• Culture

GLOWの
記事をシェア

伊藤さとりの2022年度ベスト映画発表! 興奮、感動……テーマ別に紹介【伊藤さとりのシネマでぷる肌‼】

執筆者:伊藤さとり

毎週水曜日にお届けしている伊藤さとりさんのシネマレビュー。2022年の締めくくりに、本年度ベストを紹介。テーマ別に分かれているので、「今日はこんな気分」という時に観てみてください!! ※情報は本記事公開時点のものになります。 最新の内容をご確認ください。


【映画の歓びを味わえるベスト1!『トップガン マーヴェリック』】

トム・クルーズさんの来日記者会見でずっとMCを務めているさとりさん。もちろん『トップガン マーヴェリック』でも4年ぶりの来日もMCを担当。「1986年以来の続編。トムが、ロックダウンしていない時じゃないと公開しない、と決めていたというだけに、スクリーンで観る歓びを教えてくれる作品。なんといっても期待値がエベレスト級だったのを超えてくるオープニング!! 名曲「デンジャー・ゾーン」、ひとりロッカールームに立つマーヴェリック、KAWASAKIのNINJA、Ray-Ban、フライトジャケット! 旧作のファンの心をしっかり掴みながら、トップガンの若者に焦点を当て、若い世代にもきっちり響く」(伊藤さん)

【あらすじ】アメリカのエリート・パイロットチーム“トップガン”。しかし彼らは、ベスト・オブ・ザ・ベストのエースパイロット達をもってしても絶対不可能な任務に直面していた。任務成功のため、最後の切り札として白羽の矢を立てられたのは、伝説のパイロット“マーヴェリック”(トム・クルーズ)だった。記録的な成績を誇る、トップガン史上最高のパイロットでありながら、常識破りな性格と、組織に縛られない振る舞いから、一向に昇進せず、現役であり続けるマーヴェリック。なぜ彼は、トップガンに戻り、新世代トップガンと共にこのミッションに命を懸けるのか?
2022/アメリカ/131分 監督:ジョセフ・コシンスキー 制作:ジェリー・ブラッカイマー、トム・クルーズ、クリストファー・マッカリ―、デヴィッド・エリソン 出演:トム・クルーズ、マイルズ・テラー、ジェニファー・コネリー、ヴァル・キルマーほか

『トップガン マーヴェリック 4K Ultra HD+ブルーレイ』 発売中 7260円(税込み)
発売元: NBCユニバーサル・エンターテイメント
販売元: NBCユニバーサル・エンターテイメント
Ⓒ2022 Paramount Pictures.

【涙がとまらない、感動度ベスト1!『ブルー・バイユー』】

「ミニシアター系上映作品のナンバー1。ぜひ観てほしい。アジア系の養子という状況下で仕事に付きづらい父親の苦労や、父親と髪の色も違う娘が“同じ親子”である証の行動をしたリ、更に愛し合っているのに引き離されてしまう理不尽さ、ラストは涙が止まらなくなりました。監督が俳優と脚本も手掛けています。他者の偏見が悲劇を生むという社会派でもあります!」(伊藤さん)

【あらすじ】韓国で生まれ、3歳でアメリカに養子に出された青年が、自身は知る由もない30年以上前の書類不備で国外追放命令を出されてしまう。突然不法滞在者になった父・アントニオ、支えるキャシー、義父を失う不安を抱えるジェシー(キャシーの娘)。家族の形を守るためにアントニオとキャシーは動き出すが……。

2021年/アメリカ/117分 監督・脚本:ジャスティン・チョン 出演:ジャスティン・チョン、アリシア・ヴィキャンデル、マーク・オブライエン、リン・ダン・ファン、エモリ―・コーエン

