄に思いましたし、台本を初めて読んだときから、どんどん没頭していく感覚があって、今まで自分が感じたことがない感覚に陥ったというか、ずっとこの作品に浸っていたいなみたいな感じで、撮影終わりも準備している期間も、ずっと家で台本をずっと眺めていて、すごく貴重な体験ができてよかったなと思っております。

MC そして坂元さんが成長されてる!と思っている人たくさんいると思いますけど、どうでしたか? 今回初の演技ですね。

坂元 映画も、ドラマにもまだ出演したことがなくて、本当に初めての撮影だったんです。それで、『ある男』の一番最初の撮影の日の時に、自転車で坂道を上るシーンがあって、まだその時に殻が割れていなかったようで、監督から殻を割りなさいって言われて、木に向かって何度も叫んだのが、すごい印象に残っています。

安藤 久しぶりの再会の、こんなにかっこよくったかっていう、驚きと、想像以上に素敵に成長していたから。初めての映画で近くで見れたっていうのは、私はすごい貴重な時間を一緒に過ごせたんだなって思って、ちょっとうるうるしました。

窪田 大祐にとっても、あの家族の瞬間が一番、輝かしかったので、久しぶりに愛登に会うと、あの軽トラのシーンとか、すごい懐かしいなとか、いろいろ思うんですよね。彼が色々な出来事を越えて、シーンを越えて、どんどん大人になっていく様というか、本当に時間って何物にも変えられないんだなって。めっちゃイケメンになってて、すごいなと思いました。

ある男

気になる「ある〇〇」について

MC 妻夫木さんと、安藤さんと、窪田さんに、答えてもらおうと思っています。今回この映画のタイトル、『ある男』に引っかけまして、最近気になっているある〇〇について、その理由も説明してください。窪田さんから。

窪田 気になっている? 最近? え、なんだろう。

小籔 一番気になるのは、奥さん。

窪田 一番気になるのは奥さんということで。

安藤 普通に気になっていることがあって、現場で妻夫木さんがいろんな写真を撮っていて、1回だけ私にもカメラを向けてくださったんですよ。でもめっちゃ照れくさくて、すごく変な顔をしちゃったんです。どうなっているんだろうと思っていたら、窪田君のいい写真とかインスタグラムで見るんですけど、私のあれは、どこにも載せられないような写真だったのかな、っていうのがずっと気になっている。

妻夫木 何かを食べているときに写真を撮って、ムホッってなった顔しかなくて。ムホッってなった女優さんの顔を載せるわけにはいかないよなと思って。当時、なんで写真撮れなかったかというと、サクラちゃんが、「私ね、やっぱり、この仕事を向いていないと思うの。久しぶりに現場に入ったけど、やっぱりこれで終わりにしようかなと思うんだ」って言ったんですよ。うわぁ、とんでもない作品で一緒になっちゃったなと。だから、無闇にカメラとか向けちゃいけないだろうなと思って。撮影が終わって佑とプライベートで会って、あれ、サクラちゃん、やめるって言ってたけど、「え、全然仕事してますよ」って。言ってて。なんだったんですか、あれは。

安藤 すごく不安な状態で現場に入って、初日から結構ボロボロになってて、監督の演出で、自信をもう喪失しまくった状態で。久しぶりに来たけど、無理だって思っていたけど、現場重ねていったら、やっぱ現場大好きだって。自信がなくても現場に行けるんだったら、続けていこうって思えた作品です。(会場拍手)

妻夫木 久しぶりに清野さんとお会いして、思い出したんですけど、結構長い、新幹線の中のシーンを撮ったんですけど、丸々カットされてますね。監督、あれマッピングみたいなやつを、大がかりに作って。

石川 あれは、本当に、すごくいいシーンなんです。

妻夫木 DVDの特典にでも。

石川 そうですね。今回結構、そういうのがいくつかあって、サクラさんと妻夫木さんのすごくいいシーンも、実は後半でカットしたりとか、実は自分だけが楽しんだシーンっていっぱいあるなって、聞いてて思いました。でも、作品としてはこの形が一番いいなと。

ある男

MC 妻夫木さん、最後に皆さんに一言、メッセージをお願いしていいですか。

妻夫木 僕はこの作品で、ダメな自分っていうものも認めてあげるっていうことが、すごい大事だなっていうのを気づかされました。そうすることで、意外と幸せってそこら辺に転がってるもんだな、って気づくようになりました。皆さんにとっても、そういう作品になってくれていたら嬉しいです。いい映画を見た後に、映画館出ると、なんかなんでもない景色が、すごくきれいに見える瞬間ってあるんですけど、皆さんにとっても、この『ある男』という映画がそういう存在になっていたら、すごく嬉しいです。今日は本当にありがとうございました。

MCの伊藤さとりさん。映画館での上映時間の合間に行われる舞台挨拶をテンポよく進めるのもMCのお仕事のひとつ。今回の『ある男』は公開初日の話題作とあり駆け付けた多くの取材陣の撮影の仕切りも行っていました。


絶賛公開中『ある男』

弁護士の城戸(妻夫木)は、かつての依頼者である里枝(安藤)から里枝の亡くなった夫「大祐」(窪田)の身元調査という奇妙な相談を受ける。里枝は離婚を経て、子供を連れて故郷に戻り、やがて出会う「大祐」と再婚。そして新たに生まれた子供と4人で幸せな家庭を築いていたが、ある日「大祐」が不慮の事故で命を落としてしまう。悲しみに暮れる中、長年疎遠になっていた大祐の兄・恭一が法要に訪れ、遺影を見ると「これ、大祐じゃないです」と衝撃の事実を告げる。愛したはずの夫「大祐」は、名前もわからないまったくの別人だったのだ・…。「ある男」の正体を追い“真実”に近づくにつれ、いつしか城戸の中に別人として生きた男への複雑な思いが生まれていく――。

2022/日本/121分

監督・編集:石川慶 
原作:平野啓一郎「ある男」
出演:妻夫木聡 安藤サクラ 窪田正孝 清野菜名 眞島秀和 小籔千豊 坂元愛登 山口美也子 きたろう カトウシンスケ 河合優実 でんでん 仲野太賀 真木よう子 柄本 明

©2022「ある男」製作委員会
配給:松竹

『ある男』公式サイト

映画評論・映画パーソナリティ・心理カウンセラー 伊藤さとり

映画評論・映画パーソナリティ・心理カウンセラー

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邦画、洋画問わず年間500本以上の映画を鑑賞。映画舞台挨拶や完成披露会見等のMCを数多く担当している。また、心理学的な視点からも映画を解説。12月に新著は『映画のセリフで心をチャージ 愛の告白100選』(KADOKAWA)。「ぴあ」、「otocoto」でのコラム連載や、YouTube「新・伊藤さとりと映画な仲間たち」、「めざましテレビ」「ひるおび」での映画コーナー等、幅広いメディアで映画を紹介。映画と、映画に関わる全ての人々を愛してやまない映画人。

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