『ブルー・バイユー』DVD 発売中 3980円 発売元: NBCユニバーサル・エンターテイメント 販売元: NBCユニバーサル・エンターテイメント

Ⓒ2021 Focus Features, LLC. All Rights Reserved

【現代を描いたベスト1! 『こちらあみ子』】

「『さかなのこ』だったり、特性を持つ人を描いた映画が日本で作られ始めていて、多様性が見つめ直されている時代に必要な作品。あみ子の視点で描かれているので、一見すると理解しづらいあみ子の行動に悪気がないことが見えてくるカメラワークも見事。そんなあみ子がどうやったら幸せになれるのか考えつつ、両親の心労も描かれていて多角的にそれぞれの心情を読み取れる。森井監督の作家性が素晴らしいです」(伊藤さん)

【あらすじ】あみ子はちょっと風変わりな女の子。優しいお父さん、いっしょに遊んでくれるお兄ちゃん、書道教室の先生でお腹には赤ちゃんがいるお母さん、憧れの同級生のり君、たくさんの人に見守られながら元気いっぱいに過ごしていた。だが、彼女のあまりに純粋無垢な行動は、周囲の人たちを否応なく変えていくことになる。誕生日にもらった電池切れのトランシーバーに話しかけるあみ子。「応答せよ、応答せよ。こちらあみ子」―――。奇妙で滑稽で、でもどこか愛おしい人間たちのありようが生き生きと描かれていく。

2022/日本/104分 監督・脚本:森井勇佑 原作:今村夏子 音楽:青葉市子 出演:大沢若菜、井浦 新、尾野真千子
Ⓒ2022『こちらあみ子』フィルムパートナーズ

【漫画の力にひれ伏したベスト1! 『THE FIRST SLAM DUNK』】

「井上雄彦先生自ら監督した本作。試写がなかったので、映画館に観に行ってびっくり。絵の上手い井上監督だからこその画の力を見せつけられました。漫画のタッチを大切にした手法にも感服。ストーリーは愛すべき、個性が際立つキャラクター達あってこその人間ドラマを堪能できます。とにかく井上先生の凄さにひれ伏しました」(伊藤さん)

【プロローグ】いつも余裕をかましながら頭脳的なプレーと電光石火のスピードで相手を翻弄する湘北の切り込み隊長、ポイントガード・宮城リョータ。沖縄で生まれ育ったリョータんは3つ上の兄がいた。幼いころから地元で有名な選手だった兄の背中を追うようにリョータもバスケにのめりこむ。高校2年になったリョータは、湘北高校バスケ部で、桜木、流川、赤城、三井たちとインターハイに出場。今まさに王者、山王工業に挑もうとしていた。

公開中 2022/日本/124分
原作・脚本・監督:井上雄彦 声:仲村宗悟、笠間 淳、神尾晋一郎、木村 昴、三宅健太
アニメーション制作東映アニメーション/ダンデライオンアニメーションスタジオ
配給:東映
©I.T.PLANNING,INC. ©2022 THE FIRST SLAM DUNK Film Partners

【興奮度ベスト1! 『RRR』】

監督・脚本は『バーフバリ』シリーズのS.S.ラージャマウリ監督。本作はインド映画史上最高の約97億円を投入し制作された。「『バーフバリ』大好きなので、同じ監督の新作ということで期待大で観ました! 今回は男と男の兄弟のような絆やダイナミックな戦いを描いています。ストーリ展開やアクションに大興奮し、時に涙を流し、ダンスシーンも圧巻で長時間なのを感じさせない大作。RRRは色々な意味があって、物語を追うごとにそれを想像するのも楽しい。病みつきになる映画とはこのこと。舞台挨拶の司会をしたのですが、超大物俳優なのにとても気さくで親近感がわきます」(伊藤さん)

【あらすじ】舞台は1920年、英国植民地時代のインド。英国軍にさらわれた幼い少女を救うため、立ち上がるビーム(NTR Jr.)。大義のため英国政府の警察となるラーマ(ラーム・チャラン)。熱い思いを胸に秘めた男たちが”運命”に導かれて出会い、唯一無二の親友となる。しかし、ある事件をきっかけに、それぞれの”宿命”に切り裂かれる2人はやがて究極の選択を迫られることに。選ぶのは友情か使命か!?

2021年/インド/179分 監督・脚本:S.S.ラージャマウリ 原案:V.ヴィジャエーンドラ・プラサード 音楽:M.M.キーラヴァ―二 出演:NTR Jr./ラーム・チャラン 

公開中 配給:ツイン
©2021 DVV ENTERTAINMENTS LLP.ALL RIGHTS RESERVED.

【女心を描いたベスト1!『わたしは最悪。』】

「20代の女性のリアルを、女心ここまでわかるの!?というくらい緻密に描写した脚本が素晴らしいんです。仕事や恋愛・結婚という選択肢を「自分の人生は自分で決める」と悩みながらも感情を開放していく様が最高。男女問わず、訪れる人生の節目を描いていて、年齢問わず男性も置き換えて観ることができます。時が止まるあるシーンは映画史に残りそうなくらいロマンチック」(伊藤さん)

【あらすじ】学生時代は成績優秀で、アート系の才能や文才もあるのに、「これしかない!」という決定的な道が見つからず、いまだ人生の脇役のような気分のユリヤ。そんな彼女にグラフィックノベル作家として成功した年上の恋人アクセルは、妻や母といったポジションをすすめてくる。ある夜、招待されていないパーティに紛れ込んだユリヤは、若くて魅力的なアイヴィンに出会う。新たな恋の勢いに乗って、ユリヤは今度こそ自分の人生の主役の座をつかもうとするのだが──。
2021年/ノルウェー・フランス・スウェーデン・デンマーク合作/128分 監督・共同脚本:ヨアキム・トリアー 共同脚本:エスキル・フォクト 出演:レナーテ・レインスヴェ、アンデルシュ・ダニエルセン・リー、ハーバート・ノードラム

『わたしは最悪。 Blu-ray』2023年1月11日発売 5280円(税込み) 発売・販売元:ギャガ
© 2021 OSLO PICTURES - MK PRODUCTIONS - FILM I VÄST - SNOWGLOBE - B-REEL – ARTE FRANCE CINEMA

【共感度ベスト1! 『ハケンアニメ』】

辻村深月さん原作で、アニメ業界を舞台にした作品。新人監督とカリスマ監督が、プロデューサーなどの仲間たちと作品を作り上げる様子や、人間愛や仕事愛が描かれていきます。さとりさんも、劇中のMC役として出演。「自分が出演しているからではなく泣いてしまいました。仕事をしている人は、誰かに感情移入できて自分ごととして観られるし、そうでなくとも感情移入出来るはず。誰かと共に物作りをする素晴らしさ、相手を知って分かり合うことで一つのことをやり遂げられ成果を生む、人はひとりで生きていないんだと実感します。主人公の瞳が新人女性監督だからか、余計なことで戦わなければいけない姿にも悔し涙が出ました」(伊藤さん) 

※写真はインスタグラムより。『ハケンアニメ』劇中作品『サウンドバック』ポスターと一緒に

この記事を書いた人

映画評論・映画パーソナリティ・心理カウンセラー 伊藤さとり

映画評論・映画パーソナリティ・心理カウンセラー

執筆記事一覧を見る

邦画、洋画問わず年間500本以上の映画を鑑賞。映画舞台挨拶や完成披露会見等のMCを数多く担当している。また、心理学的な視点からも映画を解説。12月に新著は『映画のセリフで心をチャージ 愛の告白100選』(KADOKAWA)。「ぴあ」、「otocoto」でのコラム連載や、YouTube「新・伊藤さとりと映画な仲間たち」、「めざましテレビ」「ひるおび」での映画コーナー等、幅広いメディアで映画を紹介。映画と、映画に関わる全ての人々を愛してやまない映画人。

記事一覧へ戻る

GLOWの記事をシェア!

関連記